介護業界で働く人にとって、ケアマネージャーは憧れの職種です。「なりたい!」って思ってもなれるものではありません。
ケアマネージャーになるためには、ケアマネージャーの資格が必要です。介護支援専門員とも呼びます。
今回は、ケアマネージャーになるためにはどうしたらいいか、試験の詳細や受験資格、これまでの試験の傾向やちょっとした対策までご紹介します。特に、受験資格は2018年から変更されていますので、要注意です!
ケアマネージャーの受検資格は、2017年以前と2018年以降で変更になっています。最初は、2017年までのケアマネージャーの試験の受験資格についておさらいしましょう。いずれかの要件をクリアしていれば、受験資格を満たしていることになります。
こちらについては、2018年以降の変更がありません。以下の該当資格のいずれかを取得し、されに基づく業務に5年以上、従事していれば【1】の資格は所持していることになります。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、義肢装具士、言語聴覚士、歯科衛生士、視能訓練士、柔道整復師、精神保健福祉士、栄養士、管理栄養士
2018年以降、一部業務が対象外となっています。いわゆる、「相談員」業務の経験が5年以上あれば、【2】の要件を満たしていることとなります。
【3】については、2018年以降廃止されていますので注意が必要です。社会福祉主事任用資格者、介護職員初任者研修課程、実務者研修課程等の資格を保有し、かつ資格に基づいた業務を5年以上行っていれば、受験資格を満たしていたことになります。
【1】~【3】に当てはまらなくても、10年以上の実務経験があれば、ケアマネージャーの受検資格を持っていることになっていました。しかし、この条件は2018年以降廃止されています。
2018年以降は、以下の2つのうち、どちらかの要件を満たしていることがそのまま受験資格となります。
【1】は、2017年以前から変更がありません。国家資格に当てはまる資格もそのままとなっています。
2017年以前も上記の要件がありましたが、相談員業務に当てはまる内容が変更になっています。具体的には、「生活相談員」、「支援相談員」、「相談支援専門員」、「主任相談支援員」のいずれかの業務経験が5年以上必要になります。
2017年以前と2018年以降では、上記のような受験資格の変更がありました。一般的には、2018年以降のほうが受験資格が厳しくなったと言われています。これからケアマネージャー資格の取得を検討されている方は、しっかりと自分が受験資格を満たしているか確認しましょう。
また、2015年以降、一部要件による回答免除も廃止されています。今後も試験に関する内容で変更がある可能性がありますので、よく確認してから準備を行いましょう。
ケアマネージャー(介護支援専門員)とは、介護が必要なお年寄りや身体の不自由な方と介護保険サービスを繋ぐ、とても大切な役割を持っています。介護職で働く人にとって、ケアマネージャーは憧れの職種になります。
しかし、誰でも簡単に、すぐなれるわけではありません!
実はケアマネージャーの試験は狭き門となっており、毎年多くの受験者がいるにも関わらず合格者はほんの一握り。
合格ハードルが年々上がっている試験でもあります。平均合格率は、15~20%となっています。ここ数年で試験の受験方法や内容が一部変更になったこともあり、合格ハードルが上がったことも原因の一つです。
しかし、平成28年度は受験者数131,560人に対し合格者は28,223人(合格率21.5%)でした。第20回を迎えたこの平成28年度の試験については、のちほど詳しく解説します。
また都道府県別に見てみると、主要都市に合格者が集中しているように見えます。
基本的に試験問題や合格基準は全国統一されていますので、合格のばらつきは、それぞれの地域で受験者数がまちまちであること、あるいはスクールでの指導内容にもよるところがあるのかもしれません。平成28年の第20回試験では、東京都、愛知県、神奈川県、埼玉県の合格率が高かったと公表されています。
ケアマネージャーの試験は、全60問のマークシート方式です。選択肢は5つあり、その中から正しいものを2つから3つ選択します。また、60問のうち、25問は介護支援分野、35問は保健医療福祉サービス分野に分かれています。介護支援分野が一問2点、保健医療福祉サービス分野が一問1点となっています。合格ラインは正答率70%以上といわれており、問題の難易度に応じて基準点が若干変動します。
分野 | 問題数 | 内容 |
介護支援分野 | 25問 |
・介護保険制度の基礎知識 ・要介護設定等の基礎知識 ・居宅、施設サービスの基礎知識等 |
保健医療福祉サービス分野 | 35問 |
・保健医療サービスの基礎知識(20問) ・福祉サービスの知識等(15問) |
ケアマネージャーの試験を受けるためには、実務経験の証明が必要となります。申込時に条件を満たしていれば、「実務経験証明書」、申込時には満たしていないが、試験前日まで含めれば満たせる場合には「実務経験見込み証明書」を提出します。その後提出した書類に不備がなく、受験資格を満たしているか審査が行われます。受験票は試験の1~2週間前に郵送されてくるので、申込から試験までは約5か月かかります。
介護関係の資格には、他にも様々な試験があります。
資格名 | 内容 | 合格率 |
介護職員実務者研修 |
・無資格でも受講可能 ・不合格でも追試を受けることが可能 |
ほぼ100%に近い |
介護福祉士 |
・介護職員実務者研修 ・実務経験3年以上 ・指定校の卒業 |
60〜70% |
理学療法士 |
・養成課程のある学校で3年以上学ぶ ・国家試験の受験が必須 |
約80% |
ケアマネージャー |
・特定の国家資格保有+実務経験5年以上従事 ・介護施設での相談援助業務5年以上従事 |
10〜20% |
介護職員実務者研修は、無資格からでも受けることができる資格になります。専門のスクールに通いきちんと受講することで、取得できる資格のため難易度はあまり高くありません。この研修は介護福祉士試験を受けるための受験資格となっており、万が一不合格になっても追試で合格できれば問題ない為、合格率は高いといってもよいと思います。
介護福祉士は、受験資格として介護職員実務者研修の終了と実務経験3年以上や、各指定学校の卒業などがあるため、資格取得するまでに時間がかかるものの、合格率は60~70%と高めです。
理学療法士は、理学療法士の養成課程のある学校で3年以上学び課程を修了し、理学療法士国家試験を受ける必要があるため費用と時間がかかります。合格率は80%前後と高めです。
このように他試験と比較しても、ケアマネージャー試験の合格率は極めて低く狭き門といっても過言ではありません。それでも毎年受験者が多いのは、ケアマネージャーという職種に魅力を感じる方が多いからだと思います。
最後に、平成28年に行われた第20回介護支援専門員試験の情報をご紹介します。合格率については、先に記載してとおり、平成28年は合格率が21.5%まで上がっています。過去の平均と比較すると、5%~8%ほど上昇しています。試験の問題難易度に対して、合格基準点が低かったことが要因とされています。合格基準点は、介護支援分野で15点、保健医療福祉サービス分野で23点でした。
5人に1人しか合格しないという依然として狭き門ですが、平成28年は大きく合格者の人数が増加しました。
平成28年は、合格率が上昇しましたが、それでも20%台という狭き門であることには変わりはありません。また、平成28年度は基準点が高かったといわれており、問題が易しかったわけではありません。そのため、ここまでに紹介した受験資格の変更や、第20回試験の状況を踏まえて、今後の試験が易しくなることは考えにくいでしょう。しかし、試験の分野や内容は、これまでと同じです。そのため、既存の参考書や、過去の問題を解くことで、対策できることは間違いありません。