会話をしていて、どう切り返せばよいか、悩んでしまったことはないでしょうか。
仕事の中でも、相手の話を真剣にきいているのだけれど、適切な質問が思い浮かばず、議論にならない、着地点がみつからない…といった経験のある方もいるでしょう。
今回は、ビジネスシーンで質問がうまくできない方のために、質問力をつけるコツについて記載しています。仕事の場ではもちろんのこと、プライベートでも、質問力があると話が盛り上がり、コミュニケーションも円滑にすすみます。自信がないという方も、是非、身に着けておきましょう。
仕事する上では、コミュニケーション能力が高い人の方が、圧倒的にスムーズに仕事が進められ、かつ質の高い仕事ができます。このコミュニケーション能力の中には、質問力も含まれます。コミュニケーションが上手な人は、実は何気に投げかけている質問の仕方もうまいのです。といっても、働いている人、皆が皆、コミュニケーションに自信を持っているとも限りませんよね。中には人とのコミュニケーションが苦手で、業務にも支障をきたしているかも…という方もいるのではないでしょうか。コミュニケーション能力を向上させるには、ただ人とやみくもにおしゃべりすればいいわけではなく、質問力を鍛える、的確な質問を投げかける事も非常に大切です。
介護業界で働いているものの、利用者やご家族の方に、どんな質問を投げかけていいのか分からないという方は、意外と多いです。介護に関わらず、相談援助職、対人援助職などの仕事をしている人であれば、多くの方が「質問の仕方」に少なからず悩んでいるのです。
利用者やご家族の本音を探りたくても、質問スキルがなければ、話は深いところまで進みませんし、真意を探る事はできません。また、円滑なコミュニケーションをしていく上でも、質問を挟んでいく事は不可欠です。
どのように質問すればいいのかわかっていない方は、「失礼にならないだろうか」、「踏み込み過ぎではないだろうか?」など、自分が質問しようとしている事に自信が持てず、躊躇してしまう傾向にあります。
また、ケア会議などの法人内会議や、事例検討会やカンファレンスなどのシーンでも、問いたい事があっても、質問の仕方で悩み、結局質問せずに終わってしまったという方も多いようです。
それだけ質問というのは、当たり前にできるようで、とても難しいものなのです。
質問に困る場面の例はたくさんあります。例えば、ケア会議などの進行役として参加者に何か気のきいた質問をしたいのに、その切り口が見つからず、結局質問がうまくできず、全体が盛り上がらずに終わってしまったというご経験をされた方もいらっしゃいます。
質問にもコツがあります。組み立て方、さらにアセスメントやモニタリングでの活用の仕方、磨き方まで、実践的に学んでいく事で、上手な質問ができるようになります。質問力は、介護スタッフの方だけでなく、管理職の人達にとっても大事なスキルです。
介護業界においての質問では、本人にたくさん語ってもらい、答えやすい質問、答えたくなるような問いかけをしていく事がポイントです。しかし実際は、抽象的な質問だから答えにくい、どう答えてよいかわからないから結局曖昧に答えるという利用者の方もいらっしゃいます。このようでは、利用者やそのご家族とのより良い関係作りや質の高いアセスメント面接ができません。良い質問は、利用者やご家族の方が、人生を振り返るきっかけとなる事があります。
懐かしいタイムマシンのようでもあり、自分と向き合う「鏡」のようになる事があります。
アセスメントと言うのは、心理査定、心理診断の事です。治療方針、処遇や援助の方針プランを作成していくために、症状や問題行動、それに関連した性質や個性、環境要因などを心理テスト、観察や診断面接、社会調査を行って、明確にする事です。介護においては、ケアマネージャーがケアプランを作成するために、まずはアセスメントで利用者の心理を分析していき、ケアプランに反映させていきます。だからこのアセスメントの段階はとても重要なのです!質問力を鍛え、より深い内容のアセスメント面接ができれば、ベストなケアプランができあがります。
アセスメント面接においては、スタッフ側が一方的な調査や査定、評価の印象を与えないように注意しましょう。本院も意欲的に参加できるアセスメント面接になるよう心掛けていきます。
利用者の会話時間が短ければ、それだけ自己主張もできなくなり、アセスメントやモニタリングがしにくくなります。
話の本質までたどりつくような質問ができるのが理想です。相手の話を聞くと、ポイントになる部分があります。そのポイントについて、ずらしたことを質問したり、掘り下げる質問になるよう工夫してみましょう。…といっても、わかりにくいですよね。
例を挙げてみましょう。
相手にお姉さんがいるという話なら、「兄弟は他にいらっしゃるんですか?」と、少し話をずらし、家族関係について掘り下げてみると、話がどんどん膨らみます。相手に姉がいるという情報だけでも、話を広げるための質問はたくさん思い付きます。簡単な内容でいいのです。例えば、「他の兄弟とお姉さんの性格は似ているんですか?」などでもいいですよね。兄弟と良い関係を築いている方なら、喜んでお話してくれるはずです。
このように、少し掘り下げて質問していく事により、相手はもっとしゃべってくれ、結果的に相手の事をよく知る事ができるのです。
質問相手はこんな質問されたくないだろうなと、何となく予測できる事ってありますよね。それの反対で、相手が質問されたいと思っている事について、想像・分析してみて、相手が喜んで答えてくれそうな質問をあえてしてみましょう。つまり、相手が話したがっている事を質問するのです。相手が饒舌に話しそうなところから始めるのがポイントです。自分が引き出したい情報とはあまり関係ない話題でも、まずは相手とコミュニケーションをとる事の方が重要です。
「この人になら話してもいいなあ」と、心を開いてもらうためには、直接関係ない話でも、相手がガンガン話せるような内容を質問してあげましょう。
余裕があれば、話す前にある程度相手の下調べをしておくのもいいでしょう。以下に多くの必要な情報を引き出すことができるかは、会話の冒頭で効果的な質問ができるどうかにかかっているのです。
話を聞くときは、相手が、「ものすごく興味深く聞いてもらえている…。自分の話はものすごく面白いんだ!」と錯覚してしまうくらい、楽しそうに聞いてあげるのもコツです。楽しそうに聞いてもらえていると、相手も気持ちが良くなり、のってくれるとこちらから投げかけなくても様々な話をしてくれます。
これはかなり高度な質問力です。質問されるまでは、相手が自分でも気づかなかったような答えを導きだしてあげられるような質問ができると、かなりレベルが高いでしょう。いわゆる「クリエイティブな質問」です。新たな発見があると、その会話は相手にとっても気づきが多く、意味のあるものになりますよね。そのため、相手の話を注意深く聞き、「なぜそう思うのか?」「別の方法だとダメなのか?」といった、相手に考えさせるような質問を投げかけてみてください。そうすれば、相手も考える機会が与えられる事になり、新しい気付きが生まれるかもしれません。
いかがでしたか?質問力をつけるためのポイントをご紹介してきました。
質問力は、話の本質へたどりつくことで真骨頂を発揮します。コミュニケーションのスキルとしての質問力とは別に、「本質にたどりつく」、「議論を白熱させ双方とも予測していなかった解を見出す」といったことも、質問力がビジネスに必要とされる理由です。
始めは失敗してもいいので、まずは実践してトレーニングを積んでいきましょう!