現在、介護サービスを受けるか検討されている方、仕事としての介護業界に興味がある方、既に介護のお仕事に従事されている方、皆さんはグループホーム(認知症対応型共同生活介護)という介護サービスをご存知ですか? 聞いたことはあるけど、詳しくは知らないという方々も多いのではないでしょうか。本稿では、そんなグループホームについての理解が深まること間違いなし、な情報をお届けしたいと思います。
地方密着型サービスのグループホームは、多くの介護施設の中でも、小規模で認知症ケアを専門に行っている施設です。入居者は最大9名のユニットに分かれ、家事や掃除を職員のサポートを受けながら、自立した生活できるように日々を過ごしています。そんなグループホームに、今のうちから入居を検討している方、「グループホームへの転職を考えてはいるけど、どんなところなのか分からない」といった介護士の方にも、必見の記事となっております! ぜひ、ご一読を。
まずグループホームとは、社会福祉法人や介護援助サービス企業など民間が運営している「介護を必要とする認知症の高齢者がグループホーム職員や他入居者とともに共同生活を送り、日常の自立支援」を目的とした住居施設です。別称として「認知症対応型共同生活介護」と呼ばれ、導入起源は北欧で始まり、日本では2000年度に制定された介護保険法に基づく介護保険制度により、介護サービス利用が開始されました。つまり、比較的新しいサービスと言えますね。その事業所数は、全国で13,346施設にのぼります(厚生労働省「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況」)。
グループホームは、1ユニットの定員が5~9名と定められ、比較的ゆったりとした環境下で、日常と同様な家事を行うことで、認知症の進行を遅らせたり、認知症の行動障害も緩和させる試みを行っている介護福祉施設です。また、グループホームは入居者が住み慣れた快適な環境で、家族の団らんを楽しんで生活ができる場所にする、といったことを強く求められている為、原則として、利用者が居住している市町村以外の施設でのサービスは受けることができません。他の老人ホームや介護施設と比べて、「施設」というよりも「住宅」といった意識の方が近いとされています。
グループホームの概要 |
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・対象者:65歳以上要支援2・要介護1以上 ・入居期間:原則、終身利用可能 ・初期費用:なし~数百万円、数千万円以下 ・利用料月額:約15~30万円 |
基礎知識が身に付いたところで、グループホームは実際にどのようなサービスを行っているのか、解説していきます。
認知症の方をサポートするグループでのケアは、なによりも入居者の方に自分の家にいるようにくつろいでもらうことを大切にしています。そこで、生活のつまづきや認知症の病状の軽減、失いかけている能力を維持または引き出し、入居者本人らしい生活を取り戻していくお手伝いをしています。具体的には、利用者が共同生活を過ごしながら、専門的なケアを受け、食事や入浴などの日常生活のサポートや機能訓練(リハビリ)などのサービスを受けています。
それでは、細かいサービス内容について見ていきましょう。
食事介助・入浴介助・排せつ介助といった基本的な介護支援に加えて、安否確認や緊急時の対応も行っています。
グループホーム内における、調理、掃除、洗濯といった日常生活に沿った活動支援をしています。
四季を体感できるような行事を開催しています。身体機能の維持に繋がるリハビリを伴った体操や認知症に効果があるとされる音楽療法、園芸療法、あるいは手先を動かすものなどのゲーム・趣味を入居者が笑顔で楽しく過ごせるような企画も充実してます。グループホームによっては、バス旅行も行っていますよ。
通院する際に、グループホーム職員が付き添って受診をします。入居者それぞれの症状に適した医療機関を探し、必要に応じてスムーズに受診できるように代弁するといった役割も担います。
入居者の買い物に、送迎も含めて付き添います。一緒にお目当ての品物を探すお手伝いや会計、品物の運搬・設置などを行っています。
入居者の体調の聞き取りを実施し、健康維持のためのアドバイスや睡眠の状況、服薬の状況を把握します。また、入居者の生活機能の維持、及び向上を目指す取り組みも行っています。
厚生省が提供している、「グループホームの多機能化に向けた手引き」によると、「グループホームが積み上げてきた認知症ケアの強みを活かして、地域に向けた情報発信や在宅介護を支える様々な活動が広がりはじめています。」とあります。
認知症ケアにおいて、地域とのつながりを通じて社会的な価値を作り出すことは、入居者の暮らしを豊かにするとされております。その為に、地域全体で認知症を患っている方をサポートする取り組みが、全国で広がっているのです。
高齢化社会に伴い、グループホームでも看取りサービスのニーズが高まってきています。実際に、対応を始めたグループホームも増加の傾向にあります。2009年の介護保険法改正により、看取りを行うグループホームには「看取り介護加算」として介護報酬が受け取れることになり、着実に看取りサービスの体制は整いつつある、と言えましょう。とはいえ、看取りの対応に不安を覚えているグループホームの多くは、提携している医療施設や他介護施設へと移ってもらう方針をとっています。このように、入居者各々の日々の生活に沿って、一人で行動するのに不安を感じる入居者のサポートを行っているのがグループホームなのです。
グループホームの入居条件は下記の5つとなっています。
※認知症であっても、その原因の疾患が急性の状態である場合には入居ができません。
認知症というのは、患った本人にとっても家族にとっても、デリケートな出来事です。それ故に、グループホームへの入居を考えたとしても、実際に話を切り出すことが難しいかと思います。しかしながら、家庭内で認知症を患った高齢者のケアが難しいと不安を覚えたのなら、早めにグループホームへの入居を考えてみましょう。認知症を患った本人に施設を選んでもらい、環境の変化に対応できる状態で検討することが大切です。
また、介護をしている家族にとっても、介護疲れが原因で介護うつになってしまい、心身共にボロボロになってしまうようなケースが考えられます。そうならない為には、出来る限り迅速な判断を心がけていきましょう。
グループホームの入居希望の申し込みには、“直接”各施設に問い合わせすることが原則です。下記に手続きの流れを記してありますので、ご確認ください。
1電話などで資料請求や相談の連絡 |
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介護施設の検索サイトなど利用し、希望施設に直接問い合わせをした上で、入居相談やパンフレットの取り寄せなどを行いましょう。 |
2見学 |
基本的にはどこの施設でも、まずは見学の日程を組むことになります。実際に施設を見学し、どのようなサービスを行っているのかといったことや、1日の流れなどの説明も行われます。そのホームで生活していくことを念頭に置いて、入居後の生活をイメージしながら見学しましょう。また、複数のグループホームを希望している場合には、各施設に備わっている設備や、サービスに対する考え方などを把握し、入居者にとって最良の選択をすることが大切です。一番近い施設だけではなく、負担のない程度に、できるだけ足を伸ばして見学に行くこともして下さい。それぞれのメリット・デメリットが見えてきますよ。 |
3体験入居 |
空室があるグループホームでは、体験入居の対応をしてくれる施設もあります。実際に体験しないと見えてこないことや、実感できないことも多くあるはずです。機会があるのなら、出来るだけ体験入居をしておきましょう。 |
4入居の申込 |
事前に得た情報をしっかりと整理し、家族全員で話し合ってから希望のグループホームへ入居の申込を行いましょう。 入居申込書を提出し、施設の職員が訪問または来訪によって面談が行われます。その際に、利用者本人の望まれる生活の確認や、心身の状態を把握されます。 |
5必要書類提出 |
住民票や健康診断書、認知症の診断書、さらには所得証明書といった書類をすべて提出します。 |
6入居判定 |
面談した職員が、実際の利用者の様子や必要書類とともに「自立度」や「要介護度」「資産や収入の額」などを総合的に考慮し、入居の判定を行います。 |
7入居契約 |
入居可能となった場合に、訪問または来訪し入居契約を結びます。入居するにあたっての料金や緊急時の体制、退去要件などを細かく確認しましょう。 |
8引越し・入居 |
入居者の方は安心して生活に馴染めるよう、なるべく使い慣れた物を持ち込むようにて入居しましょう。 |
入居までの流れはわかりましたが、グループホームにすぐに入所することは可能なのでしょうか。
グループホームの施設は全国で13,346施設(2017年時点)も設けられ、一見すると入所は簡単そうに思えます。ここで注目して頂きたいのが、「地域密着型サービスのために住んでいる地域の方しか入居ができない」うえ「1つの施設の定員は原則18人となっている小規模施設」という2点の問題についてです。このため、定員に空きがあることは少なく、入居難易度を高くしているのです。
グループホームの定員は、1施設につき2ユニットとなっています。ユニットと呼ばれる単位は「1ユニット=5~9名」、したがって最大でも10~18名がグループホームの原則の定員数です。この小規模の理由は、認知症の高齢者の方が心を落ち着かせて穏やかに暮らしてもらうことを重要視している為です。認知症の方はどうしても新しい人やものを認識することは難しく、老人ホーム等のように100名近くも入居者や介護士たちが忙しなく動いている環境だと、認知症を悪化させトラブルも引き起こしてしまう可能性があるのです。しかし9名や18名程度であれば、長く生活を共にするうちに入居している人の認識がしやすく人間関係も築きやすいとされています。
また、認知症を患っている方にとって、今まで暮らしていた家から離れて生活することは大変なストレスとなります。できるだけ家庭に近い環境の、住み慣れた地域社会の中で新しい生活にいち早く溶け込めるように、地域それぞれの縛りが存在しているのです。以上のことから、「ここが良い!」と気に入った施設でも、すぐに入居できるとは限りません。地域によって差はあるにせよ、繰り返しになりますが、定員に空きがあることは少なく、入居難易度は比較的高いというのが現状です。入居待機期間としては、数ヵ月~数年程度かかる可能性があります。できるだけ入居までに時間をかけたくない場合は、なるべく多くの施設をピックアップしておき、その中から選択するように心掛けましょう。
グループホームは、基本的には終身利用が可能な施設であり、看取り体制が整っている施設が多いです。しかし、グループホームの介護・医療体制の充実度合いによって、入居期間の安定具合は変わってきます。なぜなら、グループホームの人員体制に看護師の配置の義務はありません。したがって、認知症の進行具合に応じて、常時見守りが必要になった場合や、寝たきりなどの重度の介護で医療ケアを必要とする際に、24時間の看護体制が整っていない施設では退去せざるを得ない場合があります。
加えて、グループホームでは共同生活をしていくことが入居条件の為、他の入居者や職員への暴力行為などが発覚し、共同生活に適さない症状を示してしまった場合にも、退居させられてしまう可能性が生じます。入居が決まったからもう安心、と思うのではなく、入居者の将来を踏まえた上で、病状の進行度合いに応じた体制や入居・退去条件を確認しておくことが重要となります。
グループホームの入所にかかる費用についてです。まずは介護保険を利用できることが特徴で、初期費用として入居一時金や保証金が必要となります。さらに入居後も月々に介護サービス費、食費や居住費を支払うことになり、月額費用は約10~30万円程度が目安となっています。
保証金は、一般的な賃貸物件における敷金にあたり、入居一時金は施設の使用権利にあたります。公的な基準がないため、各グループホームでの差が激しく、数十万~数千万程度となります。おおよそ100万円代が一般的とされていますね。
介護サービス費は、要介護度が高ければ高いほど、それだけ介護サービスを受ける必要があるため、費用は高くなります。その点、グループホームは介護保険の地域密着型サービスである為、介護サービスにおける費用には介護保険が適用され、実際の自己負担は1~2割程度となります。
居住費は居室の大きさや設備、地域によって大きく異なります。
食事代や理美容費や光熱費、おむつ代などが含まれます。これらの費用は、土地の物価や食事内容、介護体制などのグループホームによって変動します。都心部では月額15万円~30万円程度、郊外では月額10万円~15万円程度と大きく開きがあるので、各施設への確認が必要です。
様々な事情から生活保護を受けている高齢者の方でも、認知症を患ってしまい、グループホームへの入居を検討されている方もいらっしゃるでしょう。グループホームの中には、生活保護法による指定を受けた施設であれば、入居は可能です。
注意点 |
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・グループホームを探す際には、生活保護法の“指定”のグループホームか確認する。 ・生活保護対応のグループホームでも、全体が対象なのか一部の居室だけなのかは施設によって異なります。 ・グループホームの所在地に住民票があるか確認しましょう。入居したい生活保護対応のグループホームが居住地域と違う場合、住民票を移して、その自治体に生活保護申請をする必要があります。 |
グループホームは、一定の基準を満たした設備がないと設立できません。代表的な設備基準は下記のようなものになっています。
グループホームの設備環境 | |
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立地 |
・入居者の家族や地域住民と触れ合え交流できる地域であること ・病院または入所型施設の敷地外にあること |
定員 |
・1ユニット(5~9名)を2ユニットまでであること ※原則、最少4名・最大18名 |
居室 |
・1居室に基本1名の個室 ・床面積、収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上であること |
共有設備 |
・居室に近接して、入居同士の交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること ・台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とするユニット毎に区分して配置すること |
グループホームでは、入居者一人ひとりに個室が設けられている為、個人のプライベートな空間を確保できます。また、今まで使用していた家具や生活用品等を持ち込むことができるので、住み慣れた自宅に近い雰囲気でくつろげる環境となっています。また洋室ばかりではなく、和室の個室で布団での寝起きができるグループホームもあります。
共有スペースとしては、食堂、リビング、ダイニングルーム、浴室、トイレ・洗面、リハビリやレクリエーションルーム、健康チェックルーム、洗濯室などが備わっています。また、入居者の自立のサポートや認知症の症状を緩和するために、浴室に機械浴などの設備を設けなかったり、共有スペースの各所にカレンダーや時計を置き、「今がいつなのか」を分かるようにして、精神的な安心に繋げていくなど、設備においても認知症ケアの観点から様々な工夫が成されています。
グループホームでの人員配置基準は、以下の表をご参照ください。
グループホームの人員配置基準 | |
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職種 | 人数 |
代表・開設者 |
・介護業務従事経験者または介護事業経営経験者 ・厚生労働大臣が定める研修を修了している者 |
管理者 |
1ユニットつき常勤1名 ・3年以上の認知症介護経験と知識がある者、 もしくは保健医療福祉サービス事業の経営経験がある者 ・厚生労働大臣が定める研修を修了している者 ※ケアプラン作成担当者と兼務可 |
ケアプラン作成担当者(ケアマネージャー) |
1ユニットにつき常勤1名以上 ・厚生労働大臣が定める研修を修了している者 ※兼務可・非常勤可 |
介護従事者 |
1ユニットにつき入居者:介護職員=3:1 夜間 (午後6時~10時)及び深夜 (午後10時~午前6時) の時間帯には、入居者の人数に関わらず 宿直勤務ではない常勤1名以上配置しなければならない。 |
上表にある通り、グループホームは介護体制に関しての人員配置は充実しているのですが、医療・看護体制においては看護師や医師の配置義務がつけられていません。看護師がいないグループホームも多く、日常的な健康管理を介護職員が行う場合があります。その際に、要介護入居者3名に対して1名以上の介護士を配置するという点は同じため、リハビリや付き添い等の個別での対応が難しいとったところも少なくありません。また、継続的な医療ケアが必要な方には看護師が24時間体制でケアすることが少ないため、不安を覚える方もいらっしゃることでしょう。
但し、医療施設との連携をとっている施設が多く、緊急時の連絡先として協力医療機関と提携していたり、病気になった際には各自のかかりつけ医が往診なども行っています。また、医療ケアのニーズの高まりに応じて、24時間対応の看護体制や、医師の頻繁の訪問などを実施している施設もあるようです。グループホームにおける医療ケアの充実度は、施設によって差があるというのが現状になります。
際にグループホームに入居するにあたり、重要なチェックポイントがあります。是非、1つ1つ確認してみて下さい。
終身利用を検討されている方は、無理のない予算計画を立てた上で、継続して入居できる費用なのかを考慮しましょう。
生活をサポートをする職員の人数は足りているのか。認知症は、目を離してしまうと大事故に繋がる可能性もあります。可能な限り、人員配置基準よりも余裕のある体制を整えている施設が理想的です。
あまり関係ないと思わずに、実際に支援をする職員のこともよく知っておくことが大切です。教育や研修の頻度・内容も充実しているというのは、少しでも質の高いサービスが受けられるかどうかの、1つの目安になります。
既に説明した通り、医療体制は、各グループホームによって大きく差が出てきてしまうところです。特に、内臓疾患や24時間での医療行為が必要になる可能性が高い場合には、入居希望を検討している施設に、どれだけの医療体制が整っているのか、しっかり確認する必要があります。
このチェック項目が、入居を検討する際に一番の目安となるでしょう。質の高いサービスを受けている場合は、入居者の認知症の状態も安定し、表情も穏やかになります。
入居の申込のため必要の書類を提出する際、忘れがちなのが「住民票」の提出です。グループホームの分類は、介護保険適応内の「地域密着型サービス」となります。このサービスは、要介護度が重くなっても、今までの生活圏内で、比較的規模の小さな施設などで生活ができるように、地域の利用者にきめ細やかなサービスを提供するという内容のものです。従って、“グループホームを利用できるのは、その地域に住んでいる方のみ”となっています。基本的なことではありますが、入居の際に希望のグループホームと同じ地域に住んでいることを証明するため、必ず住民票が必要なのでご注意ください。
一般的な有料老人ホームでは、ホテルのような豪華な設備が整っていることもあり、月額15~40万ほどかかってしまうのに対して、グループホームは介護保険を利用することができます。実際の負担額は月額10~30万ほどになるので、大変魅力的な価格となっています。
グループホームは「地域密着型サービス」の1つのため、入居対象がホーム同じ地域の住民票を持っている高齢者です。従って、入居にあたって道も何もかも分からない土地へ引っ越すわけではなく、入居者が長年住んできた環境から離れずに、暮らしていくことになります。環境変化によるストレスを受けやすい認知症の方も安心でき、同じ地域に住んでいた方と共同生活をするため、入居者同士のコミュニケーションも図りやすいのです。。
認知症の傾向として、人の入り替わりが激しい大人数の施設での暮らしでは、利用者が混乱してしまい、認知症の悪化に繋がってしまいます。その点、グループホームは認知症の方のことを考えた専門施設です。1つのユニットあたり、5~9名で共同生活を送り、ゆっくりと顔なじみを作っていきます。介護士もユニットごとに担当が決まっており、顔と名前が覚えやすく落ち着いた環境で過ごすことができるのです。また、共同生活をおくる一方で、部屋は個室か準個室なので、個人のプライベートな空間もしっかりと確保できますよ。
認知症は、他の疾患・症状よりも突然突拍子もない行動に出てしまうことがあります。そんな時にも冷静に対処できるような、認知症の介護に特化し専門的な知識を持つ介護士が、家族に代わって常駐し見守ります。また、グループホームの開設には、介護保険法上の事業者指定を受けなければなりません。そのため、人員配置や設備の基準を満たした施設だけが運営できるので安心です。実は、グループホームだけでなく、認知症の高齢者を受け入れ可能としている施設は多いのですが、職員全員が認知症の知識と経験を持っているとは限りませんので、注意するようにしましょう。
グループホームの歴史は、1980年代のスウェーデンにおいて、認知症緩和ケアの大家であるバルブロ・ベック=フリース(Barbro Beck-Friis)博士が、「これまでの寝かせきりではなく、民家を借りて認知症高齢者と共同生活を始めた」ことが発祥とされております。日本のグループホームも、これに倣って導入されました。
認知症の進行度合いは、もちろん個人個人の差はあるのですが、軽い症状であれば、日常生活を送るだけなら大きな問題はありません。グループホームでは、入居者が持っている能力を活かして、洗濯や料理などの日常的な行為を職員のサポートを受けながら行うことにより、認知症の進行を遅らせて、あるいは維持して、入居者が笑顔で過ごせることを目的としたサービス提供に、積極的に取り組んでいるのです。
認知症の方は、ご自身の症状を自覚し不安を感じている方が多く、一つの行動に関しても自信を失っていることがあります。そこでグループホームでは、レクリエーションを通じた気軽な遊びの感覚で、否定的な感情を和らげて、自信と張り合いを取り戻す効果を狙うための、様々な催しを実施しています。例えば、心身の機能の維持・回復の為に、体操や手芸・工作を行うといったものが挙げられます。
また、認知症だと知られたくないあまり、地域社会との交流を絶ってしまいがちですが、そのように失われがちな人間関係の回復に繋げるべく、歌や音楽活動、動植物の世話などを行っています。
グループホームのデメリットは、以下のまとめを参考にしてみて下さい。