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認知症の方のケアプラン作成の事例~ケース別対処のポイントと注意点~


認知症の方を介護するうえで1人ひとりに合わせたケアプランや目標はとても重要なものになります。
しかし、個々に異なるためどのようなケースにどのように対処したら良いのか悩んでいる介護職の方はたくさんいることでしょう。
そんなケアマネジメントに悩みを抱えている介護職の方に役立つケースによる対処方法を紹介します。

 

ケース1【自分で選び決めることを支援するプラン】

85歳 女性、Aさんのケース
 
アルツハイマー型認知症
要介護度:3
障害高爺者の日常生活自立度:Ⅲa
認知症高齢者の日常生活自立度:A2
家族構成:夫は5年前に他界し、長女と同居

 
生活史
Aさんは、3人姉妹の長女として生まれました。
食品加工会社の事務職として勤務し、職場で知り合った男性と結婚しましたが、Aさんが75歳の時に夫を病気で亡くしました。
その後まもなく、アルツハイマー病と診断されました。
その後、長女が同居し6年間介護してきましたが、症状は悪化してきています。
特別な趣味はありませんでしたが、料理がとても上手で、友達を招き料理を披露することもあったそうです。
またブローチがとても好きでコツコツ貯めたお金で少しずつコレクションして、出かける前はいつもうれしそうに服に合うブローチを選んでいたとのことです。
また、甘いものが好きだそうで認知症になる前は長女と、お気に入りのお店へあんみつを食べに行っていたそうです。
 
現在の状況
毎日の日常的な記憶はなくなってしまうようですが娘や親しい友達デイサービスの職員の顔は覚えているようです。
また、自分の要望を言葉で表すことは難しいようですが、いくつかの選択肢の中から選ぶという自己決定能力は残っています。
気分障害などはなく、誰にでも笑顔で交流しているそうです。
入浴・洗面・更衣・排泄は1人では難しいものの少しの支援で行うことができます。
 
ご家族からの要望
できることは自分でやるように支援してほしい。
楽しめるような体験をさせてほしい。
症状を少しでも遅らせて元気でいてほしい。
 

ケアプランの作成ポイント

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Aさんは日々の生活の役割や活動を行うことは困難ですが、身だしなみの一環のおしゃれや好きな食べ物、料理が得意ということから、これらを活かしたケアプランを作成して行くことがポイントになります。
 
①【ブローチのコレクション】
長期目標:出かける前に身だしなみを整えること
短期目標:ブローチやそれに合った服を自分で選ぶ
目の前にあるものを選ぶことはできるため、Aさんの好きなブローチの中から自分で選択し、またそれに合った洋服も自分で決めることで主観的QOL(本人の現実世界での質)を高め、それを繰り返すことでBPSDや抑うつの改善に繋がります。
また「今日のブローチと洋服とても素敵ですね!お似合いですよ」と話をすることで会話を促すこともできます。
 
②【料理好き】
長期目標:料理の味付けをする
調理をするのは困難ですが、味付けをすることで料理に携わることができます。
味付けで味の調整をするのが難しい場合は味見をして判断してもらうことで、調理をしている自分としての満足が得られるのではないでしょうか。
 
③【好きな食べ物】
長期目標:楽しみや体験をつくる
あんみつなどの甘いものをおやつにだすことで楽しみを作ります。
またお菓子作りの企画に参加して、作る作業はできなくても他の方がお菓子を作っている様子を見たりお菓子の材料を見たり作る過程での香りをかいだりして、たくさんの人の中にいることで自分も一緒に参加しているという思いから存在価値を高めることができます。
 
<Aさんのケアのポイント>
自分で決めること。
自分で決めることは本人の主観的QOL(現実世界での質)を高め、抑うつを改善するなどよい影響をもたらします。
ただ、そこには幅と質に考慮したいくつかの選択肢を作ることがとても重要です。
また、シチュエーションごと、自己決定を委ねてよいのか否かを判別することも大切です。
 

ケース2【介護者(家族)を休ませるプラン】

80歳、女性、Bさんのケース
 
アルツハイマー型認知症 高血圧
要介護度:2
障害高爺者の日常生活自立度:A1
認知症高齢者の日常生活自立度:Ⅰ
家族構成:長女とその夫・孫2人と同居

 
これまでの状況
Bさんは2年前にアルツハイマー型認知症と診断を受けました。
理解力の低下が見られ、以前は毎日新聞を読んでいましたが、徐々に読まないことが多くなってきました。
日中はうとうとしていることが多く、テレビがついていても興味を示さなくなってきました。
Bさんと長女は昔から中の良い親子で、現在も良好な関係を保っているそうです。
Bさんの認知症がわかってから、長女が献身的に介護をしてきたそうです。
Bさんがデイサービスに行った際、どんな様子であったかを細かく聞いて確認し家の中も転倒してぶつけてしまいそうな場所には緩衝材がまかれ、つまづかないような配慮もみられました。
認知症に対処するための塗り絵やパズルなども用意されておりとても一生懸命介護をされている様子でした。
またBさんに洗い物や掃除、車いすでの買い物の付き添いなどの役割を課し、Bさんが動けなくならないよう工夫して介護していたようです。
 
ショートステイとその影響
今回、長女が手術をすることになり入院も伴うという事情から、Bさんは2週間ショートステイを利用することになりました。
その後長女が無事退院された後、ショートステイから帰ってきたBさんは歩行も困難な状況になっており、今までできたこともできなくなっていたそうです。
その状態を見た長女Bさんはショートステイ中に「どのような介護をしていたのか!?」と尋ねてきました。
 
ここで、ケアプランが合っていなかった可能性が考えられそうです。
では、今回のプランがどのようになっていたのかを確認してみましょう。
 
<ケアプラン>

これはBさん本人の思いをそのまま、短期目標と長期目標にあてはめてしまったプランといえます。
これにより、Bさんが主体的に動く機会をなくしてしまったのでしょう。。
本来、ショートステイでは、健康管理・疾患改善・栄養改善・心身の機能訓練・基本動作やADLの活動訓練・役割作り・家族の休息など様々な機能があり、有効に活用することで様々なニーズに答えることが可能です。
このショートステイの機能が活かされていたなかったことも、基本動作の低下を招いてしまった原因といえます。
Bさんの思いだけからプランを作るのではなく、長女の要望や解決すべき真の課題を検討した上で、家族にとってのニーズが一致するようなケアプランを再検討する必要がありました。
 
<ケアプラン(再検討後)>

ニーズ①
色々な人と関わり楽しく過ごしたい
短期目標
たくさんの人とおしゃべりをして楽しみながら交流を深める
長期目標
新しい友人をつくる
サービス内容
声をかけさせていただき、たくさんの人が集まる場所に誘い一緒におしゃべりに参加し、気の合う方を見つけられるように配慮する

※こちらのケアプランでは、他者と話をしたり楽しむことで、認知症状の維持や改善の目的もあります。
 

ニーズ②
散歩を楽しみたい
短期目標
歩行器で散歩を楽しむ
長期目標
4点支持杖で散歩を楽しむ
サービス内容
見守りのもと、歩行器、4点支持杖での散歩

※こちらのプランは歩行の安定、筋力の衰えの防止、活動性を高める目的のケアです。
 
<Bさんのケアのポイント>
家族ニーズは、様々な状況や情報を集めてなるもので本人の直接的なニーズではないことを認識しておくことが大切です。
 

ケース3【好きな習慣を活かすプラン】

72歳 女性、Cさんのケース
 
アルツハイマー型認知症 
要介護度:2
障害高爺者の日常生活自立度:J1
認知症高齢者の日常生活自立度:Ⅰ
家族構成:独身、1人暮らし※近所に姉夫婦が住んでいる

 
生活史
高校卒業後から定年まで、まじめに勤務し部門の管理者としても活躍しました。
縁がなく結婚はしませんでしたが、活動的な性格で、のんびりとした姉との仲はよく、趣味友達もたくさんいたそうです。
多趣味で、手芸や料理、ちぎり絵など様々なものを行っており、旅行も好きで気の合う友人や姉と国内旅行を楽しんでいました。
またおしゃれも好きで、いつも髪をきれいにまとめおしゃれな服装をしていました。
はっきりした性格で趣味もたくさんあるため、多くの友人に恵まれているそうです。
 
これまでの状況と現在の状態
68歳の頃、多趣味で活動的なCさんがあまり外出しなくなり、体調も悪そうだったため、姉が病院につれていきましたが、異常はありませんでした。
しばらくして、料理好きで手順などもしっかりしていたはずのCさんが調理の際の手順に戸惑うところをたまたま姉が見て、脳神経内科を受診させたところ、アルツハイマー型認知症と診断されました。
行動する意欲がなくなってしまったようで、外出や趣味からも遠のいてしまったそうです。
姉が生活を手伝いながら生活していたおり、連絡がとれなくなったことを心配したCさんの友人が度々訪ねてくるようになり、事情を話したところ、趣味仲間に広がりたくさんの人が訪ねてきてくれるようになったそうです。
友人が外出の機会を作ってくれることで、少しずつ外にでるようになりました。
 
【要望】
Cさん:好きなことを楽しみたい。
Cさんの姉:今までのように旅行なども一緒に楽しみたい。
 
<ケアプラン>

ニーズ①
好きなことを楽しむ
短期目標
手芸、ちぎり絵などの趣味を楽しむ
長期目標
趣味を楽しむ
サービス内容
手芸を楽しんでもらえるように、冬にむけてマフラーや帽子を編むことを進めてみたり、手芸の企画を作りたくさんの人と一緒に話をしながら楽しめるようにします。

※認知症状の維持・改善と楽しく無理なく動くことで心身機能を使い機能訓練と同じような効果をもたらします。
 

ニーズ②
おしゃれを楽しむ
短期目標
おしゃれを楽しむ
長期目標
外出時のおしゃれを楽しむ
サービス内容
外出前にコーディネイトやお化粧をお姉さんと一緒に楽しみながら選んでもらう

※好きなおしゃれを通して活動性や自主性を高めます。
 

ニーズ③
姉と旅行に行きたい
短期目標
旅行を楽しむ
長期目標
旅行を楽しむ
サービス内容
お姉さんの助けをかりて無理のない範囲で旅行を楽しんでもらう

※楽しい習慣を通して自信を取り戻してもらう。
 
<Cさんのケアのポイント>
本人や家族のニーズを上手に取り込みながら、状況や状態に合ったケアプランを作成します。
Cさんのケースでは、楽しい習慣を繰り返し行うことで、失いつつある自信を少しでも取り戻してもらうことを目的としたケアを中心にしています。
 

ケース4【少しずつ慣れるプラン】

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89歳 男性、Dさんのケース
 
アルツハイマー型認知症 
要介護度:2
障害高爺者の日常生活自立度:A1
認知症高齢者の日常生活自立度:Ⅰ
家族構成:1人暮らし 市内に娘夫婦が住んでいる

 
生活史
地元の会社に就職しそこで出会った方と結婚し定年まで勤め上げました。
9年前に奥様を亡くし、以降1人暮らしをしていましたが4年前にアルツハイマー認知症と診断を受けました。
市内に住んでいる娘さんの協力のもと生活しています。
若い頃の趣味は登山で、景色を写真で撮ることが好きでしたが、足腰が弱り困難になってきたためやめてしまいました。
娘さんとしては、日中、1人で家にいるため心配ということ、少しでもリハビリをして1人での歩行を目指してもらいたいが、通所リハビリテーションには恥ずかしいから行きたくないと言っているそうです。
とても人見知りな性格ですが、声をかけてもらったり慣れると少しずつ話に加わることができます。
 
【要望】
Dさん:買い物や散歩に歩いてでかけたい
娘さん:楽しみを見つけてほしい、リハビリをして少しでも外出する気持ちをもってもらいたい。
 
<ケアプラン>

ニーズ①
歩けるようになりたい
短期目標
歩行できるようにする
長期目標
買い物や散歩に歩いて出られるようにする
サービス内容
在宅においての訪問介護、入浴介護を行いながら日常生活における動作の維持や向上を図る

※無理にリハビリテーションに通わせることはせず、在宅でできることを行う
 

ニーズ②
楽しみを見つける
短期目標
楽しみを見つける
長期目標
楽しみを見つける
サービス内容
様々な企画に声をかけさせてもらい、参加はしなくても見学の中で興味・関心を持ってもらう

※様々な企画やそれを行うたくさんの人の中で見学し、意欲の向上を目指す。
 
<Cさんのケアのポイント>
本人の気持ちを大切に、本人やご家族の希望を考慮し無理のないプランを作りましょう。
 

<まとめ>

いくつかの事例をご紹介しましたが、ご参考になりましたでしょうか。
このように、本人のニーズにそったケアプランの作成や、本人のニーズからケア方法をくみ取るプラン作成など、ケアプラン作成するにあたっては「状況」、「ニーズ」、「必要なケア」などのケースごと、十分に検討した上で作成することが大切です。
そのためには、生活史や家族からの情報がとても重要になってきますので、ケアプラン作成の前に、様々な情報を聞き、整理しておく必要があります。
 
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