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詳しく知りたい!生活相談員の年収・給料の実態を徹底調査!

「生活相談員」は、生活支援員もしくはソーシャルワーカーとも呼ばれており、障がいを持った方などの生活支援を担う仕事です。介護職に携わっている方なら、何かと接点のある職種の方々ではないでしょうか。
また、「生活相談員」は、障害者支援施設、地域活動支援センター、高齢者の介護施設、就労移行支援事業所、就労継続支援事業などで活躍の場を広げていますが、デイサービスセンターや在宅介護支援センターが増えたことにより、「生活相談員」の需要が益々高まっている注目の職業とも言えます。こうした背景のもと、率直に「生活相談員」のお給料がどのくらいもらえる仕事なのか気になっている方も多いはず。
そこで、今回は「生活相談員」の給料の実態について取り上げていきます。

ズバリ「生活相談員」の年収相場はどのくらい?

冒頭から核心に迫りますが、厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、「生活相談員」の平均給与額は月収にして321,080円(賞与などの手当てを含む)であることを明らかにしていますので、ここから年収を推定すると約3,852,960万円(321,080円×12カ月)が平均になることが分かります。
ちなみに、平成29年は「生活相談員」の平均給与額は312,390円(月収)でしたので、平成30年の321,080円(月収)と比較してみると、プラス8,690円ほど賃上げされていたことが分かりました。
実は「生活相談員」に限らず、いま介護の業界は、介護職員の人手不足が深刻化する中、業界全体で給与・待遇面の改善で職員の定着率を高めようとしている動きや、厚生労働省が介護職員の処遇を改善するための制度「介護職員処遇改善加算」などもあって、全体的に賃上げの傾向にあるのです。

職種別に見た「生活相談員」の給与は?

次に、介護に関連する職種別で、「生活相談員」の給料を比べてみましょう。厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」を調べてみると、「介護職員」「看護職員」「生活相談員・支援相談員」「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員」「介護支援専門員」「事務職員」「調理員」「管理栄養士・栄養士」の8つの職種を介護従事者として分類していますが、この中で最も月給が高い職業は平均給与額372,070円(月収)の「看護職員」となり、「生活相談員・支援相談員」の平均給与額321,080円(月収)は4番目であることが分かりました。詳しくは、下記の介護従事者等の平均給与額の状況をご覧ください。
ここで注目したいのは、「看護職員」と「生活相談員・支援相談員」の月収の差となる50,990円に関心を集めそうですが、それよりも対前年比の賃上げ幅が「看護職員」の7,190円よりも「生活相談員・支援相談員」が8,690円で上回っている点にあります。介護と看護では職種に大きな違いもあるので、賃金に差が出るのは自然です。
それよりも、他の職業と比較して「生活相談員・支援相談員」の賃上げ幅が大きいので、今後の更なる需要の拡大で賃金水準にも期待が持てそうな職業であると考えられます。

介護従事者等の職種別平均給与

[介護従事者等の平均給与額の状況(月給・常勤の者、職種別)]

①看護職員
372,070円(平成30年9月/常勤)
364,880円(平成29年9月/常勤)
7,190円(平成29年と平成30年の賃上げ幅)
②介護支援専門員
350,320円(平成30年9月/常勤)
342,770円(平成29年9月/常勤)
7,550円(平成29年と平成30年の賃上げ幅)
③理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員
344,110円(平成30年9月/常勤)
334,500円(平成29年9月/常勤)
9,610円(平成29年と平成30年の賃上げ幅)
④生活相談員・支援相談員
321,080円(平成30年9月/常勤)
312,390円(平成29年9月/常勤)
8,690円(平成29年と平成30年の賃上げ幅)
⑤管理栄養士・栄養士
309,280円(平成30年9月/常勤)
301,300円(平成29年9月/常勤)
7,980円(平成29年と平成30年の賃上げ幅)
⑥事務職員
307,170円(平成30年9月/常勤)
300,120円(平成29年9月/常勤)
7,050円(平成29年と平成30年の賃上げ幅)
⑦介護職員
300,970円(平成30年9月/常勤)
290,120円(平成29年9月/常勤)
10,850円(平成29年と平成30年の賃上げ幅)
⑧調理員
254,450円(平成30年9月/常勤)
249,450円(平成29年9月/常勤)
5,000円(平成29年と平成30年の賃上げ幅)

注1)平成29年と平成30年ともに在籍している者の平均給与額を比較している。
注2)平均給与額は基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)
注3)平均給与額は10円未満を四捨五入している。
出典:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」

「生活相談員」が活躍する場となる業種別年収

更に、「生活相談員」の活躍の場となる「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」や「通所介護事業所(デイサービスセンター)」の各サービス事業者の賃金も見比べてみましょう。
厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、施設のサービス種類別や職位別にも賃金に関する調査をしています。
「生活相談員」に該当するサービス事業者の職員の給与額を詳しく見ていくと、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」の常勤の月収325,360円(非管理職/推定年収3,904,320円)、「通所介護事業所(デイサービスセンター)」の常勤の月収258,200円(非管理職/推定年収3,098,400円)といった結果になっており、いずれも平成29年度と比べて賃金は微増傾向にありますが、サービス事業者で比較すると「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」のほうが約80万円も年収が高いことになります。
なお、ここでは常勤の非管理職をモデルとして年収を比較してみましたが、下記の表ではそれぞれの事業者や職位別に推定年収を記載しておきました。

第73表 介護職員の平均給与額等(月給・常勤の者)、サービス種類別、職位別、加算(I)~(V)を取得している事業所
■介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・400,570円(管理職/推定年収4,806,840円)
・325,360円(非管理職/推定年収3,904,320円)
■通所介護事業所(デイサービスセンター)
・310,810円(管理職/推定年収3,729,720円)
・258,200円(非管理職/推定年収3,098,400円)
第74表 介護職員の平均給与額等(月給・非常勤の者)、サービス種類別、職位別、加算(I)~(V)を取得している事業所)
■介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・該当なし(管理職/推定年収は該当なし)
・233,490円(非管理職/推定年収2,801,880円)
■通所介護事業所(デイサービスセンター)
・該当なし(管理職/推定年収は該当なし)
・200,670円(非管理職/推定年収2,408,040円) 

出典:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」

「生活相談員」はなにをする仕事?

ここまでは「生活相談員」の賃金について紹介してきましたが、次は「生活相談員」の仕事内容について、もう少し詳しく説明していきましょう。
介護の業界において、相談業務に関わる職種は、1963年に制定された法律「老人福祉法」において生活指導員としての役割が与えられた後、2000年の「介護保険制度」が施行されてから「生活相談員」という名称が誕生しました。
現在では、「生活相談員」に求められる役割や活動も変化していき、高齢者の自立を支援するとともに、生活における様々な問題を解決するための相談役を目指し、介護や医療の連携や取りまとめ役として活動することも重要で、その業務の特性からフレキシブルな対応が求められるようになりました。
以下、「生活相談員」の具体的な仕事内容をまとめましたので参考にしてください。

「生活相談員」の具体的な仕事内容
・ケアマネジャーとの連絡業務(窓口としての役割)
・利用者の施設の入退所に関する手続き(利用者面接やアセスメント)
・利用者のサービスの利用開始や中止に関する業務
・利用者および家族に対する相談援助
・ケアマネジャー、地域、他機関との連絡・調整業務
・施設内における連絡・調整業務
・介護スタッフのサポート
・苦情などの対応・窓口業務
・居宅サービス(通所、短期入所など)の個別援助計画の作成業務
・ケアプラン作成の援助業務
・地域との連携や調整業務
・苦情に関する窓口調整業務

ケアマネジャーと「生活相談員」の違いは?

ケアマネジャーは、介護者に対して、在宅介護や施設利用における介護サービスの内容や料金などについて説明し、介護者の要望と提供するサービスがしっかりと合致するようケアプランを作成します。一方、「生活相談員」は、デイサービスセンターや特別養護老人ホームなどの介護施設で、入所を希望している方やその家族などの相談に乗りながら、入所希望者の生活状況の把握やケアプランの見直しなど、ケアマネジャーとも調整しながら入所希望者の受け入れ準備や手続きを進めていきます。
このように、ケアマネジャーと「生活相談員」の仕事や役割に違いはありますが、施設によっては「生活相談員」が介護業務やケアマネジャーを兼務(生活相談員がケアマネジャーの資格を所有)しているようなケースもあるのが実情です。

「生活相談員」になるにはどうすればいいのか?

最初に「生活相談員」の資格について説明しますが、「生活相談員」とは職種となりますので、「生活相談員」といった名称の資格試験がある訳ではありません。
別の言い方をすると、国が定めている要件や一定の能力が認められた場合に「生活相談員」として活躍することができます。
以下に資格要件を記載しておきますので参考にしてください。

国が定める生活相談員の資格要件
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・社会福祉主事任用資格
-大学等(短期大学を含む)において社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業した者
-全社協中央福祉学院社会福祉主事資格認定通信課程(通信1年)
日本社会事業大学通信教育科(通信1年)
都道府県が認める生活相談員の資格要件・経験
・ケアマネジャー
・介護福祉士(経験年数に指定がある場合あり)
・特別養護老人ホームなどで、介護の提供に係わる計画の作成に関し、1年以上の実務経験がある人
・老人福祉施設の施設長を1年以上経験した人
※但し、都道府県により要件が異なります。

「生活相談員」は無資格でもなれる?

「生活相談員」になるための要件は前述の通りですが、自治体によっては資格要件を満たしていなくても「生活相談員」として認める場合があり、必ずしも無資格では「生活相談員」になれないといったことでもありません。
例えば、社会福祉施設等で2年以上介護又は相談業務に従事した者(青森県)や、社会福祉施設等で3年以上勤務し又は勤務したことのある者(福岡県)、介護保険施設又は通所系サービス事業所において、直接処遇職員で常勤2年以上・勤務日数360日以上の介護等の業務に従事した者(神奈川県)などが例として挙げられます。

まとめ
「生活相談員」は、他の介護職と比べて賃上げ幅も大きく、事業者や介護職員、利用者及び家族をつなぐ「架け橋」として重要な役割を担う仕事です。「生活相談員」を目指されている方は、自治体の資格要件をしっかりと確認するなどして、要件を満たすための必要な資格の取得や経験を積んでいきましょう。