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介護職ケアマネージャーの『ケアマネジメントプロセス』と『モニタリング』

経験の浅いケアマネさんでは、何から始めたらいいのか分からないという方も多いのでは?どんな仕事にも手順がありますね。ケアマネにも、最初に覚えておかなければいけない仕事のプロセスがあります。
この記事では、ケアマネジメントの基本的なプロセスと、評価やモニタリングの重要性についてご説明します。

ケアマネの基本的なプロセスをおさえよう!

♦ケアマネジメントとは?

ケアマネジメントは、「対象者の社会生活上でのニーズを充足させるため、適切な社会資源と結びつける手続きの総体」という難しい定義がされていますが、要するに、地域リハビリテーションを実行するための方法と言えます。
「ケアマネジメント」という用語以外にも、ケースマネジメント、ケアコーディネーションといった呼び方もあります。
まず、ケアマネジメントの例を示しますので、ケアマネジメントの実際をみてみましょう。

♦ケアマネジメントの考え方

ケアマネジメントは、基本的に利用者の社会生活を中心に考えていくものであり、お客さん自身が、その生活を自己決定していく事をサポートしていく役割です。ケアマネジメントは、利用者の自立支援をしていくもので、生活のクオリティ向上のために、サポートしていきます。
また、ケアマネジメントは、お客さんの人権を保護するものにもなります。しかし、ケアマネジメントとは比較的新しい概念でもあり、はっきりした定義があるわけではありません。
ケアマネジメントの目的は、利用者の方に適切なサービスを提供し、調整していく事です。
そのため、ケアマネジメントを構成する基本的な条件としては、以下のものが必要です。

  • 利用者(お客様)
  • ニーズを充足する社会資源
  • 適切なケアマネージャー

さらにケアマネジメントを把握していくと、「ケアマネジメントを実施していくプロセス」も加わるようになります。
このケアマネジメントを実施していくプロセスは、1つの方向ではなく、円環的な手順を繰り返すという考え方が重要です。本人の生活、そして家族の生活がどう変化しているのか、またそれにより、今度はどのような課題が生まれているのかを繰り返し確認し、希望通りの生活に近づくように改善する必要があります。
この円環的なサイクルは、PDCAサイクルと呼ばれています。

P・・・PLAN(計画)

D・・・DO(実施・実行)

C・・・CHECK(点検・評価)

A・・・ACTION(修正・改善)

この過程を繰り返し、支援が途切れることなく、改善を重ねていくことが可能になるのです。

♦ケアマネジメントの全体の流れ

ケアマネさんの中で、もしも仕事に行き詰っている方がいたら、ケアマネの仕事の流れが分かっていない可能性もあります。仕事の全体プロセスが見えていなければ、次に何をしたらいいのか分からなくなるのは当然です。
実際、ケアマネジメントのプロセスは、意外とシンプルです。以下、流れを見ていきましょう。

①アセスメント

相談しに来た方と面談を行い、相手の事を知った上で、生活上の問題やリスク、介護に関するご希望を聞いていきます。


②ケアプラン作成

利用者の問題を解消するために、要望に沿ったケアプランを作成していきます。


③サービス担当会議

問題解決のために必要な専門家に、ケアプランを確認してもらい、何か問題がないかどうか検討していき、最後には本人の了承も得ます。


④モニタリング

ケアプランを実際に実行してみて、その後の様子を利用者から聞きます。


⑤評価

目標期間が経過したら、その結果を踏まえてケアプランを見直しします。

漏れがないように、上記のプロセスを進めていきましょう。流れを無視して進めるとうまくいかなくなります。一つ一つのプロセスを、正しく進めていく事が大事です。
アセスメントがきちんとできているからこそ、ケアプラン作成ができます。ケアプランが丁寧に作成されているからこそ、意味のあるサービス担当者会議が開けるのです。

♦ケアマネジメントの課題

ケアマネジメントにも、課題がないわけではありません。問題がこじれる原因の多くに、ケアマネジメントの現状について、共通認識が不足しているという事が挙げられます。
カンファレンスで情報共有を図り、プラン作成していく事は、ケアマネジメントの基礎となりますが、実行する事は案外とても難しいものです。

介護さん3

ケアマネにとっての評価ポイントって?難しい点は?

♦介護サービスはモノではないから評価が難しい!

「評価」と聞くと、とても難しいイメージがしますよね。ケアマネジメントにおける「評価」も、大変難しいものです。なぜなら、介護サービスはモノではないからです。モノは形があり、目にもはっきり見えるので評価しやすいですが、サービスの評価をするといっても、形はないですし、どこに目を向けて評価したらいいのか、分かりませんよね。介護サービスは、行為そのものなので、形に表す事ができないものです。利用者の心身の体調やレベルに応じて、ケアプランの中身も変わっていきます。
今日のケアと同じやり方が、明日にも使えるわけではありません。

♦評価基準の設定

ケアマネは、典型的なヒューマンワークであり、スタッフの力量が活かされるだけでなく、顧客満足度の条件は必ずしも一定ではなく、状況に応じて変わります。
このような意味で、ケアマネにとっての評価は、製品評価とは違った基準が求められます。
質の高いサービスを提供できる状況にあるかが評価できても、実際に質の高いサービスかどうかを評価できるのは、ケアマネではなく、利用者本人しかいません。
しかし、多くの利用者は、介護が必要であるくらいなので、自らそれらを表現したり、文字化する事ができない場合もあります。中には、判断能力が欠けている方もいらっしゃいます。だから正確な評価が難しくなってきます。これが、ケアサービスの評価をより一層難しくしている原因でもあるのです。

基準を設ける事も、実際とても難しいです。単に自動車などのモノを評価するのであれば、燃費や安全性などが基準となりますが、介護サービスは、何をもって評価基準とすればいいのでしょうか?
利用者満足度レベルという基準もあれば、目標達成度を評価軸とする選択肢もあります。効果を基準にする方法もあるでしょう。また、ケアの充足度も有り得ます。
しかし、これらは全て結果が評価につながります。

評価にジレンマはつきもの!
評価する上で、必ずあるのがジレンマです。努力については、高い評価をあげる事ができても、結果が伴っていない場合には、評価に困りますよね。
すごく頑張ったのは分かっているのだけれど、結果が…という時、どのような評価を下せばいいのか、皆さんも葛藤した覚えはありませんか?その時の感覚と、ケアマネにおける評価の時の葛藤もよく似ています。

♦基準は「誰がこの評価を参考にするか」

そこで基準となる視点は、誰がこの評価を参考にするかという事です。つまり、評価の利用に視点を向けます。この評価が、どのような判断や決定に影響するのか考える事も重要です。

モニタリングの役割と重要性

介護さん4

ケアマネージャーは、サービスを受ける要介護者と実際に会い、受けたサービスがどうだったか、問題はなかったかなど、感想を聞き取り調査(ヒアリング)していきます。これを「モニタリング」と言います。
また、ケアマネは、サービス提供事業所に対しても、要介護者に適切なサービスを的確に提供する事ができたか、サービスの利用時間に問題はないかを投げかけて確認していきます。これも大事なモニタリングです。つまり、モニタリングとは、ケアプランを作成した後に、入居者の日々変化する状態に合わせて、入居者本人や家族の希望を聞きながら、サービス提供事業所へ目標やサービス内容の変更を調整する役割を担っているのです。またこのモニタリングは、日常会話のやり取りとは違いきちんとした場を設けること、そして定期的にモニタリングを行うことで、現在の状況をしっかりと記録し、今後の方針につながることができるのです。

モニタリングのポイントは、
◇前回から今回までの間で具体的に変わったことはないかを見極める。
◇要介護者、またはそのご家族に、希望の変更がないかを確認する。
◇定期的なモニタリングにより、要介護者とサービス提供事業所双方からの信頼を得るよう努力する。
ことが大切です。

介護保険の要介護認定には、原則、有効期限があります。期限が切れる一ヶ月前には、市町村から認定更新のお知らせが届くはずなので、利用者・ご家族は、これを更新する必要があります。この申請は代わりにケアマネが行う事もできます。
また、サービス提供中に要介護者の状態が悪化し、介護度に変更があった時は、変更区分の申請が必要になります。この作業についても、要介護者や家族が行う事ができますが、ケアマネが代行する事も可能です。変更区分の申請をするには、変更理由も書かなければいけないので、注意しましょう。

経験の浅いケアマネージャーだと、なかなか目標達成できなかったり、プラン通り進まない事もたくさんありますが、何ができたら目標達成と言えるのか、どのようなリスクが想定できるかなどを、利用者・ご家族と共に事前に検討してみる事も大切です。
その上でモニタリングを行っていけば、自分が何のためにモニタリングを行うのかも、イメージつきやすいですし、会話を通してヒントが得られる場合もあります。
ケアプランの実施評価については、実績確認や、翌月のサービス内容確認の時などに話題に出すといいでしょう。ただし、モニタリングとはケアマネージャーの知識やセンス、視点など、総合的スキルが試されるプロセスであり、目標を振り返って判断するだけでは、もっと大事な変化を見過ごしてしまう可能性もあります。ケアプランの実施状況とは、直接関係しない環境の変化についても、十分にモニタリングしていくようにしましょう。
ケアマネの仕事の中で、モニタリングは最も時間を必要とする大事な過程です。しっかり確認していきましょう。

<まとめ>

いかがでしたか?
ケアマネジメントの大まかな流れや、評価、モニタリングのポイントについて、学ぶ事ができましたね。
まずは全体のプロセスを理解し、頭に入れて順番通りに進めていく事が大事です。
その上で、一つ一つの作業を丁寧に行い、評価、モニタリングと進んでいきます。
前のプロセスが不十分だったりうまくできていないと、次のプロセスにも響いてしまいます。介護サービスという形ないものをお客様に提供するわけですので、やはり事前準備は重要です。モニタリングや評価においても、ポイントを絞って進めていけるようにしましょう!

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