介護の仕事に携わる上で、高齢者に起こるまたは起こり得る症状を把握しておくことはとても大切です。
今回は、老年症候群について、概要やその特徴など詳しく解説していきたいと思います。
これから介護の仕事に就きたいと考えている方や現在介護の現場で働いている方で老年症候群について詳しく知りたい方必見です。
人は老化に伴い心身機能が低下し、精神的・身体的に様々な症状が現れます。
このように老化によって起こる様々な症状の総称を老年症候群と言います。
老年症候群には多くの症状がありますが、その症状の特徴は異なり、おおまかに3つに分類されています。
急性疾患であり、加齢によってだけではなく起こる症状
認知症や視力の低下、腰痛など長い付き合いになる症状であり前期老年者に多い
長期安静状態や高齢により動けなくなることで起こる症状であり後期老年者に多い
これらの老年症候群は、加齢や環境の変化やストレスがその症状を悪化させると考えられており、多種多様な原因が複雑に絡み合い連鎖し他の症状も発症してしまうという悪循環に陥ってしまうことが多くあります。
このように、老年症候群になる原因は個人によって異なり特定することが難しく、明らかになっていないのが現状です。
脳・・・認知症、せん妄、記憶力低下
目・・・視力低下
耳・・・難聴
骨・・・弱くなる、骨粗鬆症
関節・・・骨関節変形、関節痛
この他にも腰痛や膀胱委縮、尿失禁、瀕尿など様々な症状があります。
もっと詳しい症状はこちらの図を参考にするとわかりやすいです。
疾病構造と老年症候群
出典:国立長寿医療研究センター
老年症候群は高齢者1人ひとりの生活する環境や性格などを把握し原因がどこにあるのかを探り、早急に対処することで予防や改善に繋がります。老年症候群を詳しく知っておくことで、利用者の明るく楽しい生活を守ることができ、不安から医療機関を転々とするドクターショッピングなども防止することができます。
また老年症候群を知ることで、利用者の症状の改善方法が見えてくることもあるため、知識として持っておくことはとても大切です。
老年症候群は加齢による身体機能の低下によりでてくる症状ですが、予防や改善方法もあるため症状がでないように、または改善に向かうよう考えた介護をすることが大切です。
老化だから仕方ないと思うのではなく、よりよい生活を続けさせてあげるためにできることを考え1人ひとりに寄り添った介護をすることで老年症候群の予防に繋がり質の高い介護サービスを提供することができます。これから介護の仕事に就きたいと思っている方、介護の仕事に転職を考えている方、老年症候群についての知識を身につけることで、利用者の症状が何によるものなのか、その複雑に絡み合った原因を解き、根本的な問題の解決に辿りつくことができる、そのような職員を目指してみてはいかがでしょうか。