高齢者が増えている今日、自分の老後の生活に不安を感じたり、親の介護問題に悩む人も多いのではないでしょうか?
老後は施設で生活?それとも住み慣れた家で生活したいと思いますか?
家を選択した場合、精神的には満たされるかもしれませんが、身体機能が衰えていくにつれ、生活するのには不便も不安も生じてきます。
そこでできたのが、「訪問介護」のサービスです。
住み慣れた家で生活を続けたい・続けさせたいという本人や家族等の期待に応えるためのサービスが「訪問介護」です。
家で生活しながら介護のプロにサポートしてもらえたら心強いですよね。
そこで今日は訪問介護についてレクチャーしちゃいます!
介護に係わっている方、介護へのお仕事へ転職を考えている方、介護に興味のある方、訪問介護について知りたい方、介護業界をよく知らない方、介護の方向性に悩んでいる方、必見です。
訪問介護って言葉は聞いたことがあるけれど、何をしているのかわからない方も多くいるのではないでしょうか。
住み慣れた家で生活を続けたい・続けさせたいという本人や家族等の期待に応えるためのサービスが「訪問介護」です。
利用者の自宅に資格を持ったヘルパーが訪問し、自立した日常生活を送れるように、支援するサービスの事です。
家事をするだけなら家政婦でもよいのですが、ヘルパーさんは介護がメインで家事のプロではありません。
家事援助であっても、訪問したときには何よりも利用者の健康状態や生活の変化などを見逃さないようにしてくれ、病院や他機関への連携もしてくれます。
会話に耳を傾けてストレスを緩和したり、悩み事や不便なことを解決できるようにしてくれるのも有難いですね。
そのためにはスタッフ同士や事業所、ケアマネなどとの連携を大切にして行うとよいでしょう。
利用者さんはもちろん、介護されているご家族の負担を少しでも軽くすることも目的としているのも訪問介護の特徴です。
介護保険利用の場合は、ケアマネージャー(介護支援専門員)が作成する計画に基づき、
「食事介助」「排泄介助」「入浴・清拭・足浴介助」「更衣介助」「通院介助(院内別)」などの身体介護と、「掃除」「洗濯」「買物」「調理」などの生活援助を行います。
訪問介護は、介護保険法と介護保険法施行規則で定義されています。
介護保険法
第八条 …
2 この法律において「訪問介護」とは、要介護者であって、居宅(老人福祉法 (昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の六 に規定する軽費老人ホーム、同法第二十九条第一項 に規定する有料老人ホーム(第十一項及び第二十一項において「有料老人ホーム」という。)その他の厚生労働省令で定める施設における居室を含む。以下同じ。)において介護を受けるもの(以下「居宅要介護者」という。)について、その者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの(定期巡回・随時対応型訪問介護看護(第十五項第二号に掲げるものに限る。)又は夜間対応型訪問介護に該当するものを除く。)をいう。
出典:電子政府の総合窓口
介護保険法施行規則
(法第八条第二項 の厚生労働省令で定める日常生活上の世話)
第五条 法第八条第二項 の厚生労働省令で定める日常生活上の世話は、入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事(居宅要介護者(同項 に規定する居宅要介護者をいう。以下同じ。)が単身の世帯に属するため又はその同居している家族等の障害、疾病等のため、これらの者が自ら行うことが困難な家事であって、居宅要介護者の日常生活上必要なものとする。第十七条の二及び第十七条の五において同じ。)、生活等に関する相談及び助言その他の居宅要介護者に必要な日常生活上の世話とする。
出典:電子政府の総合窓口
具体的に訪問介護では何をするのでしょう。
介護というと、お風呂に入れてくれたり入浴の介助をするイメージですね。
しかしながら訪問介護は生活援助をすることもできるのが特徴です。
訪問介護で行う(介護保険でホームヘルパーから受けられる)介護サービスには、身体介護と生活援助との2種類に分ける事が出来ます。
このサービス区分は、平成12年3月17日付厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課長の通知「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」に基づくものです。
食事、排泄(便器の使用介助やおむつ交換など)、入浴、着替え、外出などの介護といった身体に直接触れて行う介護。
調理、洗濯、掃除、買物(買物の代行)などの家事や生活等に関する相談、助言、など。 シーツ交換やベットメイキング、話し相手になることも生活援助に含む。
身体介護と生活援助のどちらのサービスかは、利用者の身体に触れるかどうかが判断基準となります。
一般的には要介護度が軽い人は生活援助が多いですが、重くなると身体介護が中心となります。 身体介護のほうが生活援助より、利用者の利用料は高くなります。
訪問介護の利用者負担は、要支援の人と要介護の人とで料金が変わります。
要介護度に応じて介護保険の適用範囲が定められているので、ホームヘルパーの訪問回数や訪問時間が限られており、 要介護認定のズレのよって、時間が足りなかったり、ゆったりとしたサービスを受けることが出来ないなど、差を感じる場合があります。
また、訪問介護では、出来ないサービスもあります。
利用者の家族のための家事や、来客の対応など直接利用者の援助に該当しないサービスはしてもらうことは出来ません。
草むしり、ペットの世話、大掃除、窓のガラス磨き、正月の準備 など 日常生活の援助の範囲を超えるサービス は出来ないこととなっています。
大まかな費用負担は以下のようになっています。
事業所によっても、地域によっても違うので参考程度に見てください。
利用者負担
要支援1・2の認定を受けた方
要介護1~5の認定を受けた方
出典:厚生労働省
先ほども紹介したように、訪問介護を利用したときには、利用者は介護認定においてそれぞれ負担する金額があり、残りは国や県から介護報酬としてもらいます。
その金額は時間ごとに細かく決められています。
介護保険のサービス提供に伴って発生する介護報酬は3年に一度見直しがされることになっています。
平成27年は、この3年目にあたり、計画に基づき介護保険報酬についても改正されました。厚生労働省が公表した平成27年の介護報酬改定等についての議案(訪問介護)は、中重度の介護利用者を中心とした更なる自立支援とともに、質の高いサービス提供を実現していくために、5つの論点について案を出すというものでした。
今回の介護報酬改定をめぐる全体的な流れについてですが、 消費税の増税が見送られたこともあり、介護保険財政を含めた社会保障費を確保することが難しく、 介護報酬の適正化が図られることとなりました。
そこで、財務省から介護報酬を大幅に削減する案が提案されました。
20分未満のサービスの算定要件が変更され、かなり限られた条件下でないと算定ができないことになりました。身体介護のサービスは、20分未満のサービスの算定要件が変更されています。
しかしながら、職員の処遇改善加算も行われ、介護職員処遇改善加算については上乗せがされました。
この他にも3年に1回法を見直すことでよりよい制度を作っていっています。
詳しくは厚生労働省のホームページでも確認できます。
それでは、あなたが訪問介護をしたいと思ったらどうすればよいでしょうか。
訪問介護員の需要は多く、多くの事業所で人手不足になっているのが現状です。
なので、働こうと思ったら、求人サイトですぐに近くの事業所を見つけられ、働き始めることが出来るでしょう。ケア転職ナビでも多くの求人情報を掲載しています。
平成23年介護保険法改正によると、高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」の実現に向けた取り組みを進めましょうと目標を決めました。
そのこともあってか、サービス受給者数は15年で363万人増加し、約3倍に伸びています。
軽度の認定者数の伸びが大きい事、増加のペースが拡大していること、居宅サービスの利用者の伸びが大きいことから訪問介護の担い手は不足しているのです。
介護に係わる労働者の79%が女性の中、訪問介護員はさらに多く、89%が女性です。
平均年齢が46歳なのに対し、訪問介護員は53歳と高いのも特徴です。
そして、働き方の特徴として、訪問介護員の78%は正規職員ではなく、時間給で働いています。正社員はなく時給で働く人が多く、求人でも時間給での提示が多いです。
1か月の労働時間数で見てみると、訪問介護員は142時間と、他の介護職員、看護職員と比べ労働時間が少ないのも特徴です。正規職員ではないのでこれも納得ですね。
毎月安定した給与ではないことはデメリットですが、育児や介護などをしていている人や、毎日8時間働くことが難しい高齢の方などには自分で時間を選べる働き方はメリットになっています。
実際働いてみると、どうなのかというのは気になりますよね。
訪問介護職員に対してのアンケートでは52%の人が「働きがいのある仕事」と答えています。
他にも「資格・技能が生かせるから」「今後もニーズが高まる仕事」「人は社会の役に立ちたい」「自分や家族の都合の良い時間に働けるから」などポジティブな意見が目立ちます。
そして、65%の人が今の仕事を続けたいと考えています。これは一般企業と比べても遜色のない数字だと思います。
しかしながら、公益財団法人介護労働安定センターが実施した平成25年度の調査結果では、介護施設における離職率は16.6%ですが、非正規職員で常勤している介護スタッフの離職率は22.1%と高い値を示しています。
なぜ、働きたいと思う人が多いのに離職率も高いのでしょうか…?
やりがいもあり、時間も選べるパートであるのに「低賃金」といわれ慢性的な人出不足なのはなぜでしょう。「給与が安いから」と思う方も多いでしょう。
介護職員の中でも最も給料が安いとされているのが訪問介護職員ですが、平均月収は19万円弱です。労働時間数から計算し、時給で見ると1200円を超えます。1200円と聞くと悪くないように思えますが、訪問先への移動時間は時給にカウントされないという落とし穴があります。
わかりやすくいうと、レストランで働いた場合、お客さんが一人も来なくても、時給は発生しますね。
ところが訪問介護においては、拘束時間での時給ではなく、利用者宅に1軒訪問していくらというのが主流なのです。空き時間や利用者都合によるキャンセルなどがあれば、無収入になるところもあるそうです。実際に利用者さんに接触しないとお金が発生しない仕組みなのです。それには収入減が利用者本人だけでなく、介護報酬は公定価格なので、仕方がないとも思うのですが、各家に訪問する仕事なのに、その移動時間がまったく労働時間に入らないのは労働者の立場からすると大変です。
介護報酬が公定価格であり、上限が決まっているので、利益を上げるということは簡単ではありません。
例えば利用者が亡くなったとしても、すぐに代わりや新規等の利用者が増えるわけではありませんので、収入がゼロになることもあるのです。
これが実労働に見合っていない「低賃金」だといわれる最大の理由だと言われています。
本来であれば、一定の時間を拘束して支援があろうが無かろうが時給等の賃金が発生すれば、収入もある程度安定するので良いとの意見もあります。
非常勤ではホームヘルパーの時給が1339円と全産業の1041円より高いのですが、訪問軒数と実働時間に限りがあり、1日の平均労働時間(3.8時間)と月平均労働日数(16.1日)を考えると1カ月あたり約8万2千円になってしまいます。
これでは低賃金と言われても仕方がないですね。
老後の選択肢として、ご自宅で余生を送ることを希望されるケースは多くあります。その場合、介護を家族だけで行うとご家族には大きな負担となってしまいます。、住み慣れたご自宅で、訪問介護のサービスを取り入れると、本人にとってもご家族にとっても快適にゆく場合があるのです。
ただ、ヘルパーさんにとっては、ご自宅に伺う移動時間分の手当てが出ない点が不満に感じられるかもしれませんが、介護報酬は公定価格であり、実労働分しか収入がないので、現状どうしようもない状況です。
次回の介護報酬の改定でこの部分を見直しするほうがいいとの声もありますので、今後の改定にも注目ですね。よりよい老後を送れるように、訪問介護がよりよい方向に発展すると良いと思います。
(参考元:厚生労働省HP)
(参考文献:介護労働の現状について 公益財団法人 介護労働安定センター)