介護の仕事は体を使って介護者のお世話をするばかりではなく、事務的な作業もたくさんあります。
今回は事務作業である給付管理業務について、詳しく解説していきたいと思います。
これから給付管理業務を任される方や介護の仕事に興味があり事務的なことも知っておきたいと考えている方必見の情報です。
介護サービスを利用すると介護サービス利用料がかかります。
そのサービス利用料の利用者負担分を除いた金額は国民健康保険団体連合会に請求することになります。
それを請求するにあたって利用者のサービス予定を組みサービス提供事業者との調整を行い実際に利用したサービスの確認やかかった費用の算出、書類作成などの一連の流れ全般のことを給付管理業務と言います。
給付管理業務は一般的には介護支援事業所のケアマネージャーが行う仕事となっています。
要介護者、要支援者、支援事業者、サービス事業所それぞれがどこにどのような手続きが必要になるのでしょう。
手続きと共に給付費のわかりやすい流れを記載した下図を参考にしてみてください。
参考資料:宮城県国民健康保険団体連合会
ケアマネージャーが行う給付管理業務の流れをわかりやすく表にまとめました
<管理業務フロー表>
① | 介護を受けたい方のサービス利用申し込み受付 |
② | 利用者のサービスに対する要望、選択を受け、課題の分析をする |
③ | 介護サービス利用計画を立てる |
④ | 介護サービス利用者の方の一カ月の利用計画表を作成し利用者に説明する 説明した内容に同意を得たらサービス利用票・サービス利用票別表を交付する (利用票と別表は2部用意し1部は控えとする) |
⑤ | サービス提供事業者と調整を行いサービス提供事業者にサービス提供票・サービス提供票別表を交付し、実際に行ったサービスの利用実績を記入してもらう(提供票と別表は2部用意し1部は控えとする) |
⑥ | サービス提供事業者が記入した実績をサービス提供票の控えを基に確認 |
⑦ | サービス利用票などに基づいて介護給付費請求書・介護給付費明細書・給付管理票を作成し国民健康保険団体連合会に送る |
⑧ | 記入されたサービス提供票を基にサービス利用票の控えに実績を記入しサービス利用票別表で再度計算して利用者の負担額をだし利用者の方に渡す請求書を作成する |
給付管理業務ではさまざまな書類を作成することになりますが、その各書類の役割やポイントを紹介します。
サービス利用票とは利用者の方の一カ月の介護サービスの予定と実績を記入し管理するもので、サービス提供を開始する前に作成します。
2部作成し1部は控えとして保管し記入・管理に使います。
給付限度額や利用者負担などの確認をしっかりして基本項目を埋め変更があった場合は必ず再度確認する。
記載例
サービス利用票別表は利用者の支給限度額を管理し、その月の利用者の負担金額をだすための書類です。
2部作成し1部を控えとします。
記載例
サービス提供票とはサービス利用票の中から各サービス提供事業所に関係するものを記載した書類になり、それを基にサービスを提供することになります。
サービス提供票別表では利用者の方の支給限度額を管理します。
記載例
出典:高齢者住宅仲介センター
給付管理票は、各サービス提供事業所に交付したサービス提供票(実績を記入したもの)と控えとして利用予定を記載したサービス利用票を照らし合わせ間違いがないか確認した後その利用実績を給付管理票に記入、国民健康保険団体連合会に送付しかかった利用料を請求します。
※記載例の場合、要支援2なので、区分支給限度基準額( 104730単位)を超えれば、返戻しになります。
どの書類においても確認しながら確実に記入することとサービスの日時はきちんと早い時間から順番通りに記入することがポイント。
変更があった場合には書類を再確認し計算の見直しを行いましょう。
給付管理業務を行うことで、介護サービスを行ったサービス提供事業所へお金が入ることになります。
確認を怠ったり、必要な書類を出し忘れてしまうことで事業所に入るはずのお金が入らなかったり、遅れたりすると介護報酬で成り立っているサービス提供事業所に大きな影響を与えてしまいます。
利用者の負担金においても支給限度額を超えてしまうと高額な利用料になってしまうことがあり、利用者側の変更やサービス提供事業所の変更などを常に確認し他職種とのコミュニケーションを常に保ち情報を交換し、変更のありなしの最終確認をこちらからも行うなどの注意が必要です。
給付管理業務は書類上の問題として考えるのではなく、支払いが遅れるとどこに影響がでるのかまわりの状況を把握しながら業務する必要がありお金に関係する業務であるため細心の注意を払わなければなりません。
また国民健康保険団体連合会へ送付する給付管理票の締め切り日は10日となっているため遅れないようにしましょう。
給付管理業務ではたくさんの利用者の方の介護サービスの予定や利用を確認しなければならないため、自分の中での情報管理や他職種とのコミュニケーションを良好にして情報交換をスムーズに行える環境を整えておくことが大切です。
また利用者の負担金額や事業所に入る報酬を算出するため間違いのないよう細心の注意を払いながら業務をこなす必要があります。
これから給付管理業務を任されそうな方、初めて給付管理業務を行う方、たくさんのことを一度に頭にいれて整理できない場合は常にメモを持ち歩きやるべきことを書き、変更などがあればすぐに書きとめてひとつずつ確実に対処していくことをオススメします。