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高齢者療養病床とは?メリット・デメリット、今後の見通しについて

今回は、高齢者療養病床について取り上げています。高齢者療養病床とは何なのか、高齢者療養病床が2017年に撤廃予定になる理由、高齢者療養病床のメリットやデメリットについて記載しています。

高齢者療養病床の代替案

  • 2017年度(平成29年)介護療養病床廃止予定

介護療養病床は、医療・看護の必要性の低い者が介護保険給付を受けながら入院しているという批判がありました。そのため、2017年度末に廃止される予定です。
出典:http://kokuho.k-solution.info/

※療養病床とは

長期療養が必要な患者のための病床を言います。これには、医療保険が適用される「医療型と、介護保険を使う介護型があります。利用者は共に75歳以上がほとんどです。厚労省は医療費削減のために、全ての介護型と医療型の一部を、2017年度末で廃止する予定であり、廃止後の高齢者の受け皿が課題となっています。

厚生労働省は、2016年1月15日、高齢者が長期にわたって入院する場合の療養病床の一部廃止に伴い、新たな施設創設の方針を決めた。住居医療の機能を併せ持つ「一体型」と、住居の近くに医療機関がある「併設型」の2種類。療養病床を持つ医療機関からの移行を促す。新施設は療養病床よりも「住まい」の機能を重視し、日常的に医療や介護を受けながら暮らせる施設を想定している。同日の厚労省検討会で了承された。
出典:毎日新聞(2016年1月15日)

厚労省がこのような新たな施設を創設するのは、介護型療養病床廃止を促進するためです。厚労省ははじめ、2011年度末まで全廃し、今までの介護施設に移行させる予定でしたが、実際、移行は進まず、退院後に行き場をなくす介護難民が増える事が心配されたため、廃止は2017年度末に延期したのです。
移行がなかなか進まない背景には、療養病床の利用者に必要な医療が、予想よりも難しく、これまでの介護施設では対応不可能になるかもしれないとの懸念があるからです。また、医療機関側も移行に伴うコストや、転換後の経営不安なども挙げられます。
新施設に対しては、これまでの介護施設より、日常的な医学管理・機能強化が求められています。
療養生活が長期に渡る事を踏まえ、プライバシー尊重や、ターミナルケアにも十分対応できる機能作りが、今後の課題です。医療機関からの移行が円滑に進むよう、施設の有効活用も考慮しています。
具体的な制度設計については、2016年度末から社会保障審議会で検討する予定です。2017年の通常国会への関連法案提出を目指しています。

高齢者療養病床とは?

高齢者療養病床

高齢者療養病床は、比較的少ないコスト負担で、深刻な要介護者を受け入れ、充実した医療処置と、色々な機能回復サービスを提供するものです。

高齢者療養病床の特徴

介護療養型医療施設(療養病床)は、主に医療法人が運営する医療施設で、特別養護老人ホームや介護老人保健施設よりも、重度な状態にある要介護者などを受け入れ、介護サービスをしていくものです。
施設では、食事や排泄の介助などの介護サービスが受けられますが、介護療養型医療施設は、あくまでも医療機関であるので、サービスが受けられるのは、本来急性疾患からの回復期にある寝たきり患者さんなどです。
そのため、特別養護老人ホームのように終身制ではなく、状態が良くなってきたら、退所を求められる事があります。

療養病床には二種類ある!

療養病床には、以下の二種類あります。

  • 医療型療養病床(医療型病床)…医療保険が適用される療養病床
  • 介護型療養病床(介護型病床・介護療養型医療施設)…介護保険が適用される療養病床

療養病床の目的・役割・歴史などについて

1992年:療養型病床群の制度導入
医療法改正で一般病床とは区別された、「療養型病床群」という制度が導入されました。
療養型病床群とは、病院の病床のうち、長期に渡って療養を要する患者を収容するための病床で、
人的・物的に長期療養患者に適した療養環境を持つ病床群の事です。

2001年:療養病床の制度導入

値上がりする医療費を抑えるため、2001年に施行された改正医療法により、これまでの療養型病床群が、「療養病床」へと名称変更され、新しいシステムが始まりました!
これにより、病床区分も見直され、今まで「その他の病床」としていたのを、「一般病床」と「療養病床」とに区別するようになりました。

介護療養型医療施設にかかる費用について

介護療養型医療施設にかかるコストが気になりますが、これは、家賃・食費・光熱費、雑費が必要となり、入居一時金は不要です。特養や老健と比べ、医療費の負担が大きいのも特徴です。
負担額は、本人や扶養義務のある家族の世帯収入・課税状況、相部屋が個室ユニットかなど、部屋タイプによっても違ってきます。

入居条件対象者は?

入居できるのは、基本的に65歳以上の要介護1以上の認定を受けている人です。また、伝染病の疾患がなく、病気での長期入院を必要としない事など、施設によっても条件が異なるので、事前に確認しておきましょう。入所申請は、面談や主治医の診断書を通して、本人の健康状態や介護度を審査し、入所判断を行っていくという流れです。

介護療養型医療施設に入所することのメリットって?
介護施設2

高齢者療養病床は、介護・看護師や医師、介護福祉士、管理栄養士などのスタッフによって、
医療サービスが提供されています。そのため、それぞれに特化した高質なサービスを受けられる他、介護サービスの体制も整っています。「療養」を目的とした各種サービス全般が受けられるので、とても頼れます。
医療ケアの充実は、介護療養型医療施設に入所する上での最大のメリットだと言えるでしょう。いえるでしょう。医師は入所者100人に対し、3人体制で、最低1名は常駐してくれます。
施設は病院に併設されている事も多いので、胃ろうやカテーテル、インスリン治療などの医療ケアが常に必要な寝たきりの利用者にとっては、非常に価値の高い施設となるでしょう。また、一般病棟を併設している事が多いため、状況が悪化すれば、すぐに一般病棟に移動できる点も安心です。
さらに、専門的なリハビリ知識を持った理学療法士や作業療法士が配置されているので、寝たきりであっても機能訓練が受けられるのも魅力です。
入居にあたって、入居一時金はかかりませんし、料金についても、民間の有料老人ホームと比べて安いので、同じ医療ケアを受ける際に、医療保険を使った場合と介護保険を使った場合、介護保険を使った場合の方が安い方にとっては、利用するメリットが大きいです。
一ヶ月で部屋代も含めて、相部屋であれば10蔓延程度で利用できるので、経済的に余裕のない方からも人気の高い施設サービスです。

デメリットもあるの?

介護療養型医療施設に入所することのデメリットもあります。介護療養型医療施設は、制度の廃止が2017年度末に一旦は廃止の方向性になるなど、今後、渡期に立たされている施設でもあります。今も尚、介護療養型医療施設のあり方は、議論されています。
2015年4月の介護報酬改定に伴い、介護療養病床の新しいタイプとして、「療養機能強化型介護療養型医療施設」が新たに設けられました。このような制度の変化がある可能性が大きく、施設の存在が今後どうなるか分かりません…。
長期入所を希望する方にとって、これは大きなデメリットになります。
療養病床を持つ病院によっては、介護老人保健移設や医療保険が適用される医療型療養病床への転換を予定している場合もあるので、確認しておかないと、入所してから「こんなはずでは…!」という事態になる場合もあります。
また、本来であれば急性期を過ぎた寝たきりの患者に対して医学的管理を行う事が目的なので、症状が改善すれば退居させられるケースも多く、終身利用できるわけではないという点にも注意です。
さらに、コスト面においても、医療処置などが多くなった場合には、別途医療的な加算がついてしまうので、人によっては入居費用が思っていたよりも高額になる恐れもあります。前もって
ソーシャルワーカーやケアマネージャーなどに確認しておきましょう。

一般的な老人ホームと比較してみると、プライベートスペースが少なく、病院へ入院しているような感覚と似ています。自宅と同じような気分で生活したいという方にとっては、あまり適さないかもしれません…。
一般的な有料老人ホームなどで提供される支援サービスやレクリエーションなども、あまり期待できません。このようなサービスの利用を考えている人は、入居する事自体が難しくなってきます。日常生活上のサポートやレクやイベントに参加したい場合には、民間が運営している有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居を検討する方が良いでしょう。

療養病床の今後と、浮き彫りになった課題とは?

高齢者が入院する「療養病床」が、廃止・削減されるという話が持ち上がっていますが、今後どうなるのでしょうか?
療養病床とは、病状は比較的安定しているものの、長期療養が必要な高齢者が入院する病床の事を言います。医療保険が適用される医療療養病床と、介護保険が適用される介護療養病床の二つに分類されています。医療型の方が、より手厚い医療が受けられますが、高齢者が病院にとどまり続けることは「社会的入院」と呼ばれ、医療費の無駄遣いとして問題視されてきました。
また、最期まで自宅で生活される事を希望する高齢者の方も多く、家ではない場所で長期間クラス事は、生活の質を落とす事にもなります。
厚労省は、医療・介護報酬改定で、病院が介護施設に転換する事が利点になるような報酬設定を検討しましたが、実際にどれだけ効果があるかは定かではありません。
社会的入院を解消するためには、療養病床を削減するだけでは不十分です。ご自宅でも介護施設でも、必要に応じて適切な医療を受けられるシステムを構築する事が課題だと言えるでしょう。

<まとめ>

いかがでしたか?
高齢者療養病床の仕組みについて、分かっていただけましたでしょうか。
高齢者療養病床には、メリットもデメリットもあります。また、最近のニュースからも分かるように、今後高齢者療養病床が、廃止の方向へ向かっていきます。高齢者療養病床がなくなっても大丈夫なように、これに代わる代替手段を考えていかなければなりません。
介護を必要とする高齢者の方達やそのご家族にとっては、今後、高齢者療養病床の先行きがどうなるのか、不安なところでもあります。
高齢者療養病床の利用を考えている方は、今のうちに、メリット・デメリットについて理解し、本当に利用価値が大きなものか熟考してみてくださいね。

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