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知っておきたい!介護における排泄介助の適切な方法とは?

数ある介護の中でも、「排泄介助」は特に重要かつデリケートなケアの一つです。人が生きていく上で、避けては通れない大切な行為であるのと同時に、被介護者にとっては自尊心や羞恥心に関わる問題でもあるため、特に介護に慣れていない方であれば、苦労されていることも多いかと思います。今回の記事では、被介護者の尊厳をなるべく傷付けずに、自立意欲を高めていくような排泄介助の方法について紹介していきます。

排泄介助のポイントについて

介護者の立場からすると、排泄介助に対して心理的な抵抗があることは事実です。とはいえ、それ以上に被介護者にとって、排泄行為はとてもデリケートな問題だということは、必ず念頭に置いておくようにしましょう。問題なく行えていた排泄行為ができなくなってしまった時に、高齢者の方々が受けるショックは、介護する側が考えているよりも大きいものです。実際に介助を行う前に、覚えておいて欲しいポイントをまとめましたので、ご参照ください。

ポイント① 自尊心に最大限の配慮を!

身内の方に介護してもらう場合でも、排泄行為を見られてしまうということに対する屈辱感や羞恥心を抱くことは、当然のことです。被介護者の方の自尊心を傷付けないためにも、急かしたり失敗を責める、嫌な表情を見せてしまう、といったことのないように心掛けましょう。介護する側にとっても心理的負担の大きい排泄介助ですが、気恥ずかしさや申し訳なさを感じた被介護者が、便意を我慢したりするようになってしまっては、本末転倒です。

ポイント② 十分な水分摂取をしてもらう

上述しましたように、排泄行為に失敗した被介護者が、なるべくトイレに行かずに済むように、水分の摂取を控えてしまうようなことがあります。高齢者の方々は、体内に必要な水分を蓄える機能が低下しており、水分が足りないことで脱水症状や、場合によっては他の病気の要因に繋がりかねません。そういった危険性を伝えた上で、必要な量の水分を取ってもらうようにしましょう。

ポイント③ 排泄のサイクルを把握しよう

被介護者がトイレに行く時間を把握することで、適切なケアが可能となります。認知症を患っている方であれば、表情や仕草で排泄のサインに気付ける場合がありますので、急かすようなことはせずに、さりげなく声をかけてみましょう。可能であれば、1日の排泄のタイミングをルーチン化することで、失敗のリスクを減らし、便秘予防などにも役立ちます。また、介護する側にとってもリズムが掴みやすくなり、負担を軽減することができるでしょう。

ポイント④ 排泄介助の目的は自立支援

必要な介助は大切ですが、被介護者の方が自力でこなせることに関しては、積極的にやってもらうようにしましょう。自立した排泄を行うことで、被介護者の尊厳回復にも繋がりますし、身体機能の維持という点においても重要です。勿論、トイレやその周辺をバリアフリー化する等々、転倒や失敗のリスクを極力排除するような配慮をした上で、自立した排泄が実現するような介助をしていくのです。そういった意味で、おむつの安易な使用は出来る限り避けましょう。被介護者にとっては、おむつの使用はその方の尊厳を傷付けることになりかねず、身体を動かす機会も減りますので、身体機能の低下する危険性もあります。

排泄方法の種類と適切な選び方とは?

被介護者の排泄方法には、自力でトイレに行く、ポータブルトイレを使用する、おむつの使用、といったように幾つかの種類があります。被介護者の状態によって、適切な方法も変わっていきますので、排泄方法の種類と特性をしっかりと把握していきましょう。

トイレの使用

家庭内で通常使用している、一般的なトイレです。自力で(介助が必要な場合も)トイレまで行ける方であれば、トイレで自立した排泄を行うのが良いでしょう。身体を動かすことで、身体機能の維持にも繋がります。介護側は、トイレは洋式にして、手すりなどを用意するなど、被介護者が転倒してしまうなどのリスクを極力減らすような配慮を心掛けましょう。

ポータブルトイレの使用

寝室などに設置できる、持ち運び可能な便器です。トイレまで歩くことは難しいが、介助があれば起き上がることはできる、排泄のタイミングを判断できる、といった方に向いています。夜間の排泄が多い場合や、自立してトイレに行ける方でも、夜間の歩行は不安という場合に、夜間のみポータブルトイレを使用する、というのも一つの手です。

便器・尿器(尿瓶)の使用

ベッドからは起き上がれないが、尿意や便意を感じるという方には、寝た状態で排泄できる便器・尿器の使用を検討しましょう。本人が出来る範囲のことは、なるべく自分でやってもらうことが大切です。また、プライバシーの配慮には十分注意するようにしましょう。

おむつの使用

寝たきりで、意思疎通が難しい・尿意や便意を感じることができないという方であれば、おむつの使用を検討しましょう。おむつには、紙と布タイプがあり、形状はテープまたはパンツといったタイプがあります。被介護者の肌がかぶれてしまう、といったことのないように、サイズなどにも十分注意して選ぶようにしましょう。こちらも先述しましたように、おむつの使用に関しては、あくまで最終手段として考えておくべきです。

排泄介助の手順について

ここでは、実際の排泄介助の手順について紹介していきます。あくまで一例ではありますが、ぜひご参照ください。

一般的なトイレを利用する介助の手順

ベッドからは起き上がれないが、尿意や便意を感じるという方には、寝た状態で排泄できる便器・尿器の使用を検討しましょう。本人が出来る範囲のことは、なるべく自分でやってもらうことが大切です。また、プライバシーの配慮には十分注意するようにしましょう。

1.排泄の時間になったら、トイレまで誘導します。必要なら歩行介助も行います。被介護者のスピードに合わせて、急がせたり焦らせたりすることのないようにしましょう。
2.トイレに着いたら、必要最低限の介助は行いますが、衣服の脱衣など、被介護者本人ができることは、出来る限り自分でやってもらうようにしましょう。
3.便座に座るまでの介助は、焦らずにゆっくりと。転倒などに気を付けて介助を行います。
4.排泄中は、プライバシーの配慮のためにも、なるべく外で待機するようにします(被介護者の状態によっては、隣で待機します)。その際、軽くドアを開けておくことで、異変などに気付くことができます。
5.排泄が終わったら、声をかけてもらう・ブザーのようなものを鳴らす、とった合図をしてもらいます。こちらから声をかける場合は、焦らせたりするようなことのないように注意します。
6.清拭は、自力で行える場合は本人にやってもらうようにします。介助する場合は、手早く行うようにしましょう。ここで排泄物や皮膚の状態などをチェックして、何か異常がないかを確認します。
7.衣服の着衣に関しても、可能であれば自力で行ってもらいますが、無理であれば介助します。

ポータブルトイレを利用する介助の手順

1.ベッドの側に、介護向けのポータブルトイレを設置します。
2.排泄のタイミングで声をかけて、介助しながら体を起こし、トイレまで移動します。
3.転倒に注意しながら、衣服や下着を下ろして、ゆっくりと便座に座ってもらいます。ここでも、出来ることはなるべく自分でやってもらうようにします。
4.座った態勢が安定しているかを確認し、問題無ければ部屋の外(または近く)で待機します。
5.排泄が終わったら、合図をもらうか、こちらから声かけなどをします。清拭・着衣なども、出来る限り自力で行うようにしてもらいます。あくまで、できないことだけをサポートするように心掛けましょう。
6.排泄物を観察し、健康状態などをチェックします。また、ポータブルトイレは部屋に設置する以上、においが気になることも多いですので、処理・清掃はこまめに行いましょう。

尿器・便器を利用する介助の手順

ベッドで寝た状態で便器や尿器を使う際には、男性用尿器と女性用尿器があることや、差し込み型便器・ベッドパン型便器・ゴム製便器といったように、幾つかの種類があることを知っておくようにしましょう。それぞれメリットやデメリットがありますので、被介護者の状態に見合ったものを選ぶことが大切です。使用の際には、事前にトイレットペーパーやタオルなどを敷くことで、ベッドを汚さないようにすることができます。衣服の着脱や陰部に尿器をあてがう、お尻の下に便器を入れるといったことは、出来る範囲で被介護者本人にやってもらうようにします。排泄中は、下腹部にタオルをかけるなどして、プライバシーの配慮に注意するようにしましょう。排泄後の排泄物のチェック、使用した器具の洗浄などもしっかり行います。

夜間の排泄介助について

認知症を患っていたり、重度の要介護者の介護を行っている方にとって、夜間の排泄介助は深刻な悩みとなっています。被介護者が自力でトイレに行けたとしても、夜間に歩かせることに不安を感じますし、不規則な時間帯での排泄介助は、介護者にとっても精神的・体力的負担が大きいです。夜間の排泄介助のトラブルを避けるためには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。幾つか例を挙げてみました。

頻尿対策
認知症でなくても、高齢者の方は加齢と共に膀胱の容量が減りますので、トイレが近くなるのは自然なことです。就寝前にトイレに行上手く誘導するようにして、夕食後の過度な水分摂取は避けるようにしましょう。
ポータブルトイレの使用
先述しましたように、ポータブルトイレは寝室に設置するものですし、被介護者に暗い廊下を歩かせることに対する心配もなく、介護する側の負担軽減にも繋がります。
夜間対応型訪問介護を利用する
夜間のみ、訪問介護サービスを利用するという手段もあります。但し、地域密着型サービスとなりますので、原則としてその市区町村に住んでいる要介護の認定を受けた人のみが、サービスを利用できます。

自立支援に繋がる排泄ケア

繰り返しになりますが、排泄行為は人間の尊厳に関わるデリケートな領域です。出来る限り独力でどうにかしたい、と考える人がほとんどかと思います。どうしても一人では難しいとなった場合も、排泄介助をする側が、被介護者の残存能力を活かすようなサポートを心掛ける必要があります。排泄介助は、何もかも介護する側が行うのではなく、被介護者の自立支援のために行うものだ、ということは常に頭に入れておきましょう。

まとめ
排泄介助は、介護者にとっても被介護者にとっても、精神面・肉体面どちらにも負担を強いる介護であることは事実です。同時に、排泄とは人が生きていく上でとても大切な行為なのです。被介護者のQOLの向上に繋がるような排泄介助を実践しつつ、介護者の方々が抱えるストレスが限界を超えるようなことのないように、場合によっては介護サービスなどの利用も検討することをおススメします。

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