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介護と深い関係あり!社会保障や軽減税率の仕組みや問題点

今回は、介護と深い関係のある「社会保障制度」や「低減税率」などについて、分かりやすく解説していきます。
介護業界に、このような制度がどのように影響してくるのか、しっかり学習しておきましょう。

社会保障の仕組みや問題点は?

社会保障は何のためにあるの?

私達一人ひとり、自分の責任と努力によって生活していますが、病気やケガ、老齢や生涯、失業などにより、自分の努力ではどうにもならない問題に直面する事もありますよね。このように、自分の努力では解決できない問題に対して、相互に連帯してサポートし合い、それでも尚状況が改善できない場合には、必要生活保障を行うのが社会保障の目的です。
社会保障制度は、私達の生活を守るセーフティネットのような性質を持ち、私達の生活を一生涯支えてくれ、安心を与えてくれます。
社会保障の中には、公的扶助、社会福祉、医療保険や堂々保険、社会保険などがあります。

社会保険制度の問題点

介護保険制度が開始して大分経過し、2015年4月からは、2度目となる大改正がされました。ここでは、「要支援」といった軽度者へのサービスシステムの見直しとして、これまでの通所系・訪問系サービスが給付という制度本体部分のサービスではなく、市町村主体となる「介護予防・生活支援サービス」に移行されます。
改正後の1~2年は、極端なサービス削減は見られないでしょうが、その後、高齢者の増加や財政的に厳しい市町村においては、サービスの削減や、現行の自己負担額1割が、市町村の裁量で2割負担も可能となります。つまり、地域による格差は拡大していき、年金給付が少ない高齢者は、自己負担額が増大する事で、介護サービスを控えてしまうかもしれないのです。

これは、社会経済的にとっても大きなマイナスとなります。現在、「要支援」の高齢者介護をしなければならない現役世代は、現在のサービスを利用して、仕事と介護の両立が何とかできていても、サービス活用を抑えた結果、もっと手厚い支援を必要とする高齢者が増える可能性があります。その結果として、現役世代で社会で活躍中の女性だちが、「介護離職」を迫られる事になるのです。
財政効率を優先的に考えた政策は、長い目で見たら、現役世代の介護負担をより大きくさせてしまいます。社会保障に占める高齢者施策が、現行水準以上に広がり、お金がかかるにしても、間接的には、現役世代や若年層にも大きな利益となります。これは、経済学や財政学的な数値では明らかにされない利益です。
老人福祉を、現役世代VS高齢者という対立構造でとらえる事は、大きな間違いでしょう。
介護福祉を充実させる事は、労働政策上においてのみならず、マクロ経済的にも、日本全体においても、大きなプラスとなるのです。

消費税増税で介護業界はどうなる?

税金

消費税率10%が先送りに!

消費税率引き上げが、先送りになりました。これにより、新制度予算にあてるはずだった7000億円という財源確保が不透明な状況になっています。
この影響は、自治体にも及んでいます。国が消費税率10%への引き上げ分を、全部確保できるのは、2017年度としていましたが、横浜市ではそれよりも早く、独自で助成する方針を固めました。しかし、消費税率先送りによって、市が負担する金額が増える可能性も出ています。

消費税率引き上げ先送りで介護業界にも影響が!

社会保障の中で、影響が避けられないのは年金です。与党は、増税した場合に予定されていた低年金者に対する毎月5000円の給付金支給や、受給に必要な加入期間の短縮について、2017年4月の消費税増税時まで、先送りする方針となっています。これには、年金受給者などで作られる団体も、激しく抗議しました。
また、増税先送りの影響が出るのは、介護分野でも同じです。現代は、超高齢社会により、
「介護が大変」というイメージがついてしまっています。しかし、このイメージを変えなければいけません。結局、負担を先送りにしているだけで、自分達が良ければ、子供達の世代がどうなってもいいと思うのと同じです。
介護問題についても、介護だけにお金を使うのではなく、子供や子育て世代にお金が回らなければいけないのに、それができていませんが。しかし、それを代弁してくれる政治家も少ないのが問題です。これから各党は、消費税増税に対し、先送りや中止を訴える中で、社会保障について、どう考えていくのか注目されます。

軽減税率とは何か?メリット・デメリットは?

軽減税率って何?

いえ

最近、ニュースでよく「軽減税率」という言葉を聞きませんか?これは、標準税率よりも低く抑えられた税率の事を指しています。

食料品など生活必需品の税率を低く抑える目的として使われます。
欧州各国では、すでに生活必需品を対象に設定しているようです。

軽減税率のメリット

軽減税率の効果は以下の通りですが、残念ながら、比較的メリットは少ないです。

  • 税負担の軽減を実感しやすい
  • 納税者にとって税金が軽減されたことが分かりやすい
  • 低所得者の生活への増税ダメージが少ない

軽減税率のデメリット

  • 生活必需品の線引きが難しい
  • 生活必需品以外の税率がもっと高くなる可能性がある
  • 税率が変わると事務負担が増える
  • 低所得者対策には非効率
  • 各業界に天下り先を増やすリスクがある

生活必需品といっても、
どんな観点で、どの商品を対象にするのか難しいですよね。生活必需品の線引きのやり方次第では、利権が発生する事にもなります。また、生活必需品は、高所得者も低所得者も購入するものなので、低所得者に的を絞った対策にはなりません。
税を軽減しただけでは、国の税収が減り、その分どこかで造成する必要が出てきますし、納税申告者である小売店の負担も重くなります。

消費税アップしても軽減税率は導入されない?

2014年4月から、消費税が8%に引き上げられ、昨年2015年秋には10%に消費税が引き上げられる予定でした。これに伴い、軽減税率を導入するかどうかも問題となります。
財政学や経済学では、軽減税率導入という意見はほとんど聞きません。軽減税率に否定的な理由としては、以下のような意見が挙げられます

・手間がかかる
・消費税を10%に上げても軽減税率を導入しては税収が減るので意味がない
・軽減税率は一部の富裕層を優遇してしまう

このような意見が指摘されています。
また、低所得者対策としては、消費税が10%に上がった場合、現金支給の「簡易な給付」をするという意見も出ました。

低所得者にとっては軽減税率を取り入れるべき!

大事なのは、生活者の視点から、消費税の性格を考える事です。低所得者対策としては、軽減税率導入が不可欠であると考えます。 大きな手間がかかるという問題がありますが、税金の歴史を振り返れば解決する事なので、それ程大袈裟に考える必要はないはずです。
昔は、物品税というものがありました。すでに日本でも、物品ごとの税率設定を経験しているわけです。それを考えたら、軽減税率による事務処理も、物品税を経験している日本において、そう困難な事ではないのではないでしょうか。
軽減税率の対象と考えられるお米や味噌、主食をはじめとする10品目程度でなら、現在の帳簿方式(仕入れにかかる税額を事業者の帳簿上の記録をもとに控除する方式)のままでも可能なはずです。

軽減税率を導入しないと消費活動が減り経済は打撃を受ける!

税収が減るとの批判に対しては、逆に、軽減税率を導入しないと、全体的な消費が縮小し、経済が行き詰まります。その結果、税収が減る可能性だってあるわけです。
また、富裕層優遇というのも的外れです。このような層はもともと、多く消費し、税を多く負担しているので、優遇とはいえません。
最後に、「簡易な給付」についてです。たとえ給付があったとしても、貯蓄に回す人が増え、消費は控えるでしょう。給付の前提となる申請をせず、結果的に給付されない高齢者や老老夫妻世帯も、たくさん考えられます。そのため、まずは低所得者を考えた対策を優先すべきであり、軽減税率の導入は必須なのです!

介護の視点から考える軽減税率導入

介護の視点からも、今後の日本を考えた場合、さらに消費税を引き上げざるを得ません。
消費税10%段階で軽減税率を導入しておかないと、今後の増税時に、消費税への信頼性も失われる事になってしまいます。
今後は消費税だけではなく、社会保障全体の負担増、サービスカットもされると予想されます。これによって、国民の不満はますます高まっていくでしょう。
生活に必要不可欠な一定品目については、消費税を低く設定しておくというのは、非常に有効です。
消費税増税は、介護福祉を充実させるための政策なので、介護福祉のための軽減税率という視点を忘れてはいけません。財政学、経済学的な論議で終わる事なく、介護福祉の観点から考慮するべきでしょう。

<まとめ>

いかがでしたか?
今日は少し難しいお話でした。消費税率引き上げは先送りになったものの、問題は解決していません。国民の負担が延長されただけで、来年早々には、その負担によって、介護業界も影響を来す事になります。軽減税率の導入については、いまだ導入が図られませんが、今後起こりうるリスクに備えて、対策を講じるべきだという事が分かりますね。介護サービスを利用したくても、我慢してしまう方が増えてしまうと、経済にも大きく影響してきてしまうのです。

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