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知っているようで知らない?社会福祉士について学ぼう!

日々の生活の中で困りごとがあったり、初めて老人ホームに預けることになったとき、だれに相談すれば良いか困った経験はないでしょうか。そのような悩みに応えるのが「社会福祉士」の仕事になります。ソーャルワーカーと呼ばれることもありますが、実際にどんなことをしているのか知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は社会福祉士の仕事内容と、活躍できる職場、資格取得方法についてご紹介していきます。

社会福祉士ってなに?

社会福祉士とは、福祉や医療に関する相談援助に必要な専門知識・スキルがあることを証明する国家資格として1987年に誕生しました。対象となる人は、視覚・聴覚障害・呼吸器機能障害のある人、生活困窮者、ひとり親の家庭、心身や環境上の理由によって日常生活を送るのに支障がある人です。福祉サービスを利用している人の相談にのり、「その人らしい生活を送るにはどうしたらよいか」を考え、助言・指導・援助を行います。その為、相談者がどのような援助サービスをどこからどのように受けられるのかを考え、場合によっては介護福祉士やケアマネジャー、医療機関などの専門職に繋げる調整も担います。
社会福祉士は、社会福祉分野のエキスパートといえます。業務によっては家庭訪問などを行い、生活介助に積極的に携わることで、相談者の日常に深く接し、その人にとってどのような支援が必要なのか見極めていくことも必要です。超高齢化社会となった現代の日本では、社会福祉士の役割はより重要になってくると注目されています。

社会福祉士の仕事はどんなことするの?

社会福祉士の仕事は多岐に渡ります。標準業務としては、ケースワークという個別指導計画などの書類作成を通して、一人一人にあったサポートの仕方や行動計画などを考えて、生活の質を高めていきます。また利用者との信頼関係を築き、相談業務を進めるのも仕事の1つです。相談者の支援を行う際には、その人にとって最良のサポートができるように社会福祉士としての責任を胸に、いつも誠実な対応が望まれています。また働く場所によっても仕事内容が変わるのが特徴です。福祉事務所や児童相談所、身体障がい者や知的障がい者などの福祉関連事務所など社会福祉六法で定められている公的機関で働く場合は公務員として採用されることが原則決まっています。また需要の多い特別養護老人ホームや障がい者の福祉施設で働く場合には、相談援助業務に加え、他の仕事を兼務することが多いこともあります。特別養護老人ホームに設置されている在宅介護支援センターは在宅で要介護の高齢者を抱える家族などの相談にのり、福祉サービスが受けられるように医療・保健機関とも連携を図っていきます。その他にも、社会福祉士には以下のような役割もあります。

【成年後見人】
認知症や知的障がい、精神障害などを理由に不動産や貯金などの財産管理や遺産分与、生活していく上で必要となる公的サービスや施設入所に関する契約を正しく行うことが難しい場合に、財産の保護をするのが「成年後見人」です。自己判断が欠如した状態の場合、悪徳商法や振り込め詐欺などの犯罪に巻き込まれることを未然に防ぐために、本人や裁判所が指名をした成年後見人が本人の代わりに財産管理や各種手続きを代行します。
【婦人相談所】
様々な問題を抱え、平穏な生活を送ることが難しい女性のために各都道府県に1ヶ所設置されている相談所です。以前は、売春をおこなう可能性のある女子を保護して更生させることを目的とした施設でしたが、現在では配偶者や交際相手などからの暴力、風俗関係の仕事の悩み、離婚・男女問題・デートDVなどの悩み、家庭の不和やいざこざ・人間関係での悩みなど様々な悩みに関する相談支援業務を行います。
【倫理綱領とは】
社会福祉士として働く人が必ず目にする「倫理綱領」というものがあります。これは「倫理に対する決めごとを明文化したもの」になります。
様々な業種で作られていますが、社会福祉士の場合は以下のような冒頭から始まります。
われわれ社会福祉士は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、人権と社会正義の原理に蘇則り、サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、社会福祉の水推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する」

また倫理綱領では「価値と原則」「倫理基準」が定められており、以下のような内容にになっています。

【人間の尊厳】
社会福祉士として働く人が必ず目にする「倫理綱領」というものがあります。これは「倫理に対する決めごとを明文化したもの」になります。
様々な業種で作られていますが、社会福祉士の場合は以下のような冒頭から始まります。
【社会正義】
差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現を目指す。
【貢献】
社会福祉士は、本倫理綱領に対して常に誠実である。
【専門的力量】
社会福祉士は、専門的力量を発揮し、その専門性を高める。

一見わかりにくいように感じますが、じっくり読んでいけば何のために社会福祉士が存在し、何をしなければいけないのか、何を目指すのかが見えてくるようになります。重要な内容ですので、読み込むことが求められます。

社会福祉士はどんなところで働いているの?

上記でもご紹介しましたが、社会福祉士は働く場所によって役割が異なります。

<高齢者施設>
主な施設:特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービスセンター、地域包括センターなど対象者:高齢者、施設で働く高齢者、施設や機関を利用する高齢者、およびその家族職種:ソーシャルワーカー、生活相談員など割:入居者の生活に関わる相談に対応したり、家族との連携調整などを行います。入居や施設生活に関する相談だけでなく、施設介護から在宅介護へ移行するための連レクや調整、アドバイスなども行うことがあります。
<児童施設>
主な施設:児童相談所、児童養護施設、障害児入所施設、母子生活支援施設、母子福祉センター、児童自立支援施設など
対象者:精神的、肉体的にハンディキャップのある子ども、虐待や生活上の理由などで保護者の養育を受けられない子ども、非行・不良行為に関わる子供、およびその家族
職種:児童福祉士、児童相談員、母子相談員、少年指導員、児童自立支援専門員など
役割:18歳未満の子供を対象に非行や虐待などの問題と向き合ったり、子育てに関する悩みの相談にのったりします。教育機関では、「スクールソーシャルワーカー」として児童や家族の相談にものります。
<障がい者施設>
主な施設:障がい者支援施設など
対象者:身体障がい者、知的障がい者、およびその家族など
職種:生活相談員(指導員)、作業動員など
役割:利用者の相談援助や家族との連絡調整、施設の入退所手続きといった業務がメインです。施設利用者の自立支援や退所後の生活援助を行う場合もあります。
<福祉事務所など>
主な施設:都道府県の福祉事務所、社会福祉協議会など
対象者:母子家庭、障がい者、高齢者、失業者、貧困者、身体・知的障がい者、地域社会における個人・家族・各種の住民団体や組織など
職種:現業員(ケースワーカー)、査察指導員(スーパーバイザー)、専門職員、コミュニティワーカー、コーディネーターなど
役割:生活保護申請者に対して面接を行い受給資格があるのかを調査したり、生活指導なども行います。

介護福祉士との違いは?

社会福祉士の仕事は、介護福祉士と混在されがちです。しかしどちらも独立したし職種であり、それぞれ資格取得が必要になります。
介護福祉士の主な業務内容は以下になります。

①身体介護
日常生活で利用者がどの動作を困難に感じているかを把握し、介護サポートを行います。例えば、ベッドから車いすへの移乗や食事や入浴、排泄などの日常生活のサポートや洗顔、歯磨きなどの衛生管理も行います。
②家事などの生活援助
利用者とそのご家族が希望している生活援助の方法を把握します。買い物や食事の調理・配膳、下膳、洗濯や掃除などの整理整頓も行います。
③メンタルケア
利用者の話し相手になったり、レクリエーションを催したり、近隣住民や他のサービス利用者との交流を促したりしながら、利用者のメンタルケアも行います。
④利用者や家族への助言
利用者とそのご家族から介護に関する相談を受けた時にアドバイスなどを行います。また介護食の調理方法や杖などの介護用具の相談をされる場合もあります。
⑤社会活動
家族や近隣住民、地域のサークル活動などの社会活動の情報を提供し、利用者が孤立しないように出会いや生きがいを得るきっかけ作りを行ないます。

社会福祉士の資格とは?

社会福祉士は国家資格です。試験に合格しなければ、資格を得ることはできません。また独学で受験資格を得られない為、受験を希望する場合は、福祉系大学、短大、養護施設などに通い所定の課程を修了する必要があります。
高校卒業後に福祉系大学や短大に進学した場合、その専攻で社会福祉士の指定科目を履修したかどうかで異なります。国家試験をすぐに受けることができるのは、4年制の福祉大学で指定科目を履修した場合のみです。それ以外は相談援助の実務経験だったり、短期養成施設(6カ月以上)に進むことが必要となります。一般の大学などを卒業した場合は、就業年限に応じて必要とされる相談援助の実務経験を積んだのち、必ず一般養成施設等で1年以上の勉強をしないといけません。
また社会人から社会福祉士になる場合も受験資格が異なります。相談援助の実務経験が4年以上ある人は、一般養成施設で1年以上勉強すれば受験資格が得られます。また児童福祉司、身体障害者福祉司、査察指導員、知的障がい者福祉司、老人福祉指導主事は実務経験が4年以上あれば短期養成施設で6カ月以上勉強をすれば受験資格を得ることが可能です。
近年、社会福祉士と介護福祉士どちらの資格も取得する人が増加しています。社会福祉士の幅広い専門知識と介護福祉士の知識や技術をもとに取り入れていけば、より多くの人々にサービスを提供できるようになります。

社会福祉士のメリットや魅力って?

社会福祉士は福祉の幅広い分野で活躍ができる希少な職種です。資格取得に関しても難易度が高い為、自信に繋がります。その分知識も豊富に持たなければいけないですし、経験値も沢山踏まないといけません。しかし、社会福祉士のメリットや魅力は沢山あります。

◎コミュニケーションスキルが身に付く

カウンセリングの知識やコミュニケーション方法を理解し、様々な案件の相談業務を重ねることで、問題解決力や相手の立場に立って物事を考える力が身に付きます。

◎喜びを共有できる

自分が他人に何かを提供し、それにより相手が何かを得た時、人は大きな喜びを感じます。社会福祉士は相談者と一緒に悩みを解決していき、相談者が社会に馴染み自立していく姿や、表情の暗かった人が何回か相談に応じることで笑顔を取り戻した時などに、相談者と共に喜びを共有することができます。

◎達成感を得られる

相談者の悩みは個々に異なります。相談内容によっては、長期の継続した関りが必要になるケースもあります。しかし、相談者が希望を見出し、よりよい生き方にたどり着いた時は達成感を感じることができるようになります。

◎感謝される

社会福祉士の仕事は高齢者や障がい者など、社会的弱者に関わることが多い為、一番困っている時に手を差し伸べる存在となります。その為感謝されることが多い仕事といえます。

社会福祉士の活躍の場はたくさんある!

社会福祉士は幅広い分野で活躍ができる職種です。特別養護老人ホーム、やデイサービス等の高齢者施設から、児童養護施設や母子生活支援施設等の児童施設まで多岐に渡り、役割もソーシャルワーカーから生活相談員、児童福祉士まで幅広く担います。
医療の現場では、総合病院などの大きな病院で医療保険の説明をしたり、不安な患者さんの為に少しでも話を聞いて不安を和らげると共に療養後の経過など様々なマネジメントを行います。福祉の現場では、各地域の社会福祉協議会において相談業務に携わります。地域の様々な相談に応じて、暮らしやすい町作りのお手伝いや市民の声に耳を傾けてより良い福祉サービスの提供ができるように、各施設や自治体などと連携を取っていく役割を担います。このように、社会福祉士は様々な施設で人のためになる仕事を行なうことができます。

社会福祉士と介護福祉士の受験資格と試験内容とは?

社会福祉士も介護福祉士も立派な国家資格です。また独学では受験できず、受験資格にも制限があります。

【社会福祉士の受験資格】
①福祉系4年制大学で所定の課程を修了する
②福祉系の短大で所定の課程を修了し、実務を1~2年経験する
③一般の4年制大学を卒業し、一般養成施設に1年以上通学する
④一般の短大を卒業後、実務経験を1~2年経験し、さらに一般養成施設に1年以上通学する
【試験科目】
①人体の構造と機能及び疾病
②心理学理論と心理的支援
③社会理論と社会システム
④現代社会と福祉
⑤地域福祉の理論と方法
⑥福祉行財政と福祉計画
⑦社会保障
⑧障がい者に対する支援と障がい者自立支援制度
⑨低所得者に対する支援と生活保護制度
⑩保健医療サービス
⑪権利擁護と成年後見制度
⑫社会調査の基礎
⑬相談援助の基盤と専門職
⑭相談援助の理論と方法
⑮福祉サービスの組織と経営
⑯高齢者に対する支援と介護保険制度
⑰児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
⑱就労支援サービス
⑲更生保護制度

【合格基準】
①問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者
②1を満たした者のうち、上記試験科目の18項目群(ただし、〈注意2〉に該当する者にあっては7科目群)すべてにおいて得点があった者
〈注意1〉配点は、1問1点の150点満点
〈注意2〉社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第5条の2の規定による試験科目の一部免除を受けた受験者にあっては、配点は、1問1点の67点満点
【受験者数】
平均で42,000~45,000人前後
合格率は約30%(うち養成施設卒業者約56,000人、福祉系大学等卒業者約7,600人)
受験者の年齢は30歳以下が最も多い傾向にあります。
【介護福祉士の受験資格】
①介護福祉士養成施設(2年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方※注意1
②介護福祉士養成施設(1年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方※注意1

まとめ
社会福祉士は、介護を必要とする人やその家族、ハンディキャップのある人、悩みや不安を抱える家庭など、様々な人の相談役として働いています。そのため責任は重く、資格取得の難易度も高いので、簡単になれるわけではないですが、やりがいは非常に大きな仕事といえます。
社会福祉士に限らず、福祉や介護の現場では離職率が増加傾向にあるため、現実の厳しさに悩むこともあります。誰かの力になりたい人にはとても良い職業といえます。