介護サービスの1つに、「デイサービス」というものがあります。日本語では「通所介護」といいますが、その名の通り、要介護の高齢者の方々が、自宅から介護施設に通って受ける日帰りのサービスです。
現代の介護業界において、欠かせないサービスになっている「デイサービス」の詳細な内容について、今回は紹介していきます!
厚生労働省「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、デイサービスを提供している施設は、全国で40,870件となっています。これは、全ての介護施設の中でも最も多い数字となっており、需要の高さが伺えます。
また、デイサービス(通所介護)の基本方針は以下のようになっています。
「通所介護の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。」
引用:厚生労働省「通所介護及び療養通所介護(参考資料)」
デイサービスの目的としては、利用される方が出来る限りご自宅で自立した日常生活が営めるように、身体機能の維持・向上を目指すことが挙げられます。実際に外出し、人と触れ合うことで、孤独感の解消や閉じこもりの防止などにも繋がるとされています。
また、利用者のご家族にとっても、一時的でも介護から解放される時間を作ることができますので、レスパイトケアの観点からも、デイサービスの意義は重要なものとなっているのです。
デイサービスと似た名前で、「デイケア」(通所リハビリテーション)という介護サービスがあります。両者の違いについても学んでいきましょう。
デイサービスは、日常生活における介助を中心としたサービスとなります。利用者のQOL向上を目指し、食事や入浴だけでなく、皆で楽しめるレクリエーションや行事なども実施します。
デイサービスを受けられる施設は、デイサービスセンターや特別養護老人ホームなどの「福祉施設」となります。
デイケアは、医師の指示の元で、理学・作業療法士や言語聴覚士などによるリハビリテーションを受ける介護サービスです。基本的には、利用者の身体機能の回復・維持などを目的として、日常生活への復帰を目指します。
送迎や食事・入浴介助などはオプションのサービスとなります。また、デイサービスと違って、デイケアには医師の常駐が法で定められております。
デイケアを利用できる施設は、病院や介護老人保健施設などの「医療施設」となります。
デイサービスを提供するためには、法で定められた職員の人員基準を満たす必要があります。基準は、施設の規模などによって異なります。以下でまとめてみましたので、ご参照ください。
デイサービスを利用できる方は、65歳以上の要介護認定をお持ちで要介護1~5の方となります。要支援1・2の方に関しては、「介護予防通所介護」という別のサービスの対象となっています。
また、40歳以上~64歳以下の方でも、初期の認知症や、脳血管疾患など老化が原因とおされる疾病(具体的には16種類ある特定疾病)により、「要介護状態」あるいは「要支援状態」と認定された場合に限り、介護サービスを受けることができます。
16種類の特定疾病に関しては、以下をご参照ください。
(※印は平成18年4月に追加、見直しがなされたもの)
参照:厚生労働省ホームページより
尚、小規模通所介護については、2016年4月移行地域密着型に移行したため、お住まいの市町村にあるサービスを利用する必要がありますので、注意が必要です。
それでは、実際にデイサービスを利用するまでの流れや、かかる費用について説明していきます。
デイサービスを利用する際には、介護保険が適用されます。介護保険の対象者は、自己負担額1割で介護サービスの利用が可能です。但し、一定の所得がある場合には、自己負担額は2割(または3割)となります。
サービスにかかる費用は、要介護の度合いや事業所の規模、利用時間、お住いの地域などによっても変わってきますので、事前に必ず各事業所に確認するようにしましょう。また、個別機能訓練や口腔機能向上といった各種サービスは追加料金となります。
以下は、デイサービスを利用した際の一日の流れの一例になります。施設によって、行われているサービスなどに違いはありますので、参考程度にご確認ください。