東日本大震災から5年、熊本地震から1ヶ月あまりが経過しました。
大災害やちょっとした体調の不良がきっかけとなって今までできていたことができなったり、機会がなくなったりすることで、心身の機能が低下してしまう【生活不活発病】。
若い方には縁遠い言葉かもしれませんが、高齢の方や介護に携わっている方にとっては、無視できない重要なキーワードです。
今回は、この生活不活発病について、詳しくご紹介します。
人は、日常生活の中で、歩いたり、走ったり、多くの活動をしています。
高齢になると、人の本来持っている機能を、徐々に使わなくなっていく傾向があります若い頃は走り回ったりしていても、年齢を重ねていくと全力で走る機会は少なくなるでしょう。
筋肉に限った話ではありませんが、使われなくなった機能は、当然ながら、徐々に低下していきます。
風邪などで2.3日寝込んでいると、風邪が治ってもしばらくだるさが続く…といった経験をされた方はいらっしゃると思います。
まさにそれなのです。
つまり生活不活発病とは
過度に安静にすることや活動性が低下することによって生活そのものが不活発となり機能のほとんどが低下してしまうことなのです。
これを学術的には廃用症候群と呼んでいます。
高齢者の場合、気付かないうちにこの生活不活発病が進行してしまい、「歩けない」「起きられない」という症状に繋がるのです。
一日寝たきりで過ごすことで、1~1.5%ほどの筋力の低下が起きると言われています。
生活不活発病(廃用症候群)の症状をいくつか表にまとめてみました。
以上の様な症状により、生活不活発性になると普段何気なく行っていた動作などが難しくなっていきます。
国際生活機能分類(International Classification of Functioning)の略で
2001年のWHO総会において改定された、人間と環境との相互作用を基本的な枠組みとして、ひとの健康状態を系統的に分類するモデルです。
こちらの動画をご覧ください。
ICFについて、わかりやすく解説されています。
出典:岡山プライマリ・ケア学会
上の図をみてもらうとわかると通り、「健康状態」「心身機能・構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」すべてがつながっている状態で疾患治療だけに焦点を置くのではなく、本人が自分の観点から病気を抱えながらも充実した生活ができることが、支援の目的とされています。
医学的なモデルだと「環境因子」つまりは危険因子から「心身機能・構造」「健康状態」つまりは症状を診断し治療方針を決めています。
廃用症候群の予防法に有効なポイントを3つご紹介します。
冒頭で説明したとおり、使わなくなった機能が低下してゆくので、過度な運動は避け、日光を浴びながら適度な運動を継続することで機能低下を避けられます。
特に高齢者の場合は毎日歩いて散歩するだけでも大きな効果が得られます。
食事では、カルシウムを摂取しましょう。
ここで気をつけるのは、ただカルシウムを摂取するだけでは意味がありません。
丈夫な骨を作るためには運動などにより、適度に骨にストレスをかけることも重要です。
有効な骨へのストレスのかけ方としては、圧迫力と衝撃力を加える事です。
ウォーキングやパターゴルフなど、身体全体を使った運動をすると良いでしょう。
急ぎすぎて過度な運動をすると骨を痛めて骨折してしまう場合もあるので注意が必要です。
身体は動かさなければ固まってしまうので普段からストレッチなどをして各関節の全可動域を動かすように心がけましょう。
運動も普段から行うようにするので、ストレッチと運動の1セットで行うようにすると良いでしょう。
こちらも無理をすると関節を痛めてしまうのであくまで適度に行いましょう。
今回ご紹介した生活不活発病(廃用症候群)は高齢者に非常に多く、対面する場面も多いと思います。
体調を崩した際に、「安静」は基本ですが、回復後に速やかに元の生活に戻れるよう、生活不活発病を理解し、しっかり対処法などを押さえおくと良いでしょう。
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