親の介護に悩み、苦労している家族は多くいらっしゃいます。
そして、介護の悩みの中でも、特に深刻なのが認知症方の介護に携わっている方でしょう。
今回は、そんな方々に、認知症との向き合い方や介護のポイントをご紹介します。
認知症とは身体や脳の疾患を原因として記憶力や判断力などの障害が起こり
通常の社会生活が送れなくなった状態を指します。
つまり、加齢にともなって起こる「もの忘れ」とは別物なのです。
この病は脳の神経細胞が通常の老化による減少より早く神経細胞が消失してしまうことで、認知機能が急激に低下するために起こります。
認知症の中には原因となる病気を適切に治療することにより、その症状が軽減されたり、無くなったりすることもあります。
しかし治るものはあまり多くなく、別の病気を治すことで軽減する認知症は、全体の約1割といわれています。
やはり認知症の介護で一番苦労を感じるのは、一度言ったことを何度も言わなければいけないというストレスではないでしょうか。
認知症の方は、何度も同じことを言う割に、微妙に食い違うことを言ったりもしますので「さっきと言ってること違うじゃないか!」と思ってしまうこともあると思います。
さらに、被害妄想が多かったり、ネガティブになったりと、例を挙げるときりがないくらい、介護者側が気を使うことはとても多いです。
支離滅裂な話を繰り返すこともありますが、こちらが一言でも否定しようものなら、全力で反論して繰る場合もあります。
そして中には暴言を吐いたり、暴力を振るう認知症の方もいらっしゃいます。
認知症のせいと頭ではわかっていても、会うたびに暴言を吐かれてしまうのは、やはり介護する側の心理的ストレスが大きいでしょう。
このように、普通の人ならば難なく成立するはずのやり取りがスムーズに行えない、指摘しても改善が難しいというストレスは、介護者の大きな負担になっていると言えるでしょう。
まず認知症の人は、憶えられなくなっていることや思い出せないことなどを
必死に隠そうとする場合多いようです。
認知症が進み、物事を認知する能力が低下しても、最後まで「羞恥心」や「プライド」は残っていると言われます。
例えば、排便を失敗してしまうが、それを言い出すことができず、汚れた下着をたんすの中に隠してしまったり、便そのものを引き出しなどへ隠す…といった行動をとる場合があります。
そして、認知症が進行しても、コミュニケーション能力や人柄などはあまり変化がないと言われます。
自宅に来客があった時などは認知症の被介護者も気を張ってがんばっているので
認知症の症状があまり出ないことも多いです。
これは、家族にとって重要な「要介護認定(二次判定)」の際に、普段通りの姿を見てほしい家族の希望に反し、いつもできないこともそつなくこなしてしまい本来の要介護認定が得られない…という悲劇を招くケースもあります。
つまり、認知症の方と一緒に住んでいる家族は認知症だと気づき、その進行の具合を把握していても、たまにしか会わないような人達にはなかなか理解してもらえないこともあるのです。
同じ介護でも認知症を患っているか否かで、実際に世話をする家族の負担は格段に違います。
そしてその大変さ、苦労は、実際に経験した方にしかわからないものかもしれません。
兄弟や親戚間で協力して介護に携わっている方は、苦労を分かち合い支えあうことができますが、一人で認知症の方の介護をしなければならない方の場合、ストレスをためすぎず、吐き出せる相手や趣味などがあるといいですね。
身近にそういった相手がいないという方は、い同じ悩みを持つ方を探したり、相談窓口で抱えている悩みを聞いてもらうことも大切です。
認知症の方の介護は生易しいものではありませんので、同じ境遇の方や同じ悩みを持つ方がいるということを知るだけでも、大きな励みになるものです。
介護者自身が介護のために精神を病んでしまっては元も子もありません。
認知症になってしまうと、人が変わってしまったかのように感じることもありますが、大切な家族であることに代わりはないと思います。
負担が重過ぎると感じられるかもしれませんが、自分の人生、生活のこともしっかり考えながら、出来る範囲で介護を行ってあげてください。