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介護に携わる方に知っていてほしい、人生を振り返り伝える”ディグニティセラピー”

ディグニティセラピーの「ディニティー」とは「尊厳」という意味です。自分が輝いていた時代を思いだし、人生の意味について振り返る機会を与えてくれます。振り返った内容はテープや手紙に残し、家族など大事な人に伝えます。この効果は大きく、ご本人の精神も前向きにしてくれ、家族同士の絆も深くしてくれるでしょう。
当ページではディグニティセラピーについて詳しく解説していきます。ディグニティセラピーという言葉を初めて聞いた人でもわかりやすいようにお話していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

ディグニティセラピーとは?

ディグニティセラピーとは、末期がんなど終末期の患者さんに対するスピリチュアルケアのひとつです。DTと省略される事もあります。まさにディグニティ(=尊厳)をキープする目的の精神療法的アプローチ法です。

このセラピーは、カナダのマニトバ大学精神科教授チョチノフ博士によって2005年に発案され、末期の患者さんがこれまでの人生を振り返り、自分にとって何が一番大切だったかを明確にし、ご家族など自分の周囲に伝える機会を与えるものです。

ご自分の人生を振り返る最良の機会を与えてくれるのがディグニティセラピーです。クリニックによっては、このようなスピリチュアルケアを集中的に行っているところもあります。

ディグニティセラピーはきちんとシステム化されており、緩和ケアに長年携わってきたドクターや心理士など、専門家でなくても実践しやすく、短期間で効果的な精神介入が確立できます。

今まで伝えられなかった気持ちを手紙やテープを通して伝え、新たな心の交流を生み出すきっかけにもなっています。受け取った家族や友人にとっては、最高のプレゼントになりますね!

ディグニティセラピーの基本の手順

ディグニティセラピーでは、患者さんが最初から最後まで自分で創作するわけではなく、9つの質問について患者さんがひとつずつ答えていくという流れです。
9つの質問はシンプルそうに見えてどれも深く、考えさせられます。人生を振り返るといっても漠然としていますが、この9つの質問に沿って考えを巡らす事ができるので、患者さんはスムーズに人生を振り返れるでしょう。

ディグニティセラピーの手順

※手紙でも大丈夫ですが、ここでは話して語る事を想定として手順を紹介します。

  • 9つの質問に沿って、面接者を相手に、大切な家族や友人に言い残しておきたい事を語る
  • 患者さんの話している内容を録音し、面接官は文書を作成する
  • 本人が文書の内容に相違ないかチェックする(読み上げる)

終末期を迎えている患者さんにとって、最も重要なのがディグニティすなわち尊厳です。
尊厳について、人々が自分の言葉でどんな事を語っているのが聞く事は非常に大切です。
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基本となる9つの質問

1 あなたの人生の中で、一番思い出として残っている出来事、あるいはあなたが最も重要だと考えていることはなんですか?あなたが人生で一番生き生きしていたのはいつのことですか?
2 あなたが大切な人に知っておいてもらいたいことや憶えていてほしい、何か特別なことがありますか?
3 あなたが人生で果たしてきた役割(家族内での役割、職業上の役割、地域社会での役割など)のうち、最も重要なものは何ですか? なぜそれはあなたにとって重要なのですか? そして、それらの役割においてあなたが成し遂げたことは何ですか?
4 あなたが成し遂げたことの中でもっとも重要なことは何ですか?一番誇らしく思ったことは何ですか?
5 大切な人達に言っておく必要があると思いながらもまだ言えてなかったこと、あるいは、できればもう一度言っておきたいことがありますか?
6 大切な人達に向けてのあなたの希望や夢は何ですか?
7 あなたが人生から学んだことの中で、他の人達に伝えておきたいことは何ですか?(息子、娘、夫、妻、両親、その他の人達)に残しておきたいアドバイスあるいは導きの言葉は何でしたか?
8 大切な人の将来に向けて役に立つような、伝えておきたい言葉、あるいは教訓めいたものはありますか?
9 この半永久的な記録を作るに際して、他に追加しておきたいことがありますか?

タイミングや時間は?

本人の意志があれば、いつでもディグニティセラピーは実施できます。過去の患者さんの中には、ディグニティセラピーを行って10日後にお亡くなりになった方もいます。

おすすめのタイミングとしては、1時間ほどの面接に耐えられるくらいの体力がある時期です。質問は基本的に9つ用意されていますが、状況に応じては一つだけでも問題ありません。

どんな効果があるの?

全ての人に有効だと言われているディグニティセラピーですが、実際の効果はどのようなものなのでしょうか。

本人への効果

  • 生きる意欲の向上
  • 人生の目的を持ち直す
  • 自尊心の向上
  • 人生に対する幸福感
  • 人生に対する満足感

家族への効果

  • メッセージが心の支えとなる
  • 家族の絆が強くなる
  • 本人との心の距離が近づく

前向きな効果を生み出してくれるようですね!

<まとめ>

いかがでしたか。
9つの質問の中にあるように、自分が何を目的に生きているか、何を達成して一生涯を終えるのか、その人生は自分にとってどんな意味があったのかなど…、このような根本的な質問を突きつけられると、意外と深く考えてしまいますよね。
ディグニティセラピーはこのように、自分自身や自分の人生を見つめ直す時間を提供してくれます。答えに正解、不正解はありません。どんな答えにも意味があります。
ディグニティセラピーによって自分の想いを伝える事で、自然と心が穏やかになる事も期待できます。末期だからこそ、ディグニティセラピーが必要なのではないでしょうか。

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