両親の介護をすることになり、「経済的にも精神的にもかなりきつい…」そうした悩みを抱える介護者の家族は多くいます。老人ホームに預けるとなると月20万円程度はかかります。その中でもケアハウス(軽費老人ホーム)は、身寄りのない介護者などが少ない費用負担で安心して介護サービスが受けられる福祉施設です。これから益々需要も高まる注目の施設になりますので、サービスの特徴などをしっかりと把握しておきましょう。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の特徴は、地方自治体や社会福祉法人などが運営する福祉施設となりますが、身寄りのない高齢者もしくは、家庭環境や経済的な事情から近親者との同居が難しい場合に入居する施設となり、比較的少ない費用負担で食事提供、安否確認、生活相談などのサービスが受けられる点です。
また、ケアハウス(軽費老人ホーム)の種類は、「軽費老人ホームA型・B型」と「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」の2タイプに分類することができますが、近年では「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」を「ケアハウス」と呼ぶようになっており、この記事の説明上で区別するためにも「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」と記載します。
付け加えると、1990年以降は「軽費老人ホームA型・B型」の施設は新設されていませんので、現在ある「軽費老人ホームA型・B型」を改築する場合や、「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」を新築する場合には「ケアハウス」の名称で統一するようになりました。
「軽費老人ホームA型・B型」は、いずれも独居生活が困難な高齢者を入居を対象としており、所得に応じてかかる費用も変わってきます。
A型とB型の違いは、A型が食事の提供があり、B型にはないため、B型の場合には自炊ができる人が入居しているのが特徴です。
これに加え、A型とB型のいずれも、介護の必要がある高齢者は入居ができないといった特徴を持っているので覚えておきましょう。
「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」は、平成元年に制度化された軽費老人ホームの種別としては一番新しい形態ですが、この中にも一般型と介護型の2つが存在します。
一般型とは、従来からのA型・B型に比べ、介護不要もしくは軽度の介護が必要な人が対象となりますので、食事の提供、洗濯や買い物、掃除などの生活支援を受けることができるうえ、入居後に介護が必要となった場合でも、外部の事業者に訪問介護を委託して入居を継続することは可能となりました。
もう1つの介護型のほうは、介護スタッフが常駐していますので、外部の事業者などは使うことなく、通院の付き添いや安否確認などの介護サービスを施設内で受けられます。
要約すると、「軽費老人ホームA型・B型」と「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」の大きな違いは、「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」なら介護が必要な方でも入居できるようになった点にあると言えるでしょう。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の費用については、入居一時金などの初期費用が約数十万から数百万円が必要で、月額の費用にして約7~20万円ぐらいが相場と言われています。
このうち、初期費用の入居一時金は、いわゆる不動産契約の敷金にあたるようなお金で、退去する際にかかる清掃、修繕などの経費や、家賃の滞納分があれば充当するようなことになりますが、残金は基本的に返却される仕組みです。そして、介護が必要な方は、介護保険サービスを受けると、国や市区町村から7割~9割の費用を介護者に保険で給付しますので、介護者の所得に応じて1~3割の費用負担でサービスを利用できます。下記に、月額の料金を表にまとめましたので参考にしてください。
軽費老人ホームA型 |
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約6~17万円(食事代は込み ※但し、利用者の収入よって異なる) |
軽費老人ホームB型 |
約3~4万円(食事代や生活費はすべて実費) |
軽費老人ホームC型 |
約6~17万円(食事代は込み ※但し、利用者の収入によって異なる) |
※軽費老人ホームC型は、上記利用料に加え、別途月額にして数千円~3万円程度の管理費が必要となる場合もあります。
※各自治体によっても費用は異なりますので、上記は一般的な相場とご理解ください。
高齢化に伴う老人ホームの増加や多様化が進んだ今日において、介護者の住まいの地域が都心なのか地方なのか、どのタイミングで入居を希望するのかによっても変わってきますが、比較的入りやすいと言えそうです。
待機の状況を調べてみると、その実態がわかる公的機関などの統計データは見当たりませんが、一般的には3ヶ月ごとに入居継続の判定をしている施設が多く、3ヶ月単位で入居の状態が更新されることもあって、申込みから入居までの待機時間は最速で1ヶ月未満、6カ月以上待機する割合は低いといった民間の調査結果もあり、平均しても3ヶ月~6ヶ月ぐらいで入居できていることがわかりました。
但し、即時入居を必須条件としていたり、都心部で人気のある施設を選んだり、「軽費老人ホームC型(介護型)」の場合においては、施設や時期によって待機期間が長くなることもあります。
ここでは、ケアハウス(軽費老人ホーム)で働くことを考えている方に向け、施設側が感じているメリットとデメリットを整理して紹介します。
ケアハウス(軽費老人ホーム)の入居条件は、「軽費老人ホームA型・B型」が個人または夫婦のどちらかが60歳以上という年齢制限に加え、月34万円以上の所得がある高齢者は入居対象外となっています。
また、「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」は、一般型に入居できるのが60歳以上の高齢者(夫婦で入居する場合はいずれかが60歳以上)で、介護型は65歳以上の高齢者で要介護1以上の方が入居の条件となり、いずれも所得制限はありません。
介護、看護、医療体制を説明するので「軽費老人ホームC型(一般型、介護型)」について取り上げますが、このうち一般型のほうは、介護職員が勤務しておらず、食事提供や安否確認・生活相談などのサービスが基本となり、介護保険を使って介護サービスを受ける場合は、介護、看護、医療体制というのは、連携して外部業者を利用することになります。
一方、介護型は、特定施設入居者生活介護の指定を受けていますので、施設として介護サービスを提供することが前提となります。基本的には、介護者3名に対して、1名以上の介護職員もしくは看護職員が常勤する体制となります。
ケアハウス(軽費老人ホーム)で提供しているサービスは、主には食事の提供と生活相談を中心として、レクリエーション、着替え介助、食事介助、排泄介助、入浴介助、外出時の介助といった生活援助がサービスの基本です。
前項でも説明しましたが、「軽費老人ホームC型(介護型)」に関しては、介護、看護、医療体制を整えていますので、介護のサービスを提供しています。
ケアハウス(軽費老人ホーム)は、厚生労働省の定めによると、居室の広さが21.6㎡以上(2人部屋は31.9㎡以上)、談話室、娯楽室又は集会室、食堂、浴室、洗面所、便所、調理室、面談室、洗濯室又は洗濯場、宿直室、事務室、その他の運営上必要な設備を用意することが規定となっています。
但し、施設のタイプ(A型~C型)によっても異なり、例えば食事が提供されないB型の場合は、食堂がありませんので居室内にキッチンが設置されているような仕様となります。
このほか、共同生活室の仕様については、食堂、大浴場、カラオケ室などが挙げられますが、いずれもバリアフリー設計が基本となっており、入居者にとって快適な設備や空間が提供されています。
ケアハウス(軽費老人ホーム)は、高齢化に伴って、高齢者の心身の健康や安定した生活を送れるなどを目的に施行された法律「老人福祉法(昭和38年)」が施行されたあたりから徐々に増えてきました。平成22年にはケアハウス(軽費老人ホーム)で定めていた居住面積や人員配置の基準が緩和されたことや、入居者の利用料金を低額に設定する「都市型軽費老人ホーム」の整備を東京都が進めたことにより、ケアハウス(軽費老人ホーム)は現代においても益々需要が高まっています。
最後に、ケアハウスと有料老人ホームについて、サービスなどが似ているので混同されるケースもあるようですが、善し悪しといった観点ではなく、それぞれの運営会社や方針には違いがありますので、その詳細を説明していきましょう。
まず、有料老人ホームで提供されているサービスは、終身利用が可能な「介護付き」、入居後に介護が必要になった場合でも退去せずに外部の介護サービスを利用できる「住宅型」、介護は不要で自立した生活を送ることが前提の「健康型」の3つが挙げられます。
サービスの内容だけ一見するとケアハウス(軽費老人ホーム)と有料老人ホームは似ていると感じた方も多いのではないかと思いますが、違いは運営会社、人員体制、費用にあります。
順を追って説明すると、ケアハウス(軽費老人ホーム)は地方自治体や社会福祉法人などが運営しているのに対し、有料老人ホームの場合が医療法人、社会福祉法人、民間事業者などが運営しています。
次に、人員体制については、有料老人ホームの住宅型有料老人ホームと健康型有料老人ホームの場合、人員体制には基準が設けられていません。
現在、ケアハウス(軽費老人ホーム)の場合には、「軽費老人ホームC型」に統一されてきているため、例えば「軽費老人ホームC型(介護型)」と照らし合わると、「特定施設入居者生活介護」で3名の要介護者に1名以上の介護職員もしくは看護職員を配置することが義務付けられていますので、端的に両者を比較した場合にはサービスに違いがあります。
更に費用については、ケアハウス(軽費老人ホーム)に入居する際の一時金は約数十万から数百万円が必要となりますが、有料老人ホームの場合には、「介護付き」が数百万~1億円程度、「住宅型」は数百万~1億円程度、「健康型」だと数百万~数千万円程度が必要となるケースがあり、高級ホテルのようなハイグレードな有料老人ホームを選択すれば高額になることもあるでしょう。