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上手な入浴介助の方法って?~注意すべきポイントとは~

食事介助や排泄介助と並んで、介護をする上で欠かせないケアとなる「入浴介助」。利用者の方々にとっては、身体を清潔に保つだけでなく、リラックスや血行促進など、心身に良い結果をもたらします。反面、入浴時に「介護ミス」による事故が起こりやすいということも事実です。入浴介助の際に、不慮の事故などが起こらないように注意すべき点は、どのようなものになるでしょうか。上手な入浴介助のコツを、一緒に学んでいきましょう!

入浴介助とは?

入浴介助とは、身体機能の低下などによって、自力で入浴することが困難な高齢者の方々に対して、介護者が介助を行うものです。単に「お風呂に入るためのお手伝い」といったように考えがちですが、専門的な介護技術が要求されるサービスであり、しっかりと準備をした上で細心の注意を払って行わないと、大きな事故に繋がるリスクが潜んでいるのです。

入浴介助に必要な準備について

入浴介助に必要になるものは、事前に全て用意します。途中で気付いて、入浴中に取りに行ってしまい、利用者の方を一人にしてしまう、といったことのないようにしましょう。入浴介助の際に、利用者から目を離すことは絶対にNGとなります。

入浴介助に必要なもの
・バスタオル(なるべく大きく吸水性の高いもの)
・着替え
・新しいオムツや尿取りパッド
・ボディソープや石鹸
・ボディタオル
・入浴補助用具(シャワーチェア、転倒防止マット等)
・必要に応じて皮膚の薬、保湿剤、爪切りなど
介助者が持っていると便利なもの
・入浴用のエプロン
・滑りにくいサンダル(靴)
・薄手の手袋

入浴介助の心得について

ここでは、実際の入浴介助の手順に入る前に覚えておいて欲しい、入浴介助の心得について説明してきます。

利用者の方の安全第一で!

浴室における急激な温度変化や、とくに設備の整っていない自宅の浴室で起こりやすい転倒事故など、入浴介助にはさまざまな危険が伴います。だからこそ、安全面には十分な配慮が必要になります。入浴介助の際には、とにかく利用者の方から絶対に目を離さないということが大切です。また、体調が悪いときに無理に入浴させるような必要はありません。そういった場合には、温めたタオルで身体を拭く、足浴などの工夫をするようにしましょう。

利用者の方の状態を確認しましょう

入浴介助と同時に、利用者の方の身体の状態観察も行うようにしましょう。入浴介助は、利用者の身体の隅々までチェックできる貴重な時間となります。肌の状態であったり、傷や痣などができてはいないか、といったことを確認して、何かしらの異常が見つかるようであれば、即時報告するようにしましょう。

ADL(日常生活動作)の維持・向上を意識しよう

食事、排泄介助でも共通していることですが、入浴介助の際に「できることは自分でやってもらう」ことも意識するようにしましょう。そうすることによって、高齢者の方々の自立支援、ADL(日常生活動作)の維持・向上に繋がります。入浴の時間はプライベートな空間ですし、目を離さないことを前提にして、できる範囲で自由に過ごしてもらうことで、利用者にとっても快適なリラックス・タイムとなるでしょう。

入浴介助の手順・注意点

それでは、具体的な入浴介助の手順や注意点について見ていきましょう。入浴前・入浴中・入浴後に分けて解説しますので、ぜひご参照ください!

入浴前の注意点
①食事前(空腹時)や、食事直後の入浴は必ず避けるようにしましょう。
②入浴前のバイタルチェックは確実に行います。
③湯温は(38~41℃) が適温です。持病や疾患がある人は、適温よりも低めに設定します。
④浴室の床や浴槽内などが滑りやすくなっていないか、といった環境をチェックします。
入浴中の手順・注意点
①足元に注意しながら、シャワーチェア(事前にお湯をかけて温めておくと良いでしょう)などに腰をかけてもらいます。
②事前に声をかけた上で、心臓から一番遠いところ、足からお湯をかけていきます。お湯の温度を確認しつつ、少しずつ慣れてもらうようにします。
③洗髪・洗体に取り掛かります。まずは頭から、指の腹などでやさしくこするように洗っていきます。洗体の際には、ボディタオルもしくはスポンジなどで、優しく洗います。高齢者の方々は皮膚が弱く、入浴中は肌がふやけており、とくに傷つきやすいので、強くこするようなことのないように注意するようにしましょう。
④洗髪・洗体を終えたら、浴槽への移動となります。移動介助の際に、転倒などの事故が起こりやすい傾向にありますので、利用者の方の身体をしっかりと支えつつ、手すりなどを利用して頂いて、ゆっくりと移動するようにしましょう。
⑤お湯に浸かる時間は、大体5分程度が目安です。浴槽から出る際にも、めまいやふらつきなどに注意して、ゆっくりと移動介助を行います。
入浴後の手順・注意点
①全身の水分を、しっかりとタオルで拭き取ります。足の裏などは見逃しがちですが、転倒に繋がりやすいので、こちらも忘れずに拭き取るようにしましょう。
②湯冷めに気を付けつつ、椅子などに座ってもらってから、着替えのサポートを行います。
③入浴後は温度・血圧などの変化で体調も変化しやすいです。しっかり水分補給をしてもらいましょう。
④皮膚科で処方されている薬などがあれば、入浴後の肌が清潔になったタイミングで塗ると良いでしょう。また、必要に応じて保湿剤を塗る、爪切りなども行います。

入浴補助用具について

設備の整っている施設とは違い、在宅介護の入浴介助は不安も多いかもしれません。そのような場合に、入浴補助用具の導入を検討してみてはいかがでしょうか。入浴補助用具に関しては、介護保険を利用することができるものがありますので、導入の際には、担当のケアマネージャーや福祉用具(貸与)販売店などに相談するようにしましょう。

主な入浴補助用具
①入浴用いす(シャワーキャリー)……座ったままで、部屋から浴室まで移動が可能です。
②浴槽用手すり……浴槽に取り付けることによって、浴槽に入る際に身体を支えることができます。
③入浴用いす(シャワーチェア・シャワーベンチ)……洗体の際に、身体を安定させます。
④入浴台(バスボード)……浴槽の縁に掛けて、浴槽の出入りをサポートするものです。
⑤浴室・浴槽内すのこ……設置することで、つまづきや転倒の防止になります。
⑥入浴用介助ベルト……移乗する際に使用することで、転倒防止や介助者の負担軽減にも繋がります。

訪問介護・デイサービスの利用について

在宅での入浴介助は、ご家族にとっての負担が大きいことも事実です。身内で行う入浴介助が難しいと感じていらっしゃるのであれば、要支援・要介護認定を受けている方に、デイサービスや訪問介護による入浴介護などを利用することも検討してみてはいかがでしょうか。利用者の方々にとっても、ご家族にとっても、気持ちの良い入浴の時間を過ごせるようにすることが、何より大切です。

まとめ
入浴は、日常生活の中でも利用者の方々が、心身共にリラックスできる重要な一時です。同時に、介護者にとっては細心の注意を払って行うべき介助になりますので、肉体的・精神的な負担も大きいものといえます。
入浴介助は、幾つかのポイントを押さえることで、介護者の負担軽減にも繋がります。今回の記事を参考にしていただいて、上手な入浴介助のコツを掴んでいだければ幸いです。