2015年度の介護保険が改正されましたが、その内容について正しく把握できているでしょうか。
今回は、通所・訪問リハビリなどを中心に、どんな事が改定されたのか、わかりやすく解説していきたいと思います。と、その前に、リハビリテーションマネジメントについても学習しておきましょう。ぜひご参考にしてみてください。
「リハビリテーションマネジメント」と一口に言っても、実際はどのような仕組みになっているのでしょうか?ここでは、その全体像、及び流れについてご説明していきます。
リハビリテーションマネジメント加算には、(Ⅰ)と(Ⅱ)というものがあります。リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)通所リハは、一か月に4回以上通所している方が、毎月一回算定するものです。指定された通所リハビリテーションの利用開始した月にあって、 個別リハビリテーションあるいは認知症短期集中リハビリテーショ ンを行っている場合は、4回以下だとしても、算定できるものとします。
それぞれを表にして、わかりやすく見ていきましょう。
通所リハビリテーション | リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)/月 | 230 | |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)/月 | 開始日から6か月以内 | 1020 | |
開始日から6か月以超 | 700 | ||
訪問リハビリテーション | リハビリテーションマネジメント加算/月 | (Ⅰ) | 60 |
(Ⅱ) | 150 |
リハビリテーションマネジメントは、利用者ごとに行われる、ケアマネジメントの一環だという点に留意しましょう。また、個別リハビリテーションは、基本的に全利用者に対して実施するものです。そのため、リハビリテーションマネジメントも、基本的に利用者全員に対して実施するべきものとします。
以下、簡単にリハビリテーションマネジメントの流れをご紹介します。
リハビリテーションマネジメントの実施計画原案を作成 | |
本格的なリハビリ実施計画作成 | |
実施計画書計に沿ったリハビリと定期的な記録 | |
リハビリ実施計画の進歩状況の定期評価と見直し | |
居住介護支援事業者を通して、居宅サービス事業従業者に情報伝達 | |
居住介護支援事業の従業員に対し情報伝達 | |
新規利用者に対して、居宅で検査など行う |
リハビリマネジメントの利用開始時には、利用者さんに対するリハビリ実施に必要な情報を集めていきます。資料集めも重要ですが、関係者との情報共有や、計画見直しも大事な作業です。
ここでは、報酬改定では、どのような変化があったのか解説していきます。
介護予防にかかるコストは、基本的なサービス費用+サービス提供体制加算(302+6単位)によって、予防リハは減算になっています。
これは、過去に遡ってデータ取得しており、27年4月から計算できるものではなく、初年度の加算開始は、28年4月からとなります。
初年度は暫定的に、27年4月1日~12月31日までのデータを活用し、3月15日までに書類提出しなければ、加算がとれない仕組みになっています。
訪問リハビリテーション | 307単位/回 | 302単位/回 |
※訪問看護ステーション | 302単位/回 |
リハビリテーションマネジメント加算1 60単位/月
リハビリテーションマネジメント加算11 150単位/月
退院日または認定日から起算して1ヶ月以内…340単位/日 1ヶ月超3ヶ月以内…200単位/日 |
退院日または認定日から起算して3ヶ月以内…200単位/日 |
※リハビリテーションマネジメント加算1または11を算定している事とする。
2016年度診療報酬改定のリハビリテーション分野におけるポイントの一つには、「外来リハビリテーション」があります。
前回の2014年度診療報酬改定において、外来リハビリテーションにおける介護保険被保険者の介護保険への移行は、2016年度まで延期となりました。
そのため、2016年度からは、介護保険被保険者が、疾患別リハビリ算定期限を超えた場合、介護保険へと移行し、医療保険を利用した外来リハビリテーションを受ける事ができなくなりました。
しかし、その後、厚生労働省の諮問機関などで、医療保険から介護保険への移行には多くの課題があると指摘されました。
その課題としては、以下の4つが挙げられます。
これらの課題を一気に解決する方法は、現在ありません。解決するためには、コツコツと少しずつ介護保険リハビリの分野の質を向上させていくしかありません。
このような背景からも、2016年度診療報酬改定にて、介護保険被保険者が全員一律介護保険のリハビリテーションに移行する事は、いまだ困難だと言えます。
中央社会保険医療協議会で発表された資料には、外来リハビリテーションにおける介護保険被保険者への対応が提案されています。
以下、提案内容の要約です。
リハ計画書を作成したり、変更したりする場合には、医師の指示や利用者の生活機能の状況などを踏まえた上で、リハビリ目標や、それを達成するための具体的サービス内容などを盛り込んだリハビリ計画書を作成していきます。
すでに居宅サービス計画が作成されている場合には、その内容に沿って、作成していきましょう。
リハビリテーション会議を開催し、利用者の状況などに関する情報を構成し、共有する事も大事です。
リハ計画書の作成のために診療などを行った医師は、利用者やそのご家族に対して、日常生活能力の改善や見通しなどを踏まえた上で、内容を適切に説明していき、同意を得ていきます。
訪問リハビリ計画や、通所リハビリ計画の作成については、リハビリ計画書の記載要綱で、様式を参考にしてもOKです。
訪問リハビリと通所リハビリが、提供される内容であるとは想定しにくいため、同一内容を提供する場合には、その理由を記載しましょう。
介護報酬改定に伴い、リハ計画書の様式も整理されました。今までは、通所・訪問リハ計画書についての指定様式は特にありませんでしたが、これからは、様式AからFまでの6種類が必要となります。具体的に見ていきましょう。
いままではプラスアルファの聞き取りでしかなかったが、これからは利用者に対して、一律した統一のアンケートを実施することにより、利用者の興味のあることやニーズを把握し、改善しやすくなる。
今までのリハ計画書とほぼ同内容。
1時間ごとの具体的な支援活動の内容を記入する。
今までのカンファレンス議事録とほぼ同内容。
その名の通り、活動支援のプロセスがきちんとできているかの確認書類。
生活行為改善リハビリテーションの加算を取る場合に必要な書類。
これらの新しい様式に対しては、老健協会(全国老人保健施設協会)や、厚生労働省、または、個人のサイトでも書式をダウンロードできる場合もあります。
いかがでしたか?リハビリテーションマネジメントの流れやリハ計画書の書き方、報酬改定の内容などについて、参考になったでしょうか。リハビリテーションマネジメントにおいては、注意しながら計画書を作成していく事、また情報収集も必要である事や、情報共有をしていく事が重要だと分かりましたね。
報酬改定においては、いまだ課題もありますが、少しずつ改善に向かっていきそうです。リハ計画書作成においては、利用者の方やご家族の肩の生活を踏まえた上で、内容を的確に伝え、同意を得る事、また、情報共有していく事が大切だとわかりましたね。この記事を参考にしながら、より良いリハビリマネジメントが行えるようにしましょう。周りと協力しながらマネジメントや計画書作成していく事も大切です。