介護求人TOPケア転職ナビコラム介護の用語 > 高齢者のQOL向上に効果あり!?今注目の”介護予防”について

5b849523c6a66aed2dcff428e62888e7_s

高齢者のQOL向上に効果あり!?今注目の”介護予防”について


「介護予防」とは何かご存知ですか。
今現在、元気に過ごしている人、また要介護の人でも、心身の機能維持や改善のために行う取り組みのことを「介護予防」と言います。
近年、日本は世界でもトップクラスの長寿国で、平成12年には介護保険制度がスタートし、例えば、11年間で横浜市の要介護認定者数は2.5倍にもなりました。このような背景からも、一人ひとりの心身機能の維持が強く求められ、今後ますます介護予防が必要とされています。
そこでここでは、介護予防について詳しく解説していきましょう。

介護予防って?

今回初めて「介護予防」という言葉を知った人にとっては、どんなものなのかまだピンとこないですよね。

まず、介護予防の定義を押さえておきましょう。

介護予防の定義と意義

介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義される。
介護保険は高齢者の自立支援を目指しており、一方で国民自らの努力についても、介護保険法第4条(国民の努力及び義務)において、「国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする」と規定されている。
出典:厚生労働省HP

つまり、介護予防は、高齢者に少しでも長く健康にすごしてもらうことを目的として実施される予防活動の事です。

この介護予防は、3段階に分けて考えることができます。以下の表で具体的にみてみましょう。

  一次予防 二次予防 三次予防
介護予防 活動的な状態 虚弱な状態 要介護状態
要介護状態になることの予防 生活機能低下の早期発見・早期対応 要介護状態の改善、重症化の予防

(参考;図表1-1 生活習慣病予防及び介護予防の「予防」の段階 厚生労働省)
 
一次予防から三次予防まで、時間を追ってみてみましょう。
一次予防は、主に健康な高齢者を対象にしています。健康に活動できる現状の生活を維持、またはさらに向上させ、社会に対して積極的な活動を促していく状態です。
二次予防は、要支援または要介護になるリスクが高い高齢者を対象にしています。これらの高齢者を早期に発見することで、少しでも早く対応し、できるだけ支援や介護状態になるのを防ぎ、もしくは遅らせることを目的にしています。
三次予防は、すでに要支援・要介護の高齢者を対象に、さらなる重度化を予防したり、支援や介護のレベルを改善することを目的に支援することです。
 
また、介護予防事業を円滑に行っていくためにも、具体的に以下のような取り組みがなされています。

  • 介護予防における市町村のリーダーシップ構築
  • 市町村が主体的に介護予防に取り組むための組織作りと運営
  • 効率的かつ効果的な短期集中介護予防プログラムの実施
  • 地域の受皿作りを市町村で確保できるような技術的サポート
  • 高齢化が加速する日本では、介護予防が特に必要とされ、今注目を集めています。要支援・要介護になる可能性の高い高齢者を対象に、介護が必要にならないよう、国や地域を挙げてできうる限り支援していきます。また、先ほど述べた、一時予防から三次予防までを切れ目なく展開することが重要です。

    介護予防に関する事業の概要

    427
    出典:厚生労働省HP

    介護予防の予防給付については、要支援1、2の認定を受けた人を対象に、状態改善と深刻化防止を目的に介護予防サービスが提供されます。
    平成24年度介護報酬改定により、運動器機向上サービス、口腔機能向上サービス、栄養改善サービスのうち、2種類もしくは3種類組み合わせて実施した場合の評価として「選択的サービス複数実施加算」が新設され、高齢者が地域で生き生きと自立した生活ができるよう、総合的な支援が求められています。
    地域支援事業における介護予防事業・介護予防・日常生活支援総合事業についても、日常生活の活発化に関与する通所型介護予防事業や、通所系サービスなどのプログラムを実施する事によって生活機能向上を目指します。
     
    これに対し、訪問型の介護予防事業や訪問系サービスは、通所型ビジネスやサービスの利用が難しい時に、訪問型によって生活機能改善を図ります。介護予防事業と予防給付における介護予防サービスの目的は、いずれにせよ生活機能向上を図るのに役立ちます。
     

    介護予防の問題点

    介護予防とは、ただ高齢者の運動機能や栄養面を改善していく事が目的だと思われがちですが、それだけではありません。むしろ将来の心身機能改善や環境調整などを通し、高齢者一人ひとりの生活機能や社会参加向上をもたらすものです。これによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取り組みをサポートしていき、生活のクオリティを改善させるのが課題です。
     
    それぞれの高齢者が快適に生活する事ができ、生活の質が上がれば、国民の健康寿命をさらに延ばす事ができますよね。国民の真の喜びを創造していく事が大切なのです。
     
    運動機能向上などのサービスは、あくまで目標達成の手段です。また、これが自己目的化であってはいけません。
    そこで、介護予防におけるケアマネジメントの役割が重要視されています。介護予防ケアマネジメントでは、利用者の生活機能向上に対する意欲を促進し、サービス利用後の生活をわかりやすくイメージしてもらう事が重要です。いつまでに、どのような生活機能ができるという形の本人の目標が第一であり、これに到達するための手段として、それぞれのサービス要素が選択されます。
     
    その一方で、介護予防の対象となる高齢者は、すでに心身機能や生活機能が低下しつつあり、自分の機能が改善するはずはないと諦めてしまったり、鬱状態によってモチベーションが低下している人もいます。
    このような高齢者に対し、どのように働きかけていくかというのも今後の問題です。介護予防の対象者であっても、意欲が損なわれていれば思うような予防活動はできません。

     

    介護予防における機関ごとの役割

    介護予防においては、市町村と地域包括支援センター、介護予防プログラムの実施者だけでなく、幅広い機関や団体によって構成されています。これら各機関や団体が互いに連結する事により、地域全体におけるトータル的な介護予防の展開がしていけるのです。

    市町村の役割とは?

    市町村は地域における総合的介護予防システムを構築し、関係各機関や団体と連携を図りながら介護予防の総合計画を考案し、進捗管理と共に事業評価を行い、プランを一定期間後に見直します。このプロセスにおいては、保健福祉や介護保険の担当部署だけでなく、雇用・教育・交通・建設など数多くの部署が積極的に関与できる体制を作ります。

    医療機関の役割とは?

    医療機関こそ、介護予防の対象者と最も頻繁に接触し、かかりつけドクターが二次予防事業の対象者把握の入り口となる機会も多いでしょう。主治医に期待される役割とは、高齢者の健康管理だけでなく、介護予防に関する患者教育や、二次予防事業の対象者である高齢者を地域包括支援センターに紹介する事です。

    民間の団体の役割とは?

    民間団体とは、町内会や老人クラブ、さらにNPOなどの市民活動、ボランティアグループなど様々な活動があります。これらの組織も、介護予防をするうえで重要な役割を担っています。介護予防は、家庭で行うことも多く、こうした際に、身近な民間団体が介護予防の目的や目標を共有し、共助していくことができるからです。また、高齢者に積極的に地域の民間団体に参加してもらうことにより、高齢者同士、またはともに暮らしているその家族同士で、抱えている問題や悩みを共有し、把握しあい、そしてそれらの意見を市町村などが積極的に取り入れていくことが重要です。
     
    運動器関連プログラムの参加にあたっては、安全上の判断を行うなど多様です。医療機関との連携事例としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 退院する時に、医療機関から地域包括支援センターに連絡している市町村
    • 地域包括ケアの構築や認知症対策の推進を図る上で、医療機関との連携体制を整備し、それを通じて介護予防についても連携体制を築いている市町村
    • 医療機関を受診する高齢者を対象に、外来の待合中に地域包括支援センターのスタッフや医療機関の職員が、基本チェックリストを実施している市町村

    上記からおわかりいただけるように、医療機関との連携体制を築く上では、基本的に市町村が主体となっていきます。

    e90dcaea31a56f39cad38ce25a7f75b0_s

     

    介護予防のこれから

    これからの介護予防では、身体機能向上だけに注目するのではなく、

    • 社会参加
    • 活動

    にも注目していき、本人だけに留まらず、地域一体としてとらえ、介護予防促進を考える
    事が必要です。
     
    リハビリテーションの理念においても、単なる機能回復を目的とした訓練ではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会参加を可能にし、その自立促進を目指す事がリハビリの本質とします。
     
    また、高齢者のリハビリに求められるものについても、生活機能向上という、実際に地域で暮らしていくために必要な生活機能を向上するという視点の必要さを示しています。
     
    病院内だけで自立する身体機能になるためにリハビリを行うのはもうやめ、家でも尊厳を持って生活が続けられるようなリハビリテーションをこれから実施するべきなのです。

     

    <まとめ>

    いかがでしたか。
    少し難しい話になってしまいましたが、介護予防についておわかりいただけましたでしょうか。これからの介護予防は、元気な高齢者を対象に、身体能力を改善していくとともに、社会参加や活動も視野に入れてサポートしていく必要があります。年齢を重ねても介護を必要とせず、慣れ親しんだ地元で長く自立した生活が送れるよう、身体だけでなく、社会面からアプローチしていく事も必要なのですね。各機関同士の連携も大切です。
     
    【関連ページもご覧ください♪】
    介護の職場は感染症の危険がいっぱい!?高齢者がなりやすい皮膚疾患とは?
    高齢者の要注意疾患“心筋梗塞”、“狭心症”とは?
    【介護の用語解説】受容とは?
    【介護の要点】サービス担当者会議成功の秘訣!上手に進めるポイントは?
    【ポイント解説】ケアマネのアセスメント(課題分析)の進め方
    認定介護福祉士を目指す方必見!ケアカンファレンスの進め方・ポイントについて
    安静にしてるだけじゃダメ!?高齢者の生活不活発病(廃用症候群)
    高齢者に多い病気!関節リウマチ・リウマチ性多発筋痛症の症状や原因
    人気?安定?介護の求人に多い「社会福祉法人」とは?
    本当はよく知らない?居宅介護支援事業者なら押さえておきたい退院・退所加算
    介護の多職種連携とは?その必要性や課題について
    【介護の知識】高齢者の様々な症状、「老年症候群」
    介護・医療に関わるのなら、知っておきたい緩和ケアのお話

    この記事が少しでもお役に立ったら、Twitter、Facebook、はてブでシェアを頂けると励みになります。

    5b849523c6a66aed2dcff428e62888e7_s

    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう!

    人気記事をお届けします。