セクハラは犯罪です。
最近では、職場でのセクハラも社会問題化されています。
分かりやすいセクハラの例としては、上司からお尻や胸を触られる、飲み会後にホテルに誘われるなどがあります。
また、最近では言葉によるセクハラ事例も裁判で認められるようになってきています。
セクハラは、介護現場でも問題になっており、特に認知症患者の方からのセクハラも絶えないというのが現状です。
その実態はどのようなものなのでしょうか。
この記事では、認知症の方によるセクハラの例や、その対策について、記載しています。
そもそもセクハラとは、、、下記通り定義されています。
日本でセクハラが認知されたのは、1986年の事です。西船橋駅ホーム転落死事件がきっかけだと言われています。会社の飲み会後の帰り、駅のホームで泥酔した男性が、同僚の女性に絡んできた際、女性が男性を突き飛ばし、男性がそのまま駅のホームに落下した事件です。
この時、女性は男性からセクハラを受けていたとされ、裁判で正当防衛が認められると同時に、世間に「セクハラ」という意識が広まりました。
介護現場では、認知症の方によるセクハラ問題が、意外にも多いです。
認知症は脳に障害が多少あるので、たとえセクハラ行為と思われるものであっても、悪気がないから仕方ないと、許してしまっていませんか?
しかし、相手が認知症患者の方でも、本当にセクハラが許される範疇かどうかは、ケースバイケースになります。
認知症の方だからといって、全て許せるわけではありません。
食欲や睡眠欲は、介護スタッフにとってあまり問題になりませんが、性欲は相手もある事だけに、介護スタッフや第三者が被害者となる事があり、より大きな問題行動と言えるでしょう。
「認知症の性欲」についてですが、介護現場では、看護職や介護職の方の多くが、被害にあっています。
ある程度年齢を重ねた手練れの職員なら、サラッと受け流すテクニックもあるようですが、若い介護職や真面目すぎる職員だと、ショックやダメージが大きく、「セクハラされた!」と過剰に反応してしまう事もあります。
認知症と診断されているからといって、性的欲求までなくなったわけではありません。
しかし、認知症の方の場合には、性的欲求の満たし方が分からず、周囲を驚かすような行動に出る事はあります。
それが、セクハラという形になって表れる事もあるのです。
介護していると、性的な話をしたり、身体に触ってくる事もあります。
認知症がひどくなると、性的欲求を自分ではコントロールできなくなり、不安や寂しさが強いと、余計に出てくる場合もあります。
無邪気なものなら、「おいたをしてはいけません」などと言って、上手にあしらいましょう。
一番良いのは、認知症の方のご家族に一緒にいてもらう事です。
それができない場合、密室でもセクハラが出にくい環境を作る事が求められます。
本人が好きな音楽や興味を引くものを渡して、それについてお話しながら介護するなど、関心を別のところに向けるのも良いでしょう。
もしも認知症の方が、性器をみせてきたり、性行為を迫るなどの行動に出て着たら、何かしら理由を取り繕い、すぐにその場から離れるようにしましょう。
実際に認知症の方からのセクハラに悩んでいる方の声をいくつかご紹介します。
💭認知症高齢者のグループホームに勤めています。
入浴介助の際に、認知症男性が、突然私を壁際に追いやり、おなかや足に股間を押し付けてきたことがあります。何とか笑顔を作りその場では対応できたのですが、強い恐怖を感じました。
💭認知症の父が、介護職員にセクハラをしてしまい困っています。場面としては、入浴介助や、トイレ介助といった1対1になるタイミングで、女性介護職員の胸や体を触るようです。もともとスケベな人間ではないのですが、、、困っています。
💭80歳で認知症を発症している義理の父が、胸やおしりを触るセクハラをしてきます。自宅で介護しているため、嫁の私が主に介護していて、適当にかわしながらすごしているのですが、高校生の娘もいるため、不安があります。認知症のせいとはわかっていても、これ以上同居しての生活は厳しいかなと思っています。
~セクハラに悩んだときの相談窓口~
法テラス
http://www.houterasu.or.jp/
セクハラの相談を誰にも相談できずに困っている方は、法テラスに相談してみるといいでしょう。
法テラスでは無料法律相談会を実施しているので、一度電話でご相談してみてもいいですね。
認知症の方によるセクハラが多いという事は、つまり、認知症になるとセクハラをしてしまいがちになるという事なのでしょうか。認知症の方による、性的異常行動の原因は、一つだけではありません。ここで、三つのタイプに分けてご紹介してみます。
昔から性欲が強い方でしたら何かセクハラされたり、そのような言葉をかけられても、うまくかわしていく努力も必要です。しかし、一番多い原因は、人間関係(コミュニケーション)を求めてスキンシップしてくるタイプです。
話しかける時に肩に触れたり、会話する時に手を触れるというのは、言葉は発しないものの、
接触を通してコミュニケーションしている事になります
このようにコミュニケーション(スキンシップ)を求めてくる方は、孤立感や寂しさが根底にあるため、このような行動が目立つのではないかと考えられます。
機能低下が原因というのは、大脳の事です。脳の損傷部位によっては、理性をコントロールするのが難しくなり、性的言動や行動が激しく見られる事があります。認知症の方となれば、尚更考慮しなくてはなりません。このタイプの方には、性的な事に意識がいかないように、レクリエーションや、楽しい趣味の話題を持ち出すなどして、対策していくのが良いでしょう。
セクハラ行動が頻繁な認知症要介護者に対しては、まず、介護の基本である
の3点がしっかりできているかどうか確認してください。場合によっては、適切に水分補給するだけでも、性的な問題行動が減る事もあるので、この基本的なケアは、怠らずに徹底しましょう。
全ての人にとって、完璧なケア技法や理論は存在しません。そのため、個々の認知症要介護者の個性や今までの経験と合わせ、適切な対処をしていく必要があります。セクハラなどの問題行動の背景には、必ずその人がこれまで送ってきた生活の歴史が大きく影響しています。
幼少期の家庭問題や、コンプレックス、職場での長年のストレス、健康問題、子供との確執など、多岐に渡ります。高齢期は、これまでの人生で溜めてきた「ツケ」が、一斉に出てくる時期でもあります。
介護スタッフは、このような生活の歴史に目を向け、仮説を立てていく必要があるのです。 施設入居の認知症高齢者の場合、施設内での人間関係の希薄さや、人としての役割の不在、そして関心を抱ける対象の不足から、精神的ストレスが生じ、性的問題行動に発展するケースも多いのです。そのため、
の3つに重点を置いてサポートしていく事をおすすめします。
といっても、言葉で説明するのは簡単なものの、実際は複数の事情が絡み合っているので、ベテラン介護職員であっても、その利用者のセクハラ問題の根本的解決は、極めて難しいです。
そのため、セクハラ行動の原因となっているものを発見するまでの間、 以下の対症療法的な基本技法を併用していく事をおすすめします。参考にしてみてください。
日中の運動量を増やして、夜はぐっすり眠れるようにしたり、レクリエーションやサークル活動への積極的な参加を呼びかけたり、工芸など、新しい趣味に没頭できる時間を提供してあげると、
性的欲求に向けるエネルギーも少なくなるので、解消させる事ができると考えられます。
これは認知症の方だけでなく、全ての要介護者に言えることですが、毎日ただ一方的に他者から介護を受けるだけの立場では、「こんなにお世話ばっかりしてもらって、申し訳ない」と、精神的ストレスも自然とたまってくるものです。自分が何の役にも立たないお荷物的な存在ではなく、しっかりとした役割があるのだと認識させる事で、性的欲求の軽減につながると考えらえます。
写真集やAVを視聴したり、性風俗店を利用する事によって、性的欲求が満たされ、介護スタッフにセクハラしてこなくなる事も予想されます。しかし、現実、性風俗店の利用は、法律も絡んでいるため厳しいでしょう。
また、写真集やDVDに関しても、倫理的問題に加え、 高齢の要介護者に対しては、「見慣れていたので、つまらない」、「老眼でよく見えない」などの理由から、あまり効果がない場合もあります。この性的欲求不満そのものの解消は、あくまで一時的な対処法、
緊急措置的なものと考えると良いでしょう。
陰部清拭の時、熱く絞ったタオルで、下半身と陰部を丁寧に清拭してあげたり、入浴介護の時に、
要介護者の身体全体をゆっくりとマッサージして、 両手を握って優しく声をかけるのも効果的です。これだけで、多くの要介護者の「性的欲求」は落ち着くという報告もあります。このように、直接的な性行為がなくても、手をつなぐことや、一緒の時間を過ごす事で、性的欲求は十分満たされるのです。実際、この「陰部清拭と、スキンシップ&コミュニケーション」までが、
要介護者の性的な領域に対して、介護スタッフが行える「介護行為」としての許容範囲でしょう。
認知症の方がセクハラするのには、いくつかの原因が考えられる事、そしてその対処法にも色々なケアがある事がわかりましたね。
難しい事ですが、問題の根本的な原因を導き出し、それを解消する事こそが、認知症の高齢要介護者のセクハラ行為に対するケアの理想と言えます。