長く介護職として働いている方も「今の職場を辞めたい!」と一度は思ったことがあるのではないでしょうか。辞めたいと思う理由は人間関係や、施設の方針に疑問を抱くなどさまざまでしょう。
ただ、実際に退職するとなると、人手不足による引き止めや、伝えるタイミングを逃して気が付けばずるずる働いてしまっている方も多いはず。そこで今回は辞め時となるタイミングについてと、ブラックな職場の見分け方、転職の際のチェックポイントなど盛りだくさんでお届けしたいと思います!
みなさんが介護の仕事を辞めたいと思う瞬間はどんな時でしょうか。
職場の人間関係、施設の運営方針が理解できない、友人と休みが合わない、給与が上がらない・・・など、人や環境によって辞めたいと思う瞬間はそれぞれだと思いますが、ここで代表的な介護士が”辞めたい”と思う瞬間をまとめましてみました。
介護施設の中にはサービス業の要素が強いところもあるので、常に「人」と関わりながら仕事をしています。もちろん利用者との関わりだけでなく、介護の現場は職員同士の協力が必要不可欠なので、職員との関わりも重要になります。しかし、各フロアごとの少人数のチーム編成のところが多く、閉鎖的な空間でストレスの溜まりやすい状況下で職場の人間関係に亀裂が入りやすくなります。特に女性職員の比率が高いこともあり、新人に対して陰口やいじめが水面下で横行されている施設もあります。
また、同じ施設では介護士だけでなく、看護士や栄養士などそれぞれの専門分野を持つスタッフともコミュニケーションを取りながら業務を進めていかなければなりません。その中で職種間での収入差や職務内容の違いにより、意見の対立や妬み・僻みが多くあるようです。
高齢者の方の介護を真摯に行いたいと想い、介護職を目指した方が大半だと思います。しかし介護施設の中には、利益ばかりを追及する結果、人件費を抑えた運営で利用者一人に十分な介護ができていないところもあります。それによって仕事に対する熱意が下がってしまう介護士も少なくありません。勤務してみて初めてその実態がわかることもあるので、給与や待遇に満足していても早期に退職を決意するようです。
介護施設のほとんどが24時間365日、毎日稼働しています。そこで働く介護職員は、ただ高齢者に寄り添うだけが仕事ではなく、トイレや起床の介助、移乗・移動介助など仕事は多岐にわたります。人手不足の影響もあって、一人当たりの業務負担が大きい中で、夜勤も行いながら月の休みが4日のときもあります。
ところが、その努力や苦労の対価が給料に反映されず還元されにくい現状です。中には月給の手取りが12万~13万円という職員がいるなど、生活にも困ってしまうほどの給料しか支給されていないケースも珍しくありません。
介護現場において身体的な介助は必須となります。介護士一人で大人ひとりの体重を支えたり抱えたりなど、体力に自信のある方でも最初は相当な負担がかかります。また、シフトや時期によっては満足な休日や休憩を取ることが難しいときもあり、そういった環境で蓄積された疲労が原因で腰痛やぎっくり腰となり、私生活にまで支障をきたすほど悪化して、介護の現場を離れざるを得ない人も少なくありません。
介護職員はシフト制での勤務となりますが、定時ぴったりに仕事が終わることはなかなかありません。
利用者への対応でついつい勤務時間を過ぎてしまうこともあれば、職員の急な欠勤などで、急にシフトが変わってお休みがない日が続くことも。
特に小さい子どもがいたり、両親が高齢で介護が必要な職員は、家庭でも一息つくことができないまま、日々の忙しさに嫌気がさして退職を決意することも。
それでは、実際に「辞めたい」と嘆く現役介護士さんの声を聞いてみましょう。
上述のように「辞めたい」と常日頃思っていても、職場の事情や生活面での不安もあって、なかなか退職に踏み切れない介護士さんも多いようです。
しかし、心身ともにつらい状況を我慢して仕事を続けた結果、ケガや病気を患って介護士としての人生を諦めなければならなくなったら、そのほうがつらいかもしれません。介護の仕事が好きな方であれば尚更でしょう。
そうならない為にも、退職を検討した方が良い“タイミング”をお伝えしたいと思います。ぜひ参考にしていただき、悔いのない介護士人生を送りましょう!
仕事のストレスにより「眠れない」「食欲がない」などの症状が出た場合は要注意です。いわゆる”うつ病”のような状態に悩まされている場合は、完全に体調を崩してしまう前に退職の意志を伝えましょう。
そのような状態になるのは、運営体制に問題がある場合が多く、改善されるまでにも時間を要する可能性が大きいでしょう。
ま、自覚症状がない場合もありますが、プライベートの時間でも職場のことばかり考えてしまい、愚痴ばかりこぼしている場合はかなりストレスが溜まっています。利用者のことや仲の良い職員のこともあると思いますが、一度冷静になって自分自身を見つめなおす時間を設けてみましょう。
人によって働く理由はさまざま。お金を稼ぐことが仕事のやりがいという方もいて当然です。しかし、給与が低いと問題視されている介護士は俗物的なやりがいよりも心情的なやりがいが強い傾向にあります。
介護の仕事を金銭欲のみで続けていくことは非常に難しいので、介護の仕事にどうしてもやりがいを見出せない場合は、思い切って別の業界へ転職してみましょう。たとえば福祉器具を製造・販売するような会社であれば、介護現場の経験や知識をきっと活かせるはずです。
年度末や年末年始などのタイミングで、施設長が代わったりなど、人事異動がよく行われます。それによって施設内での異動なども行われやすいので、「わたしが今抜けてしまうと周りの職員に迷惑をかけてしまう・・・」と思ってなかなか退職を決断できない方も良い機会となるでしょう。職場の人間関係や業務にも区切りができるので退職願の提出も気持ち的には楽になるはずです。
在職中に転職先が決まる場合は収入が途切れることは少ないですが、転職先がなかなか決まらず、離職してからも転職活動を続ける場合は金銭的にもそうですが、精神的にもつらいものがあります。そこで焦って転職先を決めてしまうと、また同じような理由で退職をすることに繋がりやすくなります。
離職中であっても、こころに余裕を持って転職活動をするためにも給料の約3ヶ月分程度は貯金をしておくと良いでしょう。また、ボーナスをもらった後に辞めるのも一つです。
とは言っても、失業保険を利用すれば少なくとも3カ月は受給できるので受給資格があるか一度確認してみると良いでしょう。
介護士も平成24年の法改正により指定されている研修を受講すれば、たん吸引や経管栄養の医療行為を行えるようになりました。しかし、人手不足や多忙さで“未受講”の介護士にも医療行為を行わせてしまう介護施設もあるようです。また、この摘便やインスリン注射などの認められてない医療行為まで介護士にさせてしまう職場も。これは完全な違法となってしまう為、上司の命令で断れなかったとしても医療行為を行った介護士が犯罪者となってしまいます。なので、改善の試みもないのではあれば、すぐに退職をして、安全な介護施設へと転職しましょう。
いわゆるブラック企業・職場といわれる介護施設も存在しています。ブラックな職場に勤め続けることにはほぼメリッはなく、心身ともに大きな負担となっていくだけですので、少しでも「辞めたい」と思うのであれば早めに転職することをオススメします。そんなブラックな職場の可能性が高い介護施設の特徴をご紹介します。
労働基準法では労働者が週に1日または1ヵ月に4日以上の休日を取得する権利があると定められています。その他、1日の労働時間が6時間以上の場合は最低でも45分、8時間以上の場合は60分の休憩を与えられなければいけません。夜勤などで労働時間が16時間を超える場合は休憩時間を2時間設けている施設が大半です。
ただし、注意しなければならないのが、36協定です。36協定は各企業の月の残業時間の上限などが定められています。なので、月の残業時間がその上限を超えておらず、連勤が続いても休日や深夜などの割増賃金が支払われていれば基本的に問題はありません。勤務先の36協定の内容を確認しておきましょう。
「日勤よりも時給が高い」「夜勤のほうが楽だ」と言う介護士の方もいますが、月に10日以上の夜勤は常識的に限度を超えています。不規則な生活は命にも関わってくる問題にもなり得ますので、介護士のケアもしっかり管理している職場へと転職することを検討してみてください。
実際に夜勤を“宿直”として扱っている職場は意外と多くあります。しかし、宿直は軽労働という扱いをされてしまうため法定労働時間外勤務となってしまい、原則である1日8時間や週40時間以外でも働くことに罰金などが発生せず、施設側にだけメリットのある働き方になっています。
例えば、当日の夜から翌日の朝にかけてシフトを組まれたとき、
通常夜勤した場合、span>勤務当日も翌日も勤務をしたことになり、取得しなければいけない休日日数に変動はありません。一般的には夜勤明けの翌日が休日になるシフトが多いです。しかし、宿直とされた場合、当日から翌日を宿直とされ、宿直明けの休日として換算できてしまうため、夜勤明けの日も休日としてカウントされてしまいます。
結果、取得できるはずの休日日数を減らされていることになり、職員としては休日を1日分勝手に消化されていることになります。
通常の介護施設であれば、正社員化を積極的に推進しています。しかしブラックとされる介護の職場では常勤雇用を希望しても、非常勤雇用でしか雇ってもらない施設があります。そのような施設は経営が不安定な場合は多いので、しっかりと自分の将来を考え、常勤雇用に前向きな介護施設を探しましょう。
それでは辞める意志を固めて、実際に退職となったとき、次は転職するにあたって失敗しないためのポイントをチェックしていきましょう!
次の職場を探す際、「安定してそうだから」という理由でついつい株式上場している会社を選びがちではないでしょうか?個人事業主や小規模な施設で働いていた方からすると、好待遇な求人内容はたしかに魅力的に映るかもしれません。しかし、介護事業はそもそも利益がでにくい事業です。さらに幅広い事業展開は、利益を生まない職員が増えてしまうこともありその分給料も低くなっている可能性があります。しっかり企業研究を行い、面接でもしっかりとどのような方針で事業を行っているのか確認しましょう。
介護士の処遇改善加算は、介護サービスを主体として行う介護士の給料に加算がされる制度です。現状残念ながら職員全員に行き渡ることが少なく、この制度自体を介護施設側が自治体に申請取得をしていないと各職員の給料に反映されません。悪質な施設では申請取得をしているにも関わらず、職員へ支給していないというところも。求人情報の給与欄をチェックしてみてください。内訳に明記されていない求人情報もありますので、転職支援のコンサルタントに聞いてみると良いでしょう。
介護施設を運営している経営母体をきちんと確認することは、安定性や将来性を見るためにも必要となってきます。株式系ではどうしても利益を生み出すことに注力しがちな傾向がありますが、一方で医療法人や社会福祉法人は経営と理念などのバランスが取れていることが多く、病院やクリニックも経営しているところが多いため福利厚生も充実しています。