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知れば変わる!利用者の心に寄り添う、認知症の上手なケア方法

介護が大変な認知症ですが、認知症のことをもっと知れば対応の仕方や解決策がおのずと見えてくることもあります。
今回はそんな認知症のケアに悩んでいる方や認知症のことを知りたいという方に役立つ情報をまとめて紹介します。

認知症の方のプライドを傷つけない、尊厳を守る!

認知症は脳細胞の働きが衰えてしまうことや、なんらかの原因で神経細胞が減少することによって起こります。
認知症にはいくつか種類があり、主にアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症が多い傾向にあります。
アルツハイマー型の認知症は記憶障害や判断能力の低下などの症状が多く、脳血管性認知症はそれぞれ人によって症状が異なり、正常にできることとできないことの差が激しくでたり、日によってしっかりしていつもできないことができたりすることもあります。

認知症になると認知能力は低下しても羞恥心やプライドがなくなるわけではありません!
また脳血管性認知症の方は自分が認知症であることを理解している場合もありますので、プライドを傷つけない接し方など周りの環境に配慮が必要です。
このようにプライドや羞恥心はなくならないことから、プライドが傷つけられたり、否定されたりすることで脳の病気とは別に周辺症状という不安・困惑・戸惑いなどからイライラしてしまう症状が現れることがあります。
これは本人の気持ちや周りの環境などが大きく影響し人によって症状は様々ですが、主に暴言や暴力・徘徊・便隠しなどの症状があげられます。

症状がでてしまう理由

 暴言・暴力 
☞自分の意見を尊重してもらえない・叱られる・否定されることへの苛立ち

 徘徊 
☞記憶にない環境におかれていると思ってしまうことからの不安

 介護の拒否 
☞自分のことは自分でしたいと思う気持ちから・できないと思われていることへの苛立ち

 便隠し 
☞失便してしまったことを恥ずかしく思い誰にも知られないようにするために隠す

周辺症状の理由をみると、プライドや尊厳・羞恥心が大きく関わっていることがわかります。
そのため介護をする上でプライドや尊厳を守る接し方がとても重要であると言えます。
ではプライドや尊厳を守る関わり方とはどういったものなのでしょうか!?
いくつか具体的にあげてみます。

 話に共感する 
☞認知症の方は同じ話を何度も繰り返しますが、「前にも聞いたよ」「何度も同じこと話てるよ」などと指摘するとプライドを傷つけてしまったり、不安な気持ちにさせてしまったりするので同じ話でもその度に聞いて共感する。

 声かけ 
☞業務の一環と考えて流れ作業で行うのではなく、着替えやオムツの交換など何かをする時には必ず本人に承諾を得てから行動するようにしましょう。

 怒らない・叱らない 
☞何かを失敗してしまった時は本人も傷ついていますので叱ったり、怒ったりすると傷ついているところをさらに追い込んでしまいます。
そのような場合は「大丈夫ですか?」「大変でしたね」と落ち着いて声をかけましょう。

 プライバシーを守る 
☞認知症になっても入ってほしくない部屋や見られたくないものがあるため、部屋に入る時はノックをしたり他の部屋に行く時は了承を得てから入るようにしましょう。

今までできていたことを自分でできない恥ずかしさや苛立ちは本人でなければわからないものですが、そんな気持ちを少しでも軽減できるよう心のケアも考えながら対応することが必要です。
認知症になるとプライドが高くなるという話をよく聞きますが、自分で思った通りにできない・手伝ってもらわなければならない、そんな情けない自分を認めなくないことや恥ずかしさ隠すため、昔の自分のすごかった話や自慢をして自分を支えているのかもしれません。
こういった認知症になる前は知性あふれ年齢を重ねるごとに経験を積んできた人生の先輩です。
そのため人生の先輩として、敬う気持ちで尊厳を守った関わり方をすることが大切です。

2認知症

目的があれば素敵な一日が始まる!

人は目的やその目的を達成した時の達成感で前向きになれたり、その目的を生きがいにすることで一日の過ごす気分が全然違ってきます!
それは認知症の方でも同じです!
認知症でもほとんどの人が会話もでき体も動かすことができますので一日の目的を作ることで生活にハリがでることでしょう。
ではどのような目的を作ったら良いのかいくつかあげてみました。

地域に役立つことを目的とした活動をする
☞地域のゴミ拾い活動や防犯パトロールなど周りに感謝されるようなことを積極的に一緒に行う
掃除
☞毎日決まった場所の簡単な掃除をやってもらうまたは一緒に行う(例:ろうかふき 流し掃除など)
食事の手伝い
☞お米をといでもらうことや野菜を洗ってもらうことなどを手伝ってもらう

掃除や手伝いなどをしてもらったら、「きれいになりましたね」「助かります」「ありがとうございます」など感謝や労いの言葉を伝えると良いでしょう。
このような目的と達成感による喜びから脳からドーパミンが放出され生活意欲が高まり、生きがいを得られます。
認知症になっても楽しく生活して素敵な毎日を送ってもらいたいですね。

寄り添うケアで笑顔を取り戻す!

認知症は病気であることを周りが理解し、本人の気持ちやペースに寄り添ったケアを心がけることが大切です。

  • 急がせたり、焦らせたりしないで本人のペースで落ち着いてできるように声をかけて見守る
  • 環境を変えたりせず好きな音楽をかけたりしてリラックスして安心できる環境にすることを心がける
  • 本人の思いや気持ちを理解し本人の立場に立って考える

認知症が病気であることから、症状を軽減させるようなケアをすることも大事です。
症状を軽減させる方法の中に、回想法というものがあります。
これは昔のことを思いださせることで進行を遅らせたり精神的に落ち着かせるというものです。

個人での回想法やグループでの回想法があり、昔使っていた道具や昔の写真を見せてそれを基に思いだしながら話すことで子供の頃や若い頃の記憶が蘇り歩んできた人生を思いだし自信につながったり、脳が活性化することで進行を遅らせたりすることができます。
なにより昔のことを思いだし、笑顔が戻り生き生きと話をするようになります。
「お釜でご飯を炊いて食べたいね」「昔はよく梅干しに砂糖をつけておやつにしたね」などと色々な話がでてきます。
その話に沿ってお釜でご飯を炊いて食べたり、おやつに梅干しを食べたり、昔やっていた遊びをみんなで行ったり、よく歌っていた歌を歌ったりして介護やお手伝いをするだけではなくこのように共感し一緒に楽しむことも寄り添うケアと言えるのではないかと思います。

<まとめ>

認知症の介護はとても大変ですが、本人は記憶がないことや何をしたらいいのかわからなくなってしまう不安、今まで何でもできていたのに手伝ってもらわなければできない状態への苛立ちや恥ずかしさを常に抱えていることを頭にいれて接するように心がけると良いですね。
自分がそうだったらと考えるだけで怖くなりますがそんな中、羞恥心やプライドがあることを理解し尊厳を守った関わりをしてくれる人がいたら安心して生活を送ることができ、このうえなく感謝でいっぱいになることでしょう。

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