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介護の現場でアセスメントの実施場所って決まっているの?

公的介護保険制度が実施されていく中で、各職種の連携の必要性が強調されてきました。
そこで「まとめ役」として登場したのがケアマネージャーです。
ケアマネージャーの第一の役割は高度な「アセスメント」能力を用いて、利用者にとって有効は「ケアパッケージ」を組むことです。
アセスメントなくして、ケアは始まりません。

アセスメントって何?クイズで知るアセスメントのポイント

突然ですが、ここで問題です。
初回のアセスメント(課題分析)の実施場所として最も適切なのはどれでしょうか?
3択です。

① 自宅
② 事業所
③ 病院

無題

答えは自宅です。
え?事業所で行ったり、入院している病院ではだめなの?と思いますよね。
これは、『指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準』が参考になります。
「介護保険施設等実地指導マニュアル」の改訂の中に書いてあるのですが、法律って言葉が多くて理解しにくいわ。なんて人も多いのではないでしょうか?
「居宅サービス計画の新規作成及びその変更に当たって、利用者の居宅を訪問し、利用者及び家族に面接を実施すること」 とされています。ここで求められる面接は、「利用者の居宅」で行なう必要がありますので、②の病院や③の事業所でのアセスメントではいけないのです。

アセスメントとは、事前評価や初期評価という意味を持ちます。
アセスメントとは、一般的には環境分野でよく使用される用語ですが、福祉分野においては、利用者の能力や抱える問題を見極め、問題に関する情報を収集し、状況分析・問題解決をするための方向性を見出すことをいいます。
アセスメントは、ケアマネジメント過程の中では、事前評価や課題分析ともいわれます。

出典:介護福祉用語辞典

アセスメントはケアを始める前の最初の情報収集です。
ただ漠然と利用者の課題をピックアップする作業ではなく、利用者自身のことをよく理解した上で、課題を導き出していくことが必要になります。
そこで、生活の主たる場所である自宅で、本人だけでなく家族からも情報を得ることがアセスメントで必要なポイントになるのです。
アセスメントの実施場所が原則自宅になっているのも納得ですね。

初回のアセスメントを実施する場所は自宅
これは大切ですので覚えておいてくださいね。

ただし、入院中の場合にアセスメントを行う必要があった場合、「暫定プラン」を立案し、退院後に改めてアセスメントをして暫定プランの検証を行うこともできます。

アセスメントの方法

まずはアセスメントシートの活用をしましょう。

アセスメントの実施場所が分かったところで、次は実際のアセスメントの方法です。
アセスメントにはアセスメントシートを利用するといいでしょう。

アセスメントシートとは…

利用者様の基本的な情報から、利用者様のを取り巻く環境などを記載します。
具体的には、「フェースシート」「家族情報・サービス利用」「サービス利用・住居」「健康状態」 「基本(身体機能・起居)動作」「生活機能(食事・排泄)」「認知機能・精神行動障害」「社会生活力」 「医療・健康関係」「全体のまとめ」「1日のスケジュール」を記載します。

出典:介護マスト

アセスメントシートは、ケアマネージャーが使う課題分析票です。
内容は、全国一律でなく、さまざまなものが開発されていますが、法令などによって決められた書式はなく、事業所によって定められているのを使います。
そうは言っても基準が必要ですよね。そこで、厚生労働省が示したたずねるべき事項を厚生労働省が示したガイドラインを「課題分析標準項目」を使います。
基本情報に関する項目と、課題分析に関する項目あわせて23項目で構成されています。

1. 基本情報に関する項目
無題
2. 課題分析(アセスメント)に関する項目
無題

出典:ケアマネージャー実務支援サイト  ケア・フリー

基本的にはこの課題分析標準項目23項目をすべて含んでいれば「合理的なものと認められる適切な方法」となるので、自分でこの項目を全て網羅してアセスメントシートを作り、それを使ってもいいのですが、多くの労力がかかるので、既存の物を利用する場合が多いようです。
課題分析標準項目23項目のアセスメントで一般情報を得た後、ケースの問題とニーズのありかを予想することが、優れたアセスメントの実践となります。
では実際にどのように課題分析を行っていくのでしょう。
それでは実際の例をもとにアセスメントの流れを見ていきましょう。

<CASE1> 認知性老人の方のアセスメントはどうするの?

認知症が疑われる老人のアセスメントで注意するのは、本人の話が家族からの聴き取りと食い違う場合が多いので、注意して話の内容の裏を取るようにしましょう。
アセスメントシートを埋めていく聞き取りをする中で、ポイントになるのが、
認知性老人の方のニーズは「自立性の向上や低下予防はできているか。」「規則的生活はおくれているか」「QOLはどうか」「介護負担はどうなっているか」にあります。
痴呆性老人のアセスメントの中心は普段見られる異常行動が変化するきっかけを見つけることです。痴呆症状の解消もしくは軽減の可能性を探ります。
それぞれを分けて考え、それを統括してマネジメントしていくことが見えてきますね。

<CASE2> 超高齢の寝たきりの場合どうするの?

超高齢の寝たきりの方のアセスメントは、家族から行うことが主になります。
ADL自立の可能性は乏しいと考えられる場合、「介護負担の軽減」にサービスのニーズを見出します。
まずは「ADLの状況が自立性の向上は低下予防となっているか、」を確認します。
身体機能はどうか、意欲はあるのか、介助方法、家屋構造、設備はどうなっているのか見ていきます。
そして「規則正しい生活を送れているか」
QOLはどうなっているか。
寝たきりの場合でのQOLの概念は難しいですが、家の外に出られないとしても、他人との穀粒ある生活を得ているかどうか、どのようにしたら得られるかをマネジメントしていきます。
そして、「介護負担の少なさ」などを検討します。寝たきりの方を介護するのは、介護者の負担が大きい事も考えられますので、ADLを含む介護量と、家庭内役割労働の大きさと、それを行う体力の相互関係に目を向けていくことが大切です。

<CASE3> 介護者がいない場合はどうするの?

高齢男性一人での生活で身寄りがいない場合どうしますか?
まずはADLのアセスメントが必要です。
どの程度の生活能力があるのかも必要です。健康的な生活を行うためには、「食生活」「衣生活」「住生活」「経済生活」を中心とした家事のニーズがあります。
わかりやすく言うと、食生活がどうなっているのか。自分で作れるのか。買い物に行くことは出来るのか。必要な栄養を取る、もしくは選択する能力はあるのかなど評価し、その改善がニーズになりますので、アセスメントの時によりニーズを見ていく必要があります。

<まとめ>

ポイントは、「アセスメントはつねにニーズを探すつもりで行う」ということです。
アセスメントシートを埋めることに必死になって、大切な「ニーズ」を見出すことが出来なければ本末転倒ですね。

そして、アセスメントは自分一人で行うというのではなく、在宅サービスが「チームワーク」であることを念頭に置いておきます。
聞き取りは一人で行っていたとしても、アセスメントの段階から他の専門職の情報を得ることになれていく必要があります。
例えば健康問題についてはかかりつけの医師の情報は不可欠ですし、食生活に問題がありそうな場合であれば「栄養士」に意見を求める必要があります。
決して一人で抱え込む必要はないのです。

ケアマネージャー個人に置いても得意不得意があることがあります。情報が抜け落ちていたり、うっかりミスの様な情報漏れがある場合もあります。アセスメントシートをみんなで共有することで、情報漏れを防ぐことが出来ます。
アセスメントにそって、ニーズを把握したら、利用しうるケアの性格や機能を正しくとらえニーズ達成の解決に向けるべきでしょう。

そうはいっても、抱えている案件も多く、課題も変わっていく利用者にずっと向き合うことは難しくオーバーワーク気味のケアマネージャーも多いのが現状です。
しかし「アセスメントで大切なのはニーズをつかむ!」これを念頭に置くことでアセスメントがしやすくなり、その後のケアプランも立てやすくなるはずです。

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