介護福祉士は介護における専門的な知識と介護技術をもち、施設や在宅で介護を支援するお仕事ですが、施設や在宅で高齢者の介護で知らないうちに医療行為まで手伝ってしまっていたというケースが数多くあります!
その理由の多くは本人希望のためであったり先輩に指導されて疑いなくやっていたりというものでしたが、医療の知識がないのに医行為をしてしまって、何かあった時どうしますか?!考えてみるととても怖いですよね!
そんな介護士の方々に、今やっている行為について考えるための内容をまとめました。
介護職員がやっていいのはどこまでなのか?知るためには医療行為とそうでないことを認識する必要があります!
平成17年に医療行為とそうでない行為の線引きをするために、厚生労働省が医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈についての通知をしその中で介護職員がやっていいこと明確にしました。
介護職員がやっていいことは次の通りです!
と明記されても実際には状況によってはできない行為になることもあります!
では問題と答えに分けていくつか出題してみたいと思います!
<問題1>
爪切りを行おうとしたところ爪が厚くなって白っぽくなっていたが、 特に気にならないようなので、普通に爪切りをした。 |
爪切りは上のやっても良いとされる項目に入っていますが、これはどうでしょうか?!
爪切りの場面ではよくあることだと思います。
<答え>
爪を切ってはいけません!
爪になんらかの異常を発見した時には介護職員さんは爪を切ってはいけません!
爪白癬や爪水虫などが疑われますので医師または看護士に報告、相談しましょう。
<問題2>
入居者さんの耳垢を除去しようとしたところ、耳垢が固まって耳の穴を ふさいでしまっていたが、いつも通りに耳垢の除去を行った。 |
こちらも爪切りと同様いつもとちょっと違う様子の場合ですが、これはやってもいいのでしょうか?
<答え>
この場合は耳垢除去はやってはいけません!
これは耳垢窒栓という状態になっている可能性があり、専門的な処置が必要な場合があります。
医師または看護士に報告、相談しましょう。
<問題3>
訪問介護に行った際、もう5日も排便がでていないので浣腸をしてほしいと 言われたので、市販の浣腸を挿入した。 |
浣腸における問題ですが、これはどうでしょうか?
<答え>
やっても良いです!
しかし介護職に使用が認められている浣腸は規格が決まっており、ノズルの長さが6㎝以下でありグリセリン濃度が50%以下そして容量40グラム以下となっていますので、それもきちんと知っておくことが大切です。
<問題4>
夜間の呼び出しで、たんがからんで苦しいので吸引してほしいと言われ、 以前吸引の研修を受けていたので自分でたんの吸引を行った! |
たんの吸引は医療行為になるのでしょうか?!
<答え>
やっても良いです。
たんの吸引は医療行為ですが、指定の研修を受けた介護士さんは行えるようになりましたのでやっても大丈夫です。
しかし、研修を受けていない介護士さんは、看護士さんを呼んできてやってもらいましょう。
※どうだったでしょうか?!やっても良いとされたことのなかにも制限があることがわかったと思います!施設の中で当たり前にやっていることとされている中にもしかしたら医療行為ではないのかな?!と自分なりに考えてみることも必要かもしれませんね。
施設ではあたりまえにやっているからいいではなく、職員全員で施設内の役割分担をしっかり明確にすることがこれからやっていかなければならない課題ではないでしょうか。
耳垢の除去もなんの異常もみられなければ介護職員でもできることになっています。
でも耳掃除の仕方がわからない!そんな方に耳掃除のやり方やポイント、注意点を簡単に解説します。
耳垢にはカサカサした乾性耳垢とねっとりした湿性耳垢があります。
これは遺伝によって性質が異なるものなので、人によって違いますので耳垢のタイプを見分けることが必要です。
乾性耳垢の方の耳掃除は、耳かきを使いと便利です。
外耳道の皮膚に問題がなければ量が少なく自然と外に排出されるので、耳掃除は手前の耳垢を取り除くくらいで良いです。
外耳道の硬い高齢者や外耳炎を繰り返していて排出能力が低下している方は外耳道入口付近の耳垢を掻きだしてあげたほうが良いでしょう。
だいたいの耳かきの頻度は2週間に1回くらいが目安です。
※注意点
耳かきは硬いので外耳道の皮膚を掻いてしまうと湿疹や傷の原因となるので、上手に耳垢だけを掻きだしましょう。
さらに耳かきを行う時には、人がぶつかって耳に刺さるととても危険ですので、周りに誰もいないことを確認し、耳かきは1センチ以上奥にいれないようにしましょう!
湿性耳垢の方の耳掃除は、綿棒を使い、外耳道の周りをくるっと拭き取る程度に掃除をします。
湿性耳垢の方は乾性耳垢の方よりも耳垢の分泌量が多いので数日に1回の頻度で耳掃除をすると良いでしょう。
※注意点
綿棒を奥に入れすぎてしまうと耳垢が押し込まれて、耳が聞こえにくくなったり炎症をおこしてしまう可能性もあるので、気をつけましょう。
耳かきも綿棒も耳にささってしまうと大変危険ですので、細心の注意をはらい、明るい照明のもと、見える範囲内だけにしたほうが安全です。
爪切りも耳掃除同様、異常がない爪を切っても良いことになっています。
でも爪切りに慣れていないまたは初めて爪切りをする方に、爪切りのやり方やポイント、注意点を解説していきたいと思います。
高齢になると爪が厚く硬くなったり変形したりと爪切りが困難になります。
無理な爪切りをしないように心がけることが最も大事です。
爪を切る道具としては、爪切りやはさみ型の爪切り、ヤスリ等を使用します。
爪切りのポイントとして、硬くなった爪は、ぬるま湯にしばらくつけると切りやすくなります。
そのためお風呂上がりが最も適しているでしょう。
爪を切る時の体制ですが、高齢者さんの横に並んで切ると切りやすいです。
足の爪を切る場合は自分のふとももに足を乗せて安定させた状態で切りましょう。
※注意点
爪の形にそって丸く切ってしまうと巻き爪の原因になりますので、スクエアカットになるようにしましょう。
またスクエアカットにすると両はじがとがってしまい危険なので角を少し落とすように切り、ヤスリでなめらかになるようにすると良いです。
爪は一度に切ろうとするとヒビがはいりやすいので、少しずつ丁寧に切りましょう。
健康な爪でもとても切りにくい爪があったり、爪の弱い方がいたりと様々ですので、無理をして切らずにヤスリで整える程度にする場合もあります。
爪切りも細心の注意をはらわなければ出血や傷の原因になりますので気をつけて行うようにしましょう。
医行為とそうでない行為が明確になったことで、きちんと分担を分けているか、今一度確認する必要があるかもしれません。
あいまいになっている場合は介護士さん本人がやっても良いことを知識として頭にいれ、些細なことにも疑問を持ち、考えて行動するように心がけると良いですね。
お世話をしてあげたい一心なのに、知らないうちに法に触れていた!どうにかしてあげたくて自己判断で医行為をしてしまい怪我をさせてしまった!
そんなことにならないように皆が医行為にならないことを把握し、役割をきちんと分担してお世話をすることで入居する方やその家族にも信頼と安心を与えられるのではないでしょうか。