現在の介護業界は、高齢者の生活ニーズに応えるために多種多様なサービスが展開されており、介護職員自身もさまざまな働き方が可能となる時代になりました。
こうした背景のものと、介護のサービスは今まで以上に細分化が進んでおり、その介護施設の様相も変わってきています。
なかでも、全国的に施設数が多い「デイサービス」は、元気な利用者が多く、基本的に夜勤がないので経験が浅い職員でも馴染みすいので興味を持つ方も多いでしょう。しかし、デイサービスで働きたいと考えているものの施設が沢山ありすぎて今一つデイサービスの特徴が分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回はデイサービスの基本から主流となっているサービスについてなどを詳しく解説していきます。これを読めば今までデイサービスについて疑問だったことも解消できるでしょう!
デイサービスの仕事を説明すると、日本語では「通所介護」とも言われており、日帰りで専門施設に介護を依頼することができるサービスとなります。
基本的な仕事内容としては、入浴や食事、排泄など、日常生活において基本的な動作がスムーズにできるよう訓練したり、利用者同士による交流を促進したりするなど、利用者が充実した生活が送れるようにサポートしていきます。
このようなデイサービスを提供する施設は、厚生労働省「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況」の統計を見ると、通所介護の施設は全国で約4万1,000件もあり、全介護施設の中でも最も多いことが分かりました。
最近では、デイサービスの施設が増え続ける中でも、他のデイサービスと差別化を図る事業者が増えてきており、独自のコンセプトやサービスを提供する施設が目立ちます。
例えば、機能訓練や入浴に特化するなど、デイサービスも細分化が進んでおり、施設によっては介護職員に求める役割や能力が変わってきました。
デイサービスが細分化したことで、実際の現場では、どのようなことが求められるようになってきたのでしょうか?
デイサービスの仕事をこれから始めようとする方に向け、整理しやすいように従来型と特化型に分けて説明しますので、最初はそれぞれの分類から把握していきましょう。
従来型のデイサービスに求められる介護職員の仕事は、入浴や食事、排泄などの生活介助をはじめ、レクリエーションの実施や機能訓練の補助など行うのが一般的です。
施設によって勤務時間も様々ですが、夜間の受け入れにも対応したデイサービスであれば、利用者の見守りのために夜勤が求められることもあるでしょう。
これに加え、車で利用者の送迎をすることがありますが、送迎の専属ドライバーがいないような施設の場合には、免許を持っていれば運転の仕事も業務に入ります。
なお、デイサービスの基本的な仕事としては、下記の表のような介護活動が挙げられますので覚えておきましょう。
特化型のデイサービスの場合には、従来型とは違って、より専門性の高い能力が求められることになります。
ここでは、機能訓練に特化したデイサービスを行う施設の仕事を例に見ていきましょう。
機能訓練に特化したデイサービスの場合、利用者の受け入れの時間は3時間制や半日などのケースが多く、時間の関係もあって食事や入浴などの介助を行わないところが多い傾向にあります。
このため、機能訓練の補助に特化することになりますが、利用者とコミュニケーションを取りながら一緒に体を動かしたり、リハビリしたりすることが仕事の中心となります。
具体的には、椅子・車椅子に座った状態から立ち上りの訓練をしたり、重りやチューブを使って筋力をアップしたり、起立台を使用してアキレス腱を伸ばしたりするなどの機能訓練に特化した対応となりますので、スポーツクラブのインストラクターやトレーナーのような役割が求められ、実際に求人でもインストラクターなどの経験者を優遇する場合もありますので、従来型のデイサービスとはだいぶ印象が異なることでしょう。
デイサービスの施設には、1日で20~40人、多いと50人以上の利用者がサービスを受けに訪れることでしょう。基本的には、大きなフロアに椅子と机が並べられ、そこで利用時間のほとんどを過ごす事になりますが、滞在時間は利用者やご家族の希望に応じて長くも短くもできます。
そして、前述した従来型と特化型の分類に留まらず、デイサービスと一口にいっても様々なタイプがありますので、更に詳しい分類を下記で説明していきます。
リハビリに重点を置いた施設です。とにかくリハビリして回復したい!という患者さんにおすすめのタイプです。午前のみ、午後のみのご利用も可能で、3~4時間という短時間だけの方もいらっしゃいます。
リハビリ中心のプランが特徴で、マシンが使えたり、ヨガやフィットネスを取り入れている施設もあります。
一見住人が暮らしていそうな一軒家を使ってデイサービスを運営しています。定員は10名以下と比較的少人数なので、大規模な施設に抵抗ある方にもおすすめです。
ただしバリアフリーはなく、段差や敷居があるのが気になりますが、トイレやお風呂場は
リニューアルして綺麗なところが多いです。
民家型デイサービスの良いところは、まるでご近所の家を訪ねるような感覚で気軽に利用しに行けるところです。介護用の施設という感じがしません。
機能訓練の場として、整骨院も利用できるよう併設している施設です。一人ひとりの状態を把握した上で、安全にマッサージとリハビリを組み合わせて施術してくれます。
アットホームな雰囲気のところが多く、生活リズムに合わせて利用できるのも嬉しいです。
朝早いのが苦手という方、長時間施設にいるのは嫌という方、痛みを克服したい、リハビリだけを受けたい方などにぴったりですよ!
続いて、デイサービスを利用する介護者については、どのような状態の方が主に適しているのか説明しておきましょう。
基本的に要介護度が1~5の人たちがデイサービスを受ける事ができます。
※40歳~64歳の方たちの場合は、16種の特定疾病による場合に対象となります。
要支援1~2の人たちは日常生活支援総合事業所に移行する事になります。小規模通所介護については、2016年4月移行地域密着型に移行したため、お住まいの市町村にあるサービスを利用しなければなりません。
介護者がデイサービスを利用したい!と思った時には、以下のような流れで進めていきます。
デイサービスが便利なのは分かりつつも、負担しなければいけない費用についても心配ですよね。
デイサービスにかかるコストは、基本的にサービス料+食費+日用品(雑費)です。
施設の規模や所要時間、介護レベルによってもかかるコストは違ってきます。(送迎費もかかります)
・3~5時間・・・407~649円
・5~7時間・・・613~1,059円←2割負担の場合は1,233~2,130円
これからデイサービスで働きたいと考えている方は、職場環境について不安も色々あるでしょう。
デイサービスは、介護職員に人気の高い職場の1つですが、利用者も比較的介護レベルの低い方が多いため、未経験の方や介護技術に自信がない方でも入りやすい職場環境だと言えます。
しかし、その反面で、デイサービスの施設の増加及び多様化に伴い、施設を運営する事業者間の競争も激しくなっていることも事実としてあります。デイサービスの経営が難しくなった運営主が倒産してしまうようなケースもあります。
ここでは、デイサービスの仕事で役立つ資格や役割などについて紹介しますが、特化型のデイサービスは求めらる知識や経験などがサービスによって異なりますので、主に従来型のデイサービスを軸に紹介します。
生活に支障をきたす認知症の方、寝たきりになっている高齢者の方たちに対して、食事・排泄・入浴といった身体的・精神的な自立をサポートしていく役割です。
「精神科ソーシャルワーカー」と呼ばれる国家資格の職業で、デイサービスでは利用者の方とご家族の方の相談にのる事で、円滑な生活が送れるよう支援していきます。
日常生活に不自由している方たちに対し、福祉に関する相談にのったり、問題解決のためのアドバイスや指導をしていきます。デイサービスでは、「総合相談業務」といった役目で利用者のカウンセリングにのりながらサポートしていきます。
利用者に 薬の配布や食事介助、健康チェックなどする他、緊急時の対応をしていきます。
施設内で利用者さんの活動のサポートをしていきます。具体的には食事・入浴・排泄などになります。利用者の方が一人でできない部分だけを見守っていきます。
利用者さんの送り迎えを行います。
一人ひとりの体調に合わせた食事を提供していきます。
デイサービスの魅力・やりがいは、利用者の方を介助することで、心身ともに利用者の方の生活環境が活性化され、高齢者の表情が明るくなっていく姿を見ることでしょう。
そして、デイサービスは、介護度が低い利用者の方が多く入所する施設となりますので、利用者の方が好みそうなレクリエーションを考え、介護職員も一緒になって楽しむことができるのも魅力の1つに挙げられます。
施設によっても差はありますが、派遣やパートの場合は月給12万円程度(※時給1,500円~2,000円程度/月給12万円は、時給1,500円と仮定して1日4時間×20日で計算した場合)、未経験もしくは無資格の正社員の初任給は約17~19万円程度が相場と言われています。
また、介護福祉士や社会福祉士などの資格がある場合には、約20~25万円程度の所得となるのが一般的でしょう。
介護の資格は所有していると優遇される傾向にはありますが、資格や職種によっては事業者に何人も必要でない場合もありますので、必ずしも希望する仕事の配置や賃金が保障されるものではありません。
デイサービスの働き方や労働時間のイメージがわくように、一日のタイムスケジュール例をご紹介します。シフトについては、夜勤業務を対応するような施設の場合は、2交替もしくは3交替になるケースもあります。
8時半 | 朝の挨拶・脳力トレーニング:一日のスケジュールやお知らせを伝えます。 |
10時 | 口腔体操:食前にお口の体操をします。 |
11時45分 | ランチ:バランスの行きとどいたおいしい食事を提供しています。イベントや行事に合わせて楽しめるよ うな食事もあります。 |
12時 | リラックスタイム:電気を少し暗くし、リラックスできる音楽をかけながら思い思いに過ごします。 |
13時 | リラックスタイム:リハビリ体操、イベント、サークル活動:施設によっては一年で200回以上の楽しいイベントを企画しているところもあります。 |
15時 | 帰り支度 |
16時 | 帰宅、各ご家庭までお送りします。 |
デイサービスの介護職の職場・就職先は、ミスマッチを防ぐためにも、各施設で行われているデイサービスの特徴をしっかりと把握し、自身の希望条件や適正を照らし合わせたうえで、職場を選定する必要があります。下記に具体的なチェックポイントを挙げますので参考にして下さい。
これからデイサービス施設に就職・転職しようとしている人たちは、まず、以下の点をチェックしてから選んでみましょう。
上記のポイントをチェックしたら、次は利用者やそのご家族の立場に立ってそのデイサービスを客観的に見てみるのも大事です。
最近デイサービスはますます多様化してきています。その中で安定的な経営をしていくのには本当に利用者にとって魅力を感じるようなサービスでなければいけません。そのデイサービスにはどのような特徴や魅力的なサービスがあるのか、法人としての経営理念を
利用者目線でチェックしてみるのもいいでしょう!
求人情報だけでなく、施設のホームページや口コミも良い参考になりますよ。