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介護の職場は感染症の危険がいっぱい!?高齢者がなりやすい皮膚疾患とは?

高齢者の方が発症しやすい疾患に皮膚疾患というものがあります。
多くの医療機関や病院施設などが注意をはらっている疾患のひとつです。
今回はそんな皮膚疾患について【原因】【症状】【治療法】【予防・ケア】などをご紹介します。

高齢者に多い皮膚疾患3つ

高齢者に多い皮膚疾患を3つご紹介します。

【疥癬】(かいせん)

疥癬とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の最外層である角質層に寄生する疾患のことで、人から人へ感染する恐ろしい疾患です。
疥癬には種類があり、少数寄生ではあるが激しい痒みを伴う普通の疥癬と大量のダニの寄生が認められる角化型疥癬とがあります。
日本では病院や高齢者施設、養護施設などで集団発生の事例が増加しており、疥癬感染防止対策マニュアルの作成が行われていますが、予防や治療法などに混乱があり、介護関係者や医療機関の間で問題となっています。

【老人性皮膚掻痒症 】(ろうじんせいひふそうようしょう)

老人性皮膚掻痒症とは、原因が分からずかゆみだけが起きる皮膚の病気のことで、特にお年寄りに起きるものを老人性皮膚掻痒症といいます。
症状として代表的なのは、「見た目に異常は見られないのに皮膚が痒い」「肌がカサカサして白っぽく見える」「かきむしって肌が赤くなってしまっている」などが挙げられます。

【白癬】(はくせん)

白癬とは、カビの一種である皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)(白癬菌(はくせんきん))が皮膚に感染して起こる病気です。

部位によって分類され、【足白癬】や【爪白癬】のように発症した部位によって名前が異なります。
足白癬は聞いたことのある方は多いと思われますが、水虫ともいいます。
水虫と聞くと症状をイメージしやすいのではないでしょうか?
また白癬は「痒い!」というイメージがあると思われがちですが、痒くない白癬も存在します。

以上3つの皮膚疾患ですが、これから詳しく原因、症状、治療法、予防・ケアについてご紹介していきます。

皮膚疾患その1~疥癬(かいせん)~

【原因】

ヒゼンダニが皮膚の角質層に寄生するのが疥癬ですが感染経路には2種類あります。

通常疥癬から感染する場合と角化型疥癬から感染する場合ですね。

感染のしかたも病型によって違いがあります。
まず通常疥癬の場合では
直接感染
長時間、直接肌と肌が接触することによって感染します。短い時間触れるぐらいなら感染の心配はないでしょう。

間接感染

ごくまれに通常疥癬の患者さんが使用した寝具(布団やベッド、シーツ)などを替えずに、すぐに他の人が使用することによって感染することがあります。

次に角化型疥癬の場合では
短時間の接触で感染します。
衣類や寝具を介しても簡単に感染するので注意が必要です。
角化型疥癬では角層内に多数のダニを含んでおり、皮膚から剥がれ落ちた角層に接触するだけでも感染してしまいます。

【症状】
通常疥癬の場合、感染してから約1~2ヵ月の潜伏期間をおいて発症します。
きわめて強いかゆみを伴い、皮膚症状は「丘疹」「結節」「疥癬トンネル」があげられます。
その中でも疥癬トンネルは疥癬だけに見られる特有なものです。

角化型疥癬の場合、高齢で体が弱っていたり、重症感染症や悪性腫瘍などの基礎疾患がある人、ステロイド剤や免疫抑制剤を投与されているなどの理由で免疫機能が低下している人にヒゼンダニが感染することで発症します。
手や体の骨ばったところや摩擦を受けやすい部位の皮膚に厚く増殖し、灰色から黄白色の垢がつくのが特徴で、激しいかゆみを感じる場合とまったくかゆみを感じない場合があります。

【治療法】
ヒゼンダニを殺すことを目的にした飲み薬や塗り薬を使用して治療します。
飲み薬はイベルメクチン、塗り薬はフェノトリンローション、イオウ剤、クロタミトンクリーム、安息香酸ベンジルなどが処方されます。
安息香酸ベンジルを使う際には患者または代理者の方の同意が必要になります。
他にもかゆみ止めとして、抗ヒスタミン剤などが処方されます。
塗り薬は首から下の全身くまなく塗るように指示されます、手の届かないところは塗ってもらいましょう。
そして手や指の間、足や外陰部念入りに塗りましょう。

【予防・ケア】
感染の拡大予防やケアとして以下のポイントを抑えておきましょう。
原則として、角化型疥癬の患者は個室隔離します。
感染者の家族へ疥癬についてや治療法についての説明を行い、理解と協力をしてもらいましょう。
入室の際はガウンテクニック(入室時にガウン、手袋、マスク、キャップ をつけ、はきものも替える )を怠らないように心がけましょう。
処置の前後は必ず手洗いを行ってください。
衣類、リネン類は煮沸消毒を行い、金属類は 60℃以上に 15分以上(できれば熱湯に5分以上)つける。ふとん等は日光消毒をしましょう。
疥癬の部屋の掃除は1番最後に行いましょう。
掃除機 は0.2ミク ロンのダニを通さないものを使用し、丁寧に行います。

皮膚疾患その2~老人性皮膚掻痒症~

【原因】
主に皮膚の乾燥が原因で起ります。
皮膚には潤いを保つ機能が備わっているが、年をとるにつれてその機能が低下するため、皮膚が乾燥しやすくなり乾燥すると外からの刺激に敏感になって痒みがでてきます。

老化により汗腺や皮脂腺の働きが悪くなると、私たちの皮膚表面にある脂肪膜が少なくなっていき、外部からの刺激を防御する力が衰えて、【かゆみを感じ取る部分】かゆみの受容体が軽い刺激でも敏感に反応してしまい、痒いという感覚が生まれるようになります。

【症状】
原因がわからず肌が痒くなり、白っぽくカサカサな状態になったりします。
人によっては、痒くて夜も眠れない人や掻きむしりすぎて赤くなってしまう人もいます。
この症状で自分の肌の見た目が不潔に感じたり、集中力を削がれたりと悩みを抱えてる方も多くいるようです。

【治療法】
痒みの原因が肌の乾燥なので、基本的には肌の乾燥を防ぐ治療法になります。
まずは皮膚の保湿に専念するように指示されます。
皮膚の潤いを保つために、尿素入りクリームや尿素軟膏の外用薬が処方されます。
尿素には天然保湿因子に働きかけ、角質細胞の保水性を高める効果があるので持続的に治療を行うことで皮膚の保湿が出来ます。
同時に痒みが強い場合は痒みを抑える薬が処方されます。
痒みがあるとつい皮膚をかいてしまいます。
かいたことが刺激となりさらに痒みが強くなるという悪循環に陥らないようにかゆみを抑える薬を使用するのです。

【予防・ケア】
掻痒症を予防するためには、普段の生活で皮膚の乾燥を防ぐことと、かゆみを生じさせる原因を取り除くことが重要です。
特にお風呂好きな方は身体を洗うときに石鹸やボディソープを使うので、必然的に汚れと一緒に皮膚の脂質分を落としてしまうので注意が必要です。

入浴回数の多い方は入浴回数を減らしたり、身体を洗うときにはあまり強くゴシゴシと洗わないように優しく洗ってあげましょう。
漢方浴剤を使って皮膚を保護するのも良いです。
お風呂あがりには化粧品などで皮膚に潤いを与えてあげてください。
また、お風呂あがりは身体が温まっていると痒みを生じやすくしてしまいます。
すぐに寝ようとせずにすこし冷ましてから寝るようにしましょう。
睡眠や休養はしっかりとり、規則正しい生活を心がけましょう。

皮膚疾患その3~白癬(はくせん)~

【原因】
白癬の原因は白癬菌です。
白癬菌とはヒトの髪や爪、角質、動物の毛や鱗などに含まれる【ケラチン】というタンパク質を好んで栄養源とするカビことをいいます。
この白癬菌は感染の機会がとても多く、高温多湿の環境で繁殖します。
長靴や安全靴の着用など、高温多湿な状態が続くことにより、不潔な状態、多汗な状態になり、白癬菌が繁殖することで発症します。

【症状】
白癬菌が感染する部位によって、あらわれる皮膚症状は異なります
足にできる水虫には趾間型・小水疱型・角質増殖型の3種のほか、爪に感染するものもあります。足以外にできるものもあります。

例えば足の水虫(足白癬)の場合


趾間型
(しかんがた)
足の指の間(特に中指と薬指の間)によく見られるものです。
赤くジュクジュクになって皮がむけたり、白くふやけてぶよぶよになったりします。

小水疱型
(しょうすいほうがた)
かゆみが強いのが特徴。
足の裏の土踏まずあたりやふちに小さな水疱ができ、日がたつと赤くなって皮膚がむけてきます。

角質増殖型
(かくしつぞうしょくがた)
足の裏やかかとがカサカサに乾燥、角質が厚く硬くなり、皮膚がむけ、ひび割れを伴うのが特徴です。

【治療法】
基本的には皮膚科などのクリニックで診察を受け、症状や患部に合った治療薬を根気よく継続して使い続けます。
内服薬を必要とする場合はパルス療法という治療法も多く用いられています。
人により加齢や環境で多少の差はありますが、人間の皮膚は28日の周期で生まれ変わります。
水虫(足白癬)も正しい治療方法を行えば、おおよそ1ヶ月ほどで完治することが出来るでしょう。

【予防・ケア】
感染経路は接触による感染です。
例えば感染者が履いたスリッパを別の人が履くと白癬菌自体は移ります。
しかし白癬菌が移ってもすぐに発症するわけではありません。
皮膚の表面についた白癬菌は洗い流せばとれますので、白癬菌がついてから皮膚の中に住みつくまでの間に洗い流せば 感染を防ぐことが出来ます。
なので一番の予防法は毎日体を洗うことです。
全身を洗えない状況でも、足だけお風呂場で洗うことで感染率はかなり下がります。
家族に足白癬(水虫)の人がいたら、いくら身体を綺麗に洗っても足ふきマットからまた白癬菌が移ってしまいます。
1人で暮らしている人は自分だけが気をつけていればよいですが、複数人で暮らしていて、同居者の中に(水虫)の人がいた場合は気をつけたほうが良いでしょう。
もうひとつの予防法は移ってしまった白癬菌を繁殖させないようにすることです。
なるべく高温多湿を避け、多汗な状態や不潔な状態にならないように気をつけましょう。

皮膚疾患を予防する日常ケア

皮膚疾患を予防するために毎日継続的なケアを行ってください。
状況ごとに予防する日常ケアを確認していきましょう。

入浴
入浴回数をあまり多くせずに、身体を洗う際は優しく洗いましょう。
入浴後化粧水や乳液などでお肌を健康な状態に保ちましょう。
なるべく帰宅時や就寝前に入浴をして身体に付着した細菌を綺麗に洗い流しましょう。
外出時
不特定多数の人と共有するものにはきを配りましょう。
スリッパやマット、病院ならばシーツや枕、布団などにも気をつけましょう。
肌のお手入れ
入浴時だけでなく、乾燥している冬には潤いを、高音多湿になる梅雨時期などには湿気の除去を行いましょう。
専用の道具や塗り薬なども売っています。
感染対策
感染者が特定できた場合はなるべく感染の可能性のある物の共有は控えましょう。
施設や病院の場合は責任者の指示に従い、個室隔離などの対策を行ってください。
生活習慣
免疫力が低下すると感染率もグンと跳ね上がるので、規則正しい生活を心がけて健康な身体を保ちましょう。

<まとめ>

今回ご紹介した皮膚疾患ですが、高齢者だけではなく、若者でも患ってしまう可能性は大いにあります。
特に介護職の方は感染源に近いところでの仕事になるので、自分自身も、そして担当されている高齢者の方も皮膚疾患から守るために正しい知識と対策を学びましょう。

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