介護に携わっている方、介護のお仕事へ転職を考えている方、介護に興味のある方が気になるのは、「介護の現場はブラックなのか!」という疑問。
誰だってきちんと生活が保障されている中で働きたいです。過労は嫌だし、過労死なんてもってのほかですよね。
そこで今日は、介護業界はブラックなのかを検討です!
介護の仕事が過酷過ぎることに、疑問を感じている方、ブラックってどういう企業なのか知りたい方、必見です!
昨今、「ブラック企業。ブラックだ。ブラックバイトだ」なんて安易に使われている言葉ですが、実際ブラック企業とは何なのでしょう?
ブラック企業(ブラックきぎょう)またはブラック会社(ブラックがいしゃ)とは、広義としては暴力団などの反社会的団体との繋がりを持つなど違法行為を常態化させた会社を指し、狭義には新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業を指す。
将来設計が立たない賃金(貧困、ワーキングプア)で私生活が崩壊するような長時間労働を強い、なおかつ若者を「使い捨て」るところに「ブラック」といわれるゆえんがある出典:ウィキペディア
もともとは暴力団などの反社会的団体との繋がりを持ち、違法行為を繰り返す会社を指していのですが、近年では労働基準法や関連法令を無視し、あるいは法の網や不備を悪用して従業員に長時間労働を強制する企業を主に指しているのですね。
昨今では「ブラックバイト」という言葉も浸透してきていますね。
さて、どんな企業をブラック企業というのでしょう?
作家や弁護士や大学教授などで構成されている「ブラック企業大賞企画委員会」があります。
ブラック企業が生み出される「背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくること」を目的として、「ブラック企業ランキング」をあらわしています。
不名誉ながら2015年に選ばれてしまったのはこちらです。
●ブラック企業大賞: 株式会社セブンイレブンジャパン
●WEB投票賞 : 株式会社引越社関東(アリさんマークの引越社)
●ブラックバイト賞 : 株式会社明光ネットワークジャパン(明光義塾)
●特別賞 : 暁産業株式会社
●アリ得ないで賞 : 株式会社引越社関東(アリさんマークの引越社)出典:ブラック企業大賞
ブラック企業賞にランクインするのは大手になりますが、ノミネートされた会社を見ても共通するのは以下が考えられます。
労働時間以外にもブラック企業の体質はいくつも存在していると思いますが一番問題視されるのが労働時間です。
サービス残業が多かったり、連続勤務で休みがないということは、体力だけでなく精神的にも参ってしまうのですね。
しかし、大手だからこそ公にはなるものの、実際は小さな会社の方が福利厚生もなく、賃金も安く、労働時間も長く、ブラックだとの声もあります。
しかし、労働時間が長いといっても、労働基準法で守られているはず!
ではなぜ残業があるのでしょう。
そこで知っていなくてはいけないのは、「サブ六協定」です。
労働基準法第36条に定められているから「サブロクキョウテイ」と呼ばれているのですが、
なんと、長時間の残業も合法になってしまうという、びっくりしてしまう協定です。
労働者を法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて(延長して)労働させる場合や、休日に(1週1回または4週を通じて4回を下回って)労働させる場合には、あらかじめ労働組合(労働組合がない場合には労働者の代表)と使用者で書面による協定を締結しておかなければならない。
出典:残業代バンク
労働基準法では1日8時間、1週間で40時間以上働いちゃいけませんという決まりがあります。
しかし、前もって労働基準監督署に書面で、基準を超える旨を提出していたら8時間以上働かせてもいいですよということですね。
もしも「36協定届」を労働基準監督署に届け出ずに従業員に時間外労働をさせた場合は、労働基準法違反となります。
ところが、平成25年10月に厚生労働省労働基準局が発表した調査によると中小企業の56.6%が時間外労働・休日労働に関する労使協定を締結していませんでした。
そのうちの半数以上が違法残業を課しているということが判明しました。
それだったら、36協定届をだして、残業をいっぱいさせよう!
というのもダメです。
36協定においては、「1日」、「1日を超えて3ヵ月以内の期間」、「1年」のそれぞれについて、延長することができる時間を定められます。
そして協定の期間により、延長可能な時間には限度があります。
(「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」により定められています)
また、36協定を出したからと言って残業代がでないわけではありません。
企業はきちんと支払う義務があります。
ですので、本来、残業したとしても過剰にはならないのですが、、。
やはりサービス残業を強いるところが多いのでしょうか。
さて、一番気になる「介護業界はブラック」か。ということ。
就職先ブラック御三家と言われているのは「介護」「飲食」「小売」だそうです。
なぜ介護はブラック御三家と言われるのでしょう?
では、まずなぜ給与が低いのかを考えましょう。
理由としてかんがえられるのは、介護保険法の縛りがかかっているからです。もちろん、企業と同じように同族経営をしていて搾取している場合もあるようですが・・。営利によって利益を得るわけではないので限られた予算の中から運営しなくてはいけないのが現状です。
法律によって収入の基礎となる「介護報酬」は、細かく区分などが決められています。
経営者は、支給される報酬の範囲内でコスト計算し事業を運営します。
収入は介護保険に依存するため、介護報酬が安ければ、そこで働く者の給料も安くなります。もし、「社員に労働に見合う賃金を払おう」と人件費を増やすと経営は成り立たない。
そのため、介護サービス各社は民間企業でありながらほとんど「公営ブラック職場」と言われてしまっています。
しかし、介護業界は経営者がどんなに優れた人でもなかなか改善できない問題です。その意味では「ブラック以上にブラック」な側面を持っているといえるでしょう。
そして給与が安いから人がやめていく。
そして人がやめていくからサービス残業をせざるを得ない。
という悪循環に陥る施設も多くあります。
もう一つブラックたるゆえんは、精神的な過労です。
もちろん休みがないのも給与が安いのも、過労を感じますが、なによりも「人員が足りず、まるでベルトコンベアーの様に利用者の日課をこなさなくてはいけないのがつらい」という声も多く聞きます。
志をもって入った福祉の現場だからこそ、「物」の様に向き合わなくてはいけないのがつらくなってしまうのですね。
福祉ならではのブラックな部分なのでしょうか。
介護労働安定センターが介護職員にアンケート調査した介護労働実態調査では、
「仕事内容のわりに賃金が低い」(44.2%)、
「人手が足りない」が40.2%、「有給休暇が取りにくい」(36.1%)、
「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」(30.8%)
という労働条件等への不満の声があがっている出典:ニコニコニュース
そして、介護業界に多く挙げられるのが「人間関係」です。
企業にも人間関係のつらさ、いじめなどもあるのですが、介護業界では慢性的な人手不足の中、基本的に面接に来る人をすぐに採用してしまうところがあります。
そうすると、いじめ、責任の擦り付け合い、ののしりあいなどが発生してしまうようです。
精神的過労は何事にも代えられないですよね。そこでまたやめてしまい、人出不足という悪循環に陥ってしまいます。
決して介護業界のすべてがブラックなわけではありません。
けれどもブラックにとらえられてしまいがちな性質があることも否めません。
しかし、実際企業から介護の現場職に転職した人の話では「給与が安定している」「残業が少ないのでいい」との声もあります。
また、人に喜んでもらえるという職場でもあります。
企業にも言えますが、介護業界も現場によって体制が違います。
就職、転職を考えている方はまず現場を見学してブラックかホワイトか見極めるのが大切ですね。