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知っておきたい訪問看護のマナー!在宅ケアのプロが意識する心得とは

近年は老後や介護の考え方も多様化し、「自分の住み慣れた地域、家で老後を過ごし続けたい」という高齢者が増えてきているそうです。
そのようなニーズに応え、活躍しているのが訪問看護です!訪問看護は、在宅ケアのプロとして看護師や准看護師等の看護の専門職の方、または理学療法士(PT)作業療法士(OT)言語聴覚士(ST)等リハビリテーションの専門職の方が利用者の居宅を訪問し医療サービスを提供しています。
そんなニーズが高まっている訪問看護ですが、利用者の方の居宅に訪問する為“一般的な訪問マナー”が必要となってきます。このマナーを土台としてコミュニケーションや看護に関する知識・技術が発展されるので非常に大切なものです。また、利用者との距離感や接し方の把握の上にも心強い味方となるのが“マナー”です。そこで今回は、訪問看護のマナーを学び、利用者からもそのご家族からも信頼される在宅ケアのプロになりましょう!
もちろん訪問介護職員の方にも、参考となる内容ですのでどうぞ最後までご覧ください。

訪問看護で利用者・その家族からの信頼を得るためには?

訪問看護は基本的には継続利用のため、利用者はもちろんのことそのご家族とも良い信頼関係を築いていかなければなりません。さらに、病院や介護施設と違って“利用者の居宅”という完全なるプライベートの空間でケアをすることになります。自分の家で無礼な振る舞いをする人を信頼なんか出来ませんよね、そこで病院や施設とは異なる気遣いが求められます。
マナーや礼儀に厳しい年代が利用者に多いため、失礼のないようにしなければ信頼関係を築いていくのは難しいでしょう。そこで、人間関係の基本となる訪問看護のマナーや礼儀を身につけることが、信頼を得ていく第一歩となるのです。
“マナー”というと少し小難しいイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、要は「相手を想う気持ちを行動に表す」ということ。自分がされて嫌なことをしない、思いやりや気遣いが伝わるような表現がマナーの根本となります。

訪問看護の3つの心得!

最初に、在宅ケアのプロが訪問看護の際に意識する心得をおさえておきましょう!

心得その①マナーを学びましょう

まず大事なこととしては、マナーは知らなければずっと知らないままで、ずっと身に付かないままということです。自分が当たり前だと思っていたことは知らず知らずマナーであったり、一方で生活習慣にない行動は中々意識することができません。例えば、訪問先に着いて入る前に身なりを整えますが、その習慣を“知らない人”にとってはマナーということも知らずに身なりがボサボサのまま利用者の居宅へと足を踏み入れてしまうでしょう。したがって、意欲にマナーを学び習慣づけることが社会人としてもプラスになります。

心得その②相手を尊重し思いやりの心を大切に

つぎに“相手の気持ちになって思慮すること”を重要です。これはどの看護・介護の立場でも同様ですが、利用者そしてその家族の意見や気持ちを慮ることで看護もしやすく信頼関係も築きやすくなります。1対1での看護のために誤魔化しが通用しないのが、訪問看護です。「自分のしたことで利用者が喜んでくれたら嬉しい」そんな思いで利用者を尊重して、自分なら「どうしてもらいたいのか」を意識して業務に臨みましょう。

心得その③価値観は人それぞれ、ゆっくり焦らずに歩み寄りましょう

さらに訪問看護の心得として覚えていてほしいことは、人それぞれ「価値観」「住む地域」「過ごしてきた時代」「宗教」も違います。それを飛び込えていくことはいくらベテランの訪問看護師でも大変難しいでしょう。最近は、高齢者と暮らしてきた経験がある訪問看護師が少なく、中々高齢者の考え方や重んじているところなどを学べる機会が少ないかと思います。焦らずにゆっくりと相手の情報収集をして信頼関係を築いていくことが大切ですよ。
この3点のポイントをしっかり心得たところで、下記の訪問看護の流れに沿った基本的なマナールールをご覧ください。

訪問看護の流れに沿った接遇マナー

もし、属しているそれぞれの事業所でのマナールールがある際はそちらを遵守してください。

scene0 訪問前

まずは約束している訪問日時を守ることは人としてのマナーです。しかしどうしても訪問日時を変更せざるを得ない時もあるでしょう、例えば渋滞や電車遅延に巻き込まれてしまったり、前の担当している訪問看護が長引いてしまったり…そんな時はきちんと正直な理由を伝えて、利用者に予定を確認し対応しましょう。少しでも遅れると利用者やその家族も心配してしまいますので早めの連絡が肝心です。
また、忘れ物にも注意してください。忘れ物をしてしまって焦ってしまえば信用問題にも関わります。必ず、前日に必要な物品など十分に確認することが大切となります。

scene1 利用者の居宅に到着時

まずは玄関のチャイムを鳴らす前に身だしなみを整えましょう。小さい手鏡を持参してチェックできればベストです!整え終えたら、玄関チャイムを一度鳴らします。「どうぞ」という言葉を聞いてから「失礼します」と挨拶をして家の中へと足を踏み入れましょう。鍵を預かっている場合には、一呼吸をついてから鍵を開けることをオススメします。
※寒い時期のコートなど防寒着について
冬の寒い時期にはコートやマフラーなどを着ているかと思いますが、防寒着を着たまま家に入ることがマナー違反です。コートなどを脱ぎ綺麗にたたみ、コートの表についてホコリを家に落とさないように裏返して綺麗にたたみましょう。
下記はコートを綺麗にたたむ方法の動画ですのでご参考にどうぞ。

scene2 玄関

靴を脱ぐ際のマナーで勘違いされがちなことが、出迎えた家族にお尻を向けて靴を脱いでしまうこと。靴の向きに気を遣った行動としては良いのですが、お尻や背中を家族に向けては失礼にあたります。靴を脱ぐ際には、まずは進行方向とつま先が同じまま玄関へ上がらせていただき、ご家族にできるだけ背中を向けないように横向きになって膝を床につき、靴の向きを変えて玄関の端へ寄せましょう。また、スリッパは履くことがマナーなため、もしスリッパを出されていない場合には「恐れ入りますがスリッパを履かせていただきますね」と一言お断りを入れてから履きましょう。くわえて、雨で靴下が濡れた場合には新しい綺麗な靴下を持参して履き替えて家を汚さないように。
下記は靴を脱ぐ際のマナー動画ですのでご参考にどうぞ。

scene3 部屋に通された時

部屋へ通された際に、扉の開け閉めは決して乱暴にはせずに静かに行いましょう。大きな音は利用者もご家族も驚き、物を雑に扱う方なんだと信用がおけなくなってしまいます。尚、和室では「敷居は踏まない」「畳の緑は踏まない」「座布団の上を踏まない」というマナーがありますのでご注意ください。
続いて挨拶をする場合、洋室では座っている人が上位になるので、立って挨拶を。和室では目線の高い人が上位ですので、きちんと座布団から降りて正座で挨拶をしましょう。もし、別室として利用者の部屋へ入る時には名乗り、中へ入室して良いか尋ねましょう。たとえ認知症を患っている利用者の方であってもきちんと挨拶をすることが礼儀です。
また、極力部屋の中をジロジロを見回したり、必要のない部屋には勝手に立ち入らないように気を付けてください。物色していると勘違いされてしまう可能性もあります。

scene4 看護中

当日の看護内容や診療の結果、健康のアドバイスをできる限り分かりやすく丁寧に利用者とその家族に伝えます。真剣な思いを表すために、目や顔だけを相手に向けるだけでなく出来ることなら身体全体を相手に向けて口角と声色を上げることで好感を得ることでしょう。できることなら、世間話を交えて会話を大事にしながら看護を行うことオススメします。
また、利用者宅の物品などお借りする場合には例えティッシュなど消耗品だとしても「人のものである」と言う意識を忘れずに、きちんと了解を得てから使用し、元にあった場所へと戻しましょう。こちらが些細な事だと思っていても、物の置き場や扱い方はそれぞれの家庭内でのルール・価値観が存在します。できる限り尊重することが信頼を得るポイントです。しかし時には、看護や介護においてこの家庭内のルールに従うことが不可能であったり、不利益を被ってしまう際には先輩訪問看護師や上司に相談し、利用者やその家族と話し合いの機会を持ちましょう。

scene5 おいとまする時

看護や介護を終えた際には、次の訪問予定日時を必ずお伝えし「失礼しました」と挨拶をしてからおいとまします。きちんと帰り際まで気遣いをし、扉も静かに閉めてコートは家の外で着ることが心遣いです。
なお、利用者やその家族の中にはお菓子やお茶を勧めてくる方もいらっしゃいます。大変有難くコミュニケーションの一環として、お受けしたいところですが、訪問看護師は仕事中であり「お気持ちだけいただきます」と伝えましょう。また食事のお誘いやお中元、歳暮などの金品とやり取りも行き過ぎたものとなってしまうので、丁重にお断りとお気持ちだけを頂くことがオススメです。

まとめ
プライベートでも他人の家へ訪れる際は緊張するもの、それが仕事となればとくに最低限のマナーは必要となってきます。たとえもう数年、数ヶ月単位で訪問看護している利用者宅だとしても自分の家ではありません。信頼関係を築くのは難しいですが、崩れてしまうのは一瞬です。何が原因で不信感を抱かれてしまうかは誰にもわかりませんので「親しき仲に礼儀あり」と肝に銘じて訪問をしましょう。なお、マナーだけをあまりにも意識しすぎて大切な「笑顔」であったり、安心したサービスの提供を疎かにならないことも在宅ケアのプロとして必要となってきます。