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経済・財政再生計画に含まれる介護保険見直しの行方!

2018年度施行に向け介護保険の見直し案が検討されていることをご存じでしょうか?!
その検討案は、利用者だけではなく介護職員の働き方にも大きな影響を及ぼすかもしれないため、現在介護職員として働く方や、これから介護の仕事に就きたいと思っている方も把握しておく必要があります。
今回はそんな介護保険の見直しについてどういった案がでていて、その案を基にどのように状況が変わるかもしれないのかをわかりやすく解説します。

介護保険が見直される?!

介護保険制度は3年に一度見直されることになっており、2018年度からの施行に向け厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会で検討が進められています。
今回の改正の目的は、増え続けている社会保障費を減らすことにあり、介護保険制度を利用している高齢者の方やその家族、また介護職員にとっても大きく関係し、状況が変わってくる可能性があります。
その内容の対象として、軽度者向けのサービス・介護保険の自己負担・療養病床の位置づけなどがあげられています。

 

経済・財政再生計画の全体像

経済・財政再生計画は、今後の改革する上での工程が記載されており、医療・介護提供体制の適正化では、医療や介護における入院時の光熱水費の患者負担の見直しを検討し段階的な実施を行うことや、施設や在宅でも看取りができるようにする地域包括ケアシステムの構築、人生の最終における医療の在り方では参考事例の展開など医療や介護提供体制による対策や取り組み今後の段取りなどがわかるようになっています。

医療・介護提供体制の適正化

①都道府県ごとの地域医療構想の策定による、医療の「見える化」を踏まえた病床の機能分化・連携の推進(療養病床に係る地域差の是正
病棟ごとの医療内容の分析を行い、病床機能を選択する際の判断に係る定量的基準も含めた基準の見直しについて速やかに検討・策定
②慢性期の医療・介護ニーズに対応するサービス提供体制に係る制度上の見直しの検討
地域差是正に向けた診療報酬上の対応につい て、平成30年度改定において更なる対応
③医療・介護を通じた居住に係る費用負担の公平化の検討
入院時の光熱水費相当額に係る患者負担の見直しを2017年10月 から段階的に実施
④地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在の是正などの観点を踏まえた 医師・看護職員等の需給について検討
検討結果に基づき、地域間偏在の是正など医師・看護職員等の需給に関する対策を実施
⑤外来医療費について、データに基づき地域差を分析し、重複受診・重複投与・重複検査等の 適正化を行いつつ地域差を是正
⑥地域医療構想と整合的な形で、都道府県ごとに医療費の水準や医療の提供に関する目標を設定する医療費適正化計画を策定。
国が平成27年度中に標準的な算定方式を示 す(都道府県別の医療費の差の半減を目指す)

外来医療費の地域差半減に向け、第3期医療費適正化計画の計画期間に向けてレセプトデータ等の分析を継続的に行うとともに、関係者における知見やエビデンスの集積を図り、現在、取組が進められている生活習慣病等については2018年度、 NDBを活用したその他の取組については2019年度までを目途にしつつ、順次可能 な限り速やかに取組の追加等を検討
⑦在宅や介護施設等における看取りも含めて対応できる地域包括ケアシステムを構築
在宅医療・介護連携、認知症施策の推進等の地域支援事業の充実や新たな介護予防・日常生活支援総合事業 の実施などにより、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を推進
⑧人生の最終段階における医療の在り方を検討
国民の意識や自治体 の取組の調査を行うとともに、医療従事者による患者・家族への相談対応の充実、住民への普及啓発等、 参考となる事例の全国展開を進める
⑨かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討
外来の機能分化を進める観点から、紹介状なしの大病院受診に対する定額負担を2016年4月から導入
⑩看護を含む医療関係職種の質評価・質向上や役割分担の見直しを検討

特定行為研修制度を着実に実施するとともに、地域医療介護総合確保基金に基づく新人看護職員研修をはじめとする研修の推進や看護系データベースの参加・利活用の推進を支援

⑪都道府県の行う病床再編や地域差是正の努力を支援するための取組
(ⅰ)改革に取り組む都道府県を重点的に支援する観点からの地域医療介護総合確保基金の平成27年度からのメリハリある配分
(ⅱ)医療費適正化計画の進捗状況等を踏まえた高確法第14条の診療報酬の特例の活用の在り方の検討
(ⅲ)機能に応じた病床の点数・算定要件上の適切な評価、収益状況を踏まえた適切な評価など 平成28年度診療報酬改定及び平成30年度診療報酬・介護報酬同時改定における対応
(ⅳ)都道府県の体制・権限の整備の検討 等

 
参考:内閣府『経済・財政再生計画 改革工程表』

 

「要介護1・2」へのサービスは縮小

高齢化社会で増え続ける社会保障費を抑えるために、要介護1・2の方の介護サービスの縮小が検討されており、具体的には訪問介護の生活援助サービスや福祉用具のレンタル、住宅改修などを保険給付からはずすという案がでていますが、それでは生活援助サービスを行っている介護職の処遇が下がってしまう可能性があり、ホームヘルパー全国連絡会では危機感を募らせています。
また軽度者への専門性のある生活援助サービスによって重度化を防ぐことに役だっていることもあるため家事代行サービスと同一化せず、もっと慎重に考えるべきではないかという意見もあがっています。
さらにサービスの縮小にあたり、要介護者1・2の方は経済的な不安から訪問介護やデイサービスの利用を控えることになるとの予想や、福祉用具のレンタルがはずされることからは、転倒のリスクが上がること、あまり行動をしなくなり介護度が進んでしまうことも懸念されています。
軽度の介護者へのサービス縮小については、このような反対意見もふまえ、対策案などを練りながら検討が進められている状況です。

 

所得によっては自己負担が増す!?

前回の改正ですでに、合計所得が160万円以上の高齢者と年金収入のみで280万円以上ある高齢者の方は、1割であった自己負担が2割に引き上げられていますが、今後は65歳から74歳までの方を対象に2割負担にしたいと考えられており、負担増し対象者をどこまで広げるかが議論の対象になっています。
さらに高額介護サービス費制度についても所得区分を細かくし対象者を凝縮する案もでています。
前回の2割負担の改正で、利用者の利用控えがでていることから、今回の改正でも利用控えがでてしまうのではないかと懸念されており、それにより介護度の重度化を進めてしまう可能性があるとの声もあがっています。
そのような中、「認知症の人と家族の会」は負担引き上げなどに反対する意見を表明し、厚生労働大臣に要望書を提出するなどの動きもあります。

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「病院完結型」から「地域完結型」へ

病院完結型から地域完結型へというのは、医療への変化と対応を求めたものであり、介護において病院に頼りすぎていたものを地域、すなわち他の施設や在宅介護といったように分散することになります。
経済・財政再生計画に盛り込まれている中に、2017年度末で療養病床の廃止があり、高齢者で医療が必要な方が長期にわたり入院できる場所が、なくなりその他の特別養護老人ホームや有料老人ホーム、在宅介護への移行させることにより、地域完結型の方向に進められています。
さらに、受け皿の対策として住まいが医療機関と併設するような形の「医療外付け型」や介護施設内に医師や看護師が常駐し24時間体制で診療できる「医療内包型」の2つの案がでており、人員配置基準などの検討が進められています。
しかし、介護者の家族や、医療を必要とする高齢者から、療養病床の廃止にこだわらず、医療依存度が高い要介護者にとっての療養体制の在り方を検討することが望まれています。
今後、ベビーブームで生まれた世代の方たちが2015年に前期高齢者に達し、2025年には高齢者の人口がピークになる予想となっています。
日本では介護施設や高齢者住宅などの定員数の割合が他国に比べ少ない状況であり、高齢者の住まいに関する課題や、高齢者のニーズの変化から、1人でも生活を継続していける介護には、どのような機能が必要であるかなど高齢者人口ピークに備えるための課題がでてきています。
2025年に向け、地域全体で支える地域完結型への転換のため、社会保障制度の論点や在り方を検討中であり、高齢者の方が疾病を抱えながら、住み慣れた場所で生活し医療において不安になることがなく療養できるような介護サービスについて考えられています。

 

<まとめ>

介護業界の流れを知る上でも、介護保険や利用者の方の状況の変化などを知っておくことはとても大切なことです。
今後、高齢者の人口ピークに伴い、検討案がでている中、介護職員の必要性が高くなる場所と低くなる場所など、差がでてくる可能性もあります。
介護の仕事に興味を持っている方や、これから介護業界に転職を考えている方、自分の目指す道をはっきりさせるためにも介護のニュースを把握しておきましょう。

 
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