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介護のマネジメントを担うケアマネージャーが知っておくべきプロセスとポイント

ケアマネジメントを行うにあたっては、認知症高齢者のケアマネジメントなどに関して、事例を通して具体的なポイントを学んでいく事が大切です。また、常に自らのケアマネジメントを振り返ってみましょう。この記事では、ケアマネの具体的な事例を挙げると共に、そこから分かる事、ケアマネにおけるプロセスやポイントについて分かりやすく解説していきます。

ケアマネジメントとは?ケアマネのポイントとケース1

ケアマネジメントの定義

ケアマネジメントは、「ある人・チームが複数のニーズを持った人達の社会生活機能や福祉を最大限享受できる事を目的として、フォーマル及びインフォーマルなサービスやサポートのネットワークを組織化し、調整、維持していく事であると定義されています。
主に介護分野で、福祉や医療などのサービスと、それを必要としている人達のニーズをつなぐ方法がケアマネです。
(参考資料:wikipedia

ケースワークとケースマネジメントの違い

よく、ケースワークとケースマネジメントを混同してしまう方がいます。
ケースワークは、個別的援助になるので、本人とカウンセリングをして、どうやったら問題解決できるか、その方法について考えていくものです。
例えば、普段の介護を担当している娘さんとお話し、何が日常生活において問題になっているかを探り、そしてこれからどのように対応するか、一緒に考えていきます。
介護が限界なら、施設の検討をします。施設を探すにしても、どのように探すのか、金銭面も含めて相談していきます。

一方、ケースマネジメントは、本人を助けるために、周りがどのような環境を用意する必要があるのか考え、それをアレンジしていきます。例えば、80歳の要介護女性は、娘の介護以外にも、公的サービスなどの他の支援が必要だと考える事ができます。他の家族やサービス期間と連携して、介護を続けるためのネットワークを作るというように、その問題解決のためのマネジメントをしていくというわけです。

ケアマネジメントのプロセス

ここで、ケアマネジメントのプロセスについて学んでみましょう。
基本的な流れは、以下の通りです。

  1. インテーク(受理・面接)
  2. アセスメント(問題分析)
  3. サービス計画作成
  4. モニタリング(サービス進行中の評価)
  5. サービス評価(最終的な評価)
  6. フィードバックあるいは上記のプロセスを繰り返す

何らかの事情があり、サービス中止に至った場合には、ケアマネジメントは終了します。

ケース1

Aさん、60歳女性、要介護5
~状況~
Aさんの長女は、認知症の理解が難しく、介護の疲れと共に、経済的負担にも悩んでいました。Aさんが思うように動いてくれない場合には、長女も興奮気味になる事があります。暴力や暴言も多用しており、Aさんの認知症も悪化していってしまいました。

【提案】
長女への関わりを見直す事により、長女のAさんへの対応が改善されるのではないだろうか?

【実践内容】
ケアマネジャーの不在状態になっていた事や、虐待に相当する言動が頻発している事から、地域包括支援センターと市や、関係サービス事業所と地域ケア会議を行いながら、どのようにサポートしていくか検討しました。

・ケアマネジャー不在時のチームケアの役割

長女がケアマネジャーの交代を希望し、ケアマネ―ジャーがなかなか決まらなかったため、
ケアマネ不在中のサポートとして、関係サービス事業所をそれぞれ3つのチームに分けて役割分担しました。そして長女には、ケアマネを決める必要性を、折を見てアピールする、メモを残すなどして工夫しました。

・新ケアマネジャー受け入れまでの役割

新ケアマネが決定した後、新ケアマネとの関係が良好になり、信頼関係ができるよう、優秀なヘルパーからアプローチしました。

・長女への対応の見直し

精神保健福祉士によると、長女は発達障害(アスペルガー症候群)の疑いが強いとの事だったため、調べてみたところ、思い当たる点が多い事が判明しました。そのため、端的な言葉で明確に伝える事、メモでやりとりする事を心掛けました。

アスペルガー症候群…知的レベルが高く、言葉を巧に使うため、ハンディキャップについて周りが気づきにくいものです。傾向としては、会話のキャッチボールができない、自分なりの習慣や手順にこだわりがある、変更や変化を極端に嫌う、視覚的な情報が理解しやすいなどが挙げられます。

【結果】
受容的な態度、伝わりやすい言葉、伝わりやすいやり方をチームで実行したため、長女がAさんに対して暴力・暴言を投げかけるシーンも見られなくなり、効果があった事が分かりました。

【考察】
認知症介護者のケアの問題は、最近多様化してきています。ケアマネの対応によっては、結果が大きく異なります。また、同職種によるチームと他職種によるチームが効果的に活躍するには、ケース会議による方向性の確認が不可欠である事も分かりました。
利用者の生活で、最も身近にいる訪問介護が果たす役割の大きさが実感できたでしょう。

ケアマネジメントのポイントとケース2

ケアマネ4

ケース2(困難事例)

ケアマネジャーの事例の中には、「困難事例」という言葉がよく出てきます。
ここでまず、「困難事例」について、正確に定義しておきたいところですが、これがなかなか難しい…。
「対応困難事例」、「サービス提供 困難ケース」、「支援困難事例」など、似た言い回しがしばしば使用され、その意味するところも、類型分類されているものの、一言で言い表せないというのが実際でしょう。
一つの解釈として、下記引用を上げます。

特定保健指導での困難事例から考える

困難事例の定義
「保健指導の実施や介入効果について、 指導者が困難を感じたり懸念する症例」
(福田、志村、佐野:日本健康教育学会2009)

困難の要因の整理が必要
自分の健診結果に全く無頓着な人
面接時の反応はいいが全く継続しない人
面接後の連絡の取れない人
指導を受けようとさえしない人
超重症域で保健指導どころではない人
メンタルヘルスやがんなど他の疾患を併せ持つメタボの人
健診や保健指導の時間さえとってもらえない

出典:日本健康教育学会主催 参加型交流セミナー ( 第三弾)

どんなケースにせよ、困難事例を処理していくには、まず、「誰が困っているの?」という点に着目する事です。
利用者なのか、介護している家族なのか、担当者か、ケアマネ自身なのか、地域の人達なのか…?
困難を感じているであろう人達の選択肢は幅広いです。
次に、何に困るのか?という点に注目していいきます。介護サービスを利用しても、期待していた効果が出ない、ADLは向上しているのに、生活に変化がない、利用者・家族からの要求に対応しきれない、サービス事業者から聞いたことと利用者・家族から聞いた事が相違している、ケアプランになかなか同意してくれない、説明しても一方的に話されてしまうので、時間がかかる…などなど、色々なケースがありますよね。
支援していく上でありがちですが、上記は「ケアマネージャー自身が困っている」という事がほとんどなのです。
困難事例と思われるものの多くが、実はケアマネ自身が困っている事例なのです。
そして、困っている内容を見てみると、ケアマネージャーと利用者が十分に理解しあえていない事が原因である事もあります。
しかし、その前に、はっきりとした具体的な目標を持っていたか?その目標は、利用者のご希望に沿っていたか?今一度思い返してほしいのです。
例えば、通所リハに通いながら下肢筋力を維持・向上させるという目標では、何をもって「効果」とするのか、それが生活の上で、どんなメリットをもたらすのか分かりませんよね。
しかしこれが、下肢筋力を向上させ、自力で庭を歩けるようになるという目標にし、利用者がそれを望んでいれば、効果が実感できるでしょう。

目標は「下肢筋力の向上」ではなく、「庭を歩く事」というように、明確にする事が大切なのです。

・ADLは向上しているのに、生活に変化がない

…これは、前例に挙げた目標が、不明瞭な事が原因です。例えば、下肢筋力の維・持向上が無事達成できたとしましょう。しかし、それを実際の生活シーンにおいて、どのように活かすかというのが、見えてこないのではないでしょうか?場合によっては、介護する人が不安で歩かせないという事も有り得ます。
これは、具体的な身体の使い方や対応の仕方が分からないだけかもしれません。

・利用者・家族からの要求に対応しきれない

…この場合、まず要求内容の問題と、ケアマネの業務に関する共通理解の有無が関係しています。ちゃんとケアマネの業務を理解しているにも関わらず、その範囲を超えた要求をしてくるのであれば、これまでの関わり合いを見直してみましょう。どこまでなら越える事ができるのか、試されているのかもしれません。

・ケアプランになかなか同意してくれない

…いくら専門職として優れた計画を立てたとしても、利用者やご家族の方が、自分のために作成されたプランだと認識しなければ、同意してくれません。まずは相手の話を十分に聞き取り、今感じている事に対応したプランを作成する事が大事です。

二つの事例からわかる事は?

いかがでしたか?上記で挙げた困難事例と言われるケースは、ケアマネージャーとしての自分自身のあり方・考え方を振り返ってみるだけでも解決できるものもあるはずです。。
上記二つの例を踏まえて、大切な事は、諦めずに努力を継続していく事だと言えるでしょう。

ケアマネジメントのポイント

ケアマネ2

人脈作り、相談しやすい環境作り

要介護1であるのと、要介護が認定されず、要支援になってしまうのとでは、サービスの使える枠が変わり、利用者の負担も変わってきます。この介護認定は、ケアマネジャーの調査方法や、書類の書き方次第というところもあるので、このような大事な業務は、上司だけでなく、行政の担当者に直接問い合わせたり、相談したりできると、仕事がさらにスムーズに進むでしょう。他にもケアマネージャーは、福祉用具や住宅改修業者の情報を詳しく把握したり、地域包括支援センターの主任ケアマネージャーとも、日頃から話しやすいムードを構築しておくなどすると、困った時にも一人で抱え込まずに済み、負担が減ります。

信頼関係を築く

利用者やそのご家族との信頼関係は、ケアマネにおいてとても重要です。どこの誰かもわからない人が、ある日突然家の中に入り、家族の介護を始めるのですから、人によっては抵抗ありますよね。
最初は面談から始まりますが、この時からケアマネは、きちんと意識を持って行動するようにしましょう。
ただ事務的にお話するだけでなく、利用者の方やご家族とも、話しやすい関係を築き上げる事が重要です。中立的な態度というものも大事で、利用者側だけのお話を聞き入れるのではなく、ご家族や介護者の話も十分に聞くようにしましょう。
また、家族の人間関係に深く入り込みすぎず、心理的な距離感にも気をつけておかないと、
ケアマネージャー自身が心身共に疲れてしまい、負担が重くなるので気を付けましょう。

些細や質問にも迅速に対応!

信頼関係は簡単に作れるものではありません。受け入れられやすいように、初対面の時から注意し、何か問題が発生した時には、素早く対処できるように備えておく事も大切です。
例えばご家族から、「車椅子のレンタル料は、何日に引き落としになるの?」という素朴な質問があれば、すぐに業者に確認し、電話対応するようにするなど、些細な質問にも、スピーディーかつ正確に答えるようにする事が、信頼関係を築く上で、意外と重要なのです。

<まとめ>

いかがでしたか?ケアマネには、色々なポイントがあります。最初はつまずいてしまう事もありますが、それは誰でも同じです。また、どんなに自分に介護の知識や技術があっても、肝心のご利用者様やご家族の方と信頼関係が築けていなかったら、業務もなかなか円滑に進みません。進んだとしても、何か問題が生じた時に、早急に対応する事が難しくなるでしょう。まずはちょっとした約束でも必ず守るという基本を徹底させましょう。それだけでも、お客様との信頼関係は築けます。日々の細かな対応で決まってくるというわけですね。

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