ケアマネは、仕事を通じ、人の死に直面する、認知症を患う利用者の暴言にさらされる、恐怖経験をするなど、ショックな出来事や辛い出来事がトラウマとなり、悩んでしまうケースも多くあります。
ここでは、ケアマネがトラウマを抱える原因、事例、克服するための考え方や行動について、お伝えしたいと思います。
介護職をしていた方の中には、トラウマになってしまうような嫌な経験をし、なかなかそのつらい経験を乗り越えられずに苦労している方も少なくありません。中には自殺を考えてしまう程、深刻になってしまう方もいます。
♦トラウマ(trauma)とは
トラウマとは、身体医学では、外傷によって生じた身体の損傷を言いますが、精神医学では、外的な原因によって発生した「心の傷」の事を言います。心的外傷、あるいは[外傷性ストレス障害と呼ぶ事もあります。
(参考資料:http://www.care-mane.com/)
♦トラウマになる原因は?
ケアマネになるためには実務経験が必須です。だから介護現場を全く知らずにケアマネになる事は不可能です。しかし、介護現場をある程度経験して知っている方であっても、ケアマネの業務を続けていくうちに精神が病んでしまい、トラウマを抱えてしまったり、鬱病になってしまった人の話もあります。その原因は、人間関係だったり、いじめだったり、仕事の進め方だったりと、様々です。しかしやはり一番多い例は、人間関係のようです。特に介護業界は、体育会系の方も多く、上限関係が厳しい傾向にあります。初めて介護の仕事をしてみて、あまりのきつさにびっくりしてしまったという声も少なくありません。
♦悩むケアマネへのアドバイス
とにかく挨拶!笑顔!
ケアマネに限らず、どの職場にもいじめはありますし、なかったとしても、嫌な感じの人、きつい人はいます。人はストレスのはけ口として、どうしても弱い立場の人につらくあたったり、いじめ行為に走る場合があります。いじめを受ける側としてはやはりつらいですが、「世の中にはいろんな人がいる」、「いじめられていても、挨拶と笑顔だけは欠かさないようにする」など、最低限、自分が頑張れる事に頭を向け、必要以上に関わらないようにしてみるといいでしょう。
仕事ができるようになる!転職を考える
離職率が低く、良い人の多い職場も勿論たくさんありますが、それでもやはり性格的にきつい人はいます。
介護職に初めて就く方にとって、このような方がいると、なかなか仕事が続けられませんよね。
すぐにやめてしまったり、中には自殺を考える人も…。いじめられる原因には、新人である事だったり、仕事ができない事である場合も結構あります。自分がきつくあたられるのは、もしかしたら自分の働きぶり、仕事の効率が悪いから、周囲をイライラさせてしまうのかもしれません。
人のせいにするのは簡単ですが、今一度自分自身の仕事を振り返ってみる事も大事です。ひょっとしたら、仕事ができるようになれば、誰からも何も言われず、普通に接してくれるようになるかもしれません。仕事の要領がよくない人、遅い人は、しばしばいじめのターゲットになりやすいです。介護職は、人手不足の施設も多く、新人に手取り足とり教えてあげる余裕がない場合も多いのです。そのため、わからない事は積極的に聞きに行ったり、先輩の仕事を見ながら習得するしかありません。できる限りの努力はしたものの今の職場が本当につらく、改善の余地がなければ、ある程度技術を身に付けて、不便しないようになってから転職活動をしてみるというのも一つの選択肢です。。転職先は、小さなところよりも、大きなところの方が一人一人の作業負担が少ない可能性が多いため、お勧めです。どこにでもきつい人はいますが、案外、仕事さえできれば優しくなったり、認めてくれたりする方も多いものです。
プラス思考でないからといって向いていないわけではない!
ケアマネは人間相手で、体力も気力もどちらも使う、とてもハードな仕事です。ケアマネに向いている人と言えば、プラス思考で何でも明るい方向に考えられるポジティブな人と言えるでしょう。しかし、そうでなくても、ケアマネをするべきではない、向かないというわけではありません。物事は何でも経験です。素質がなくても、経験を積んでいけば成長し、素質を身に付ける事だってできるのです。続けてみないと結果はわかりません。 最初からうまくいかないのは当たり前です!はじめのうちは先輩の仕事の仕方を盗み、自分も慣れていくしかないのです。介護では人との会話は不可欠なので、人との会話が苦痛なら本当に向いてないかもしれませんが…。でも、会話も訓練すれば上達し、慣れていくので、最初の段階で諦めてはもったいないです。もしご利用者様から、「あなたとお話すると、安心できます。あなたになら何でも話せます。」などのお言葉をもらったら、とても嬉しくないですか?もっと頑張ろうという気になりませんか? 完璧な人間などいません。不足している部分は、他の長所で補えばいいのです。
相手の話を聞く事に集中して!
ケアマネの資格は、そう簡単に取れるものではありません。せっかくいっぱい勉強して
資格をとり、今その職に就いているのだから、辞めてしまうのはやはりもったいないです。
ケアマネの仕事は、相手の話をよく聞きし、困っている事や、訴えを聞いてあげる事で信頼関係が築けるものです。だからそこまで肩をはらなくても、「話を聞く」という事を重点的にやっていったら、質の良い仕事ができるものです。また、気配りも信頼関係に必要です。何か話そうとする時、一呼吸つくようにしてください。常に相手の立場を考え、自分がしてほしくない事、言われたくない事は何だろうと考えてみてください。常に相手の話に耳を傾ける、「聴き上手」が理想です。
ケアマネが仕事を通じてうつになってしまったり、自殺するケースは、決してないとは言い切れません。例えば、このようなケースがあります。
「いまだに納得できない事があります!その訪問看護事業所とは長い付き合いで、独居であったり、認知症が加速していったりで、介護が大変なケースばかりを依頼していたので、ヘルパー事業所も私も、日々細かくモニタリングし、対処に努めていました。今までも、その訪問看護事業所には対応が不十分だなあと感じられる点があったので、細かく対応を依頼していたという事もありました。しかし、突然来週からサービスに入れなくなると言われたり、依頼した対応が先方の連絡不行き届きで、実行してもらえなかったりしていました。だからこちらも不服そうに対応したら、翌日、あのケアマネとは今後一切一緒に仕事ができないと言われました。
近くには訪問看護事業所が少ないのでと、私はケアマネを交代させられました…。
主査からは、「あなたがした事は間違っていないけど、言い方が悪かったのよ。ケアマネはみんなが仕事しやすいように調整する役割でしょ。」と言われ、他の先輩からは「看護師はみんなプライドが高いの。看護師は医者の指示しか受けたくないのよ。」と言われました。調整役として至らない点があったのは認めるけど、その後、他事業所に何か依頼する事があっても、怖くてひいてしまう自分がいます。きっと今回の事で、依頼する事にトラウマを抱えてしまったのだと思います。」
(参考資料:http://www.care-mane.com/)
以前、特養で働いていたのですが、いじめが原因で退職しました。ヘルパー2級を取得したばかりで未経験だったのですが、挨拶を無視されたり、仕事を教えてもらえなかったりと、職場内で孤立してしまい、退職するしかありませんでした。現在は全く違う業界で働いています。
仕事や人間関係にも満足していますが、なんとなく、このままだと介護の世界から逃げているような気がします。もともと、介護業界の興味あったのが、いじめが原因で退職してしまった自分が、今となってはとても悔しいので、また介護の仕事を目指そうと思っています。今度有料老人ホームの面接を受けます。介護職で頑張っていきたいと思いつつも、当時のいじめがトラウマで、少し怖いです。どこの介護施設にもいじめくらいあると割り切った方がいいのでしょうか?
あと、私の正確は優しくて大人しいと言われる事が多いのですが、これだと介護に不向きでしょうか?介護のご経験のある方に教えてほしいです。
♦解説~厳しい上限関係~
介護業界は、女性の比率が圧倒的に高い業界です。さらにケアマネともなると、それがもっと顕著になります。男性のケアマネもゼロではないのですが、看護師と同じように、現実は、資格を所持しているだけの男性が多いです。兼務で別の業務にあたっている人もいます。上下関係は、男女関わらず、どの業界でも存在しますが、女性が特に多い職場ともなると、そこから生じる問題も、俄然増える傾向にあるでしょう。必ずしもそうとは言い切れないものの、女性が多い職場は、人間関係によるトラブルの発生率も高いです。
そしてそのトラブルの原因の多くが、同世代間よりも異世代間、すなわち上下関係によってもたらされています。ケアマネの先輩後輩関係は、まるで嫁姑のようです。
実施経験の浅いケアマネは分からない事が多く、立場が低いので、尚更いじめのターゲットにされやすいのです。経験が少ないうちは質問する事も多いと思います親切な先輩であればいいのですが、
介護の世界にはきつい女性スタッフも多いです。
「いつになったら覚えてくれるの!」
「なんでそんな事も分からないの!」
こんな言い方されたら、誰だって気分を害しますよね。しかし介護業界で働くなら、こんな発言は日常茶飯事と覚悟しておいた方がいいかもしれません。このようなきつい一言に耐えられないと、鬱になったりトラウマになっていつまでも恐怖心を引きずってしまう事になるのです。
ケアプラン作成の対象は、当然「人」ですよね。そしてそのプランに従って実行していくのも人です。介護業界では、ケアプランや各書類を審査する役所、書き方などを指導してくれる先輩、どれをとっても人との関わりを切っては切れません。本来介護職に就いている人は、どちらかと言えば、人とのコミュニケーションが好きな人が多く、利用者さんと接する事に抵抗がない人が多いです。
しかしケアマネージャーが関わる人は、多種多様です。当に様々な人柄の方がいますので、
優しく丁寧にしていれば大丈夫とも限りません。このような中で、自分のプランや方針を調整しながらやり取りし、時には営業のような対応も必要になるので、体力だけでなく、精神力も必要です。ケアマネが鬱病になってしまうわけには、実はこのような人の「多様性」も考えられるのです。
♦事例
現場の意向がプランよりも優先の場合、ストレスを感じてしまう場合があります。本来の流れは、
ケアマネが利用者ごとにプランを作成し、それをもとに施設・介護職員が実務を実施していくものです。しかし、必ずしもこうはいかないから難しい問題が生じるのです。 介護職員も人手不足の中で、ぎりぎりでやっています。そこへ新しい介助方法が導入され、介護職員にとって負担の大きな作業が増えると、現場はかなり混乱します。経営側も、今以上の費用をかけないためにも、できるだけ現状維持していこうと考えます。となると、施設勤務のケアマネは自然とそのような空気に適応し、プランを作らざるをえません。これで丸く収まればいいのですが、実際そこまでしても、プラン通りにいかない事はしょっちゅうです。だからケアマネは疲れ果ててしまいます。プラン通りにいかなければ、また調整が必要です。
あまりこのような事を気にしない、関係ないと割り切れるケアマネなら、ストレスを感じたり、鬱になったりしないかもしれません。しかし、真面目な人ほど、目標意識もあるので、自分には関係ないと割り切れない事が多いのです。このような事がたった一回だけなら我慢できるものの、毎回だったり、何度も積み重なっていくと、さすがに 「自分はなんのために配属されて、毎日大量の書類と向き合っているのだろう?」と、考え込んでしまいます。
そしてだんだん心労が負担となり、精神的に参ってしまうのです。
いかがでしたか?ケアマネがトラウマを抱えたり、鬱病で苦しむ拝啓には、色々な要因がある事が分かったのではないでしょうか。
せっかく見つけたケアマネの職場を、安易に辞めたり、すぐに諦めるのは確かに
もったいない事です。しかし、頑張りすぎもまたいけないものです。
適度なストレスなら、逆に緊張感になって良いのですが、過度なストレスの場合には、鬱病にならないよう、また自殺まで考えがいかぬよう、「自分には縁がなかった」とキッパリ気持ちを切り替えるようにしましょう!